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- AI が切り開くコンタクトセンター運営の未来
Tags: コンタクトセンター ソリューション, コールセンター, コールセンターの管理, サービスとしてのコールセンター, 人工知能, 従業員管理
「無法の世界(Won’t Get Fooled Again)」は、イギリスのロックバンド、ザ・フーの 1971 年のアルバム『フーズ・ネクスト(Who’s Next)』に収録されている 1 曲です。ピート・タウンゼントが書き起こした壮大な詞のラスト、「新しいボスに会おうぜ。前のボスと同じようなやつに(Meet the New Boss, Same as the Old Boss)」は、今や誰もが知る定番フレーズです。タウンゼントがこのフレーズを思い付いたのは、1969 年に米国で開催されたウッドストック フェスティバルでのことでした。そのとき彼は、このイベントがもたらす長期的な影響に疑いを抱き始めていました。
コンタクトセンター業界もまた、同様の岐路に立たされています。人が対応するにせよ、デジタルで対応するにせよ、顧客とのやり取りの裏には 2 つの不動の目的が存在しており、その影響が見え隠れするものです。長年にわたり物理的な世界のコンタクトセンターを牛耳ってきたこれら 2 つの「ボス」は、それぞれ重視する方向が異なるため、顧客とのやり取りのたびに相容れないものとして対立してしまうことが珍しくありませんでした。元来どちらの目的も重要で無視できないものであり、カスタマーサクセスのために活かすこともできますが、顧客体験を大きく損なう原因にもなり得ます。
そんなコンタクトセンターにおける「前のボスと同じような、新しいボス」、それは、効率性です。
1973 年にコンチネンタル航空が電話での問い合わせに着信呼自動分配装置(ACD)で利用するようになってから、効率はコンタクトセンター運営の成果を左右する最大要因であり続けてきました。効率化を極める必要が生じた原因は、コンタクトセンター運営に大きな影響を与える人材コストの高さでした。それは今も同じです。
ルーティングや報告基準など、コンタクトセンター運営のすべてに効率化が求められることになり、効果を重視する枠組みに変わることも難しくなっています。電話、やり取り、チャット、メール、メッセージでのあらゆる対応において効率化が暗黙のうちに求められており、コンタクトセンターのすべての動きを評価する数々のプロセスがバックグラウンドで実行されています。
ACD に続き、コンタクトセンターにはさまざまなイノベーションが導入されていきました。コンピュータ テレフォニー インテグレーション(CTI)、デジタルエンゲージメント、プロアクティブアウトリーチ、オムニチャネル、ワークフォース エンゲージメント管理(WEM)などです。これらはいずれも、当初は、顧客エンゲージメントの向上、すなわち効果(有効性)を高めるための技術として登場しました。しかし、結局は効率化を進めるためのテクノロジーとして売り込まれ、市場展開されていくことになります。
たとえば CTI は、もともとパーソナライゼーションの効果とルーティングの有効性の向上を目的としていたはずでしたが、「すべての通話を 20 秒短縮する」ためのものとなりました。「デジタル化によって、顧客に合ったサポートをする」という目的が、「やり取り 1 回あたりのコストを 80% 削減する」ことへと変わってしまったのです。これには、コスト削減につながるビジネスケースを簡単に特定できるようになったことが影響しています。
コンタクトセンターに AI を導入すれば、コンタクトセンターが抱える数々の課題のうち、主要な 2 つを解消できます。1 つは、人手に頼ったオペレーションです。多くの場合、コンタクトセンター運営コストの 70% 以上を人材コストが占めています。大規模な自動化を図ったとしましょう。それでも残る音声通話はより複雑で長くなってしまうので、人員削減の効果は削がれてしまいます。
AI を活用することで解消できるもう 1 つのことが、長年の課題であった、コンタクトセンターの自動化への取り組みです。人によるサポートを必要とする場合は多く、今のリソースでは対応できない状況になることは珍しくありません。その場合、セルフサービスのサポート提供で対応することになりますが、複雑な内容のやり取りについては対応の完了率が低くなるのがこれまでの常でした。これでは、顧客の側も企業の側も不満が募ることになってしまいます。
AI なら、自動化(効率)に伴う課題を解決できます。顧客の側としては、静的なメニューではなく「対話型 AI」が提供されることで満足度(効果)が高まり、企業の側としては、コスト負担が軽減されます。まさに、双方に利益がある「ウィンウィン」の解決法です(サービスの向上とコストの削減)。
さらに、AI はもう 1 つのメリットも実現しつつあります。AI を使えば、インサイトをすばやく獲得し、それをもとに予測してすぐに先手を打つことで、オペレーションとプロセスをこれまでにないスピードで調整できるようになるでしょう。
コンタクトセンター運営の効率性と効果というシナジー関係を AI が生み出す可能性がある一方で、さらなる効率化に向けたユースケースも新たに登場しています。これは、コンタクトセンター向け AI が当然辿るべき進歩といえるかもしれません。AI 導入が進むかどうかは、投資の正当化に役立つ明確な ROI 指標を備えた実用的なユースケースがあるかどうかにかかっています。
Forrester Consulting の調査結果で、Webex Contact Center を活用して組織を大幅に強化する方法をご確認いただけます。
AI と LLM を活用した通話の自動要約、自動での後処理、回答の提案といった機能は、いずれも明確で測定可能な価値を提供します。またリソースを解放し、顧客の抱える問題の解決という本来の仕事に集中できるようにします。AI が普及すれば、効率性と効果は、コンタクトセンターにおいて対立するものではなくなります。
コンタクトセンター向けの AI に関する Webex by Cisco の考えと、Webex の最近の発表をご覧ください。スマートかつプロアクティブで状況に即した顧客対応に役立ちます。
Webex Contact Center について、詳しくは以下をご参照ください。