次の常識、ネクストノーマルはもう生まれています。企業が最適な形でカスタマーエクスペリエンスを実現することは以前よりはるかに難しくなっているのです。お客様の期待は膨らみ続けているのに、予算は縮小される一方です。誰もが難しさを痛感しています。
お客様は、企業が自分の要望にすぐに応えてくれて、数分以内に問題が解決されることを期待しています。そうした期待に応えられないと、収益を失うだけでなく、お客様を失うことにもなりかねません。さらに、お客様の情報をすべて把握して、その人に合った対応をしなければならないというプレッシャーもあります。これが一度ならず、カスタマージャーニー全体にわたって続きます。カスタマーエクスペリエンスは一度きりのことではなく、人との関わりだからです。
このように要望が増えているわけですが、エージェントとスーパーバイザにとっての課題は、お客様の満足度を維持しながら業務を回さなければならないということです。そしてバックオフィスと IT のスタッフにとっての課題は、満足のいくカスタマーエクスペリエンスを必要十分な規模で構築、提供すること、また最良の成果を上げるためのレジリエンスを組み込むことです。
Webex はこうした相反するプレッシャーを認識しており、ネクストノーマルにおけるカスタマーエクスペリエンスの課題を解決するためにお役立ていただけるソリューションをご用意しています。すべての始まりとなるものが、スマートでプロアクティブな、パーソナライズされたエクスペリエンスを企業のカスタマージャーニー全体で提供できるようにするという私たちのビジョンです。そのために、人間による対応とデジタル対応を組み合わせて最大限に活用します。これを支えるのが、ユーザーに比類のないエクスペリエンスを提供する Webex のプラットフォームと AI 機能です。
ここで少し時間を取って、私たちのビジョンを実現へと導く 5 つの原則についてご説明します。
1. お客様に選択肢を用意
すべてはお客様から始まります。何を欲しいと思うのか、いつ欲しいと思うのか、そして企業とどう関わっていくのか。すべてを最終的に決めるのはお客様です。だからこそ、お客様に選択肢を用意することが非常に重要であり、満足いただけるエクスペリエンスを生み出さなければならない理由もそこにあります。
今や新たな時代を迎え、デジタルを利用する機会が増えています。多くのお客様は、Twitter、Instagram、チャットアプリ(WhatsApp や Facebook Messenger など)といった普段利用しているソーシャルチャネルでの対応を望んでいます。また、希望するチャネルでつながるときに選択肢が欲しいと考えています。双方向で行われる自動応答やチャットボットのようなセルフサービスも、人間のエージェントによる電話対応も自由に選べることが期待されているのです。お客様がどのチャネルを選んだとしても、柔軟でシームレスな選択肢を用意しなければなりません。ここで Webex の出番です。デジタル対応と人間による対応の両方で統合カスタマーエクスペリエンスを実現します。
2. 自動化により対応規模の拡大を支援:AI と仮想エージェントで効率と対応の質を改善
前述のように、予算は縮小する一方で、どの企業も提供コストを削減したいと考えています。ここは自動化の出番であり、事業規模の拡大に貢献します。Webex ではそうしたお客様の期待に応えるべく、AI 企業やクラウド コミュニケーション プラットフォーム企業を買収し、それぞれのリソースを製品に統合してきました。今後も、各種機能をセルフサービス エクスペリエンスの改善に役立てていきます。
エンドカスタマーは、デジタル対応に人間らしさを求めるようになっています。同時に、もっと早く問題が解決されることを望んでいます。それだけではありません。対応をデジタル化するだけでは不十分であり、継続的に学習して調整できるようにする必要があると Webex は考えています。そのために、Webex のアセットを活用して自己学習型のコンタクトセンターシステムの構築を目指していきます。デジタル化できる業務フローを新たに提案するほか、よくあるトピックへの「回答」を見直すことによって、十分な研修を受けた人間のエージェントが対応しているかのような「最新情報に基づいた快適な」デジタル対応を可能にします。
3. データとスマートインサイトで最善の対応を実現
お客様に関する情報と問題の背景を全部知っていなければ問題をすぐに解決できないとすれば、「最善の解決策」に最短でたどり着くには、データとスマートインサイトが必要不可欠となります。
お客様の電話での問い合わせにもっとプロアクティブに対応できるようにするだけでなく、電話での問い合わせがこないようにするために考えられたのが、AI を活用した Webex Contact Center の新しいトピック分析機能です。トピック分析を行うことで、お客様が電話をかけてくる主な理由が明らかになります。これを実現するために、コンタクトセンターの全データからお客様とのやり取りに関するデータを集約し、トレンドを抽出してビジネスアナリストが分析できるようにします。こうして、お客様が電話をかけてくる前に、お客様のニーズを満たせるような対策を先回りして講じることが可能になります。
トピックをお客様にプロアクティブに提案するための機能は他にもいろいろ考えられ、デジタル化できる可能性は高いと考えています。トピック分析でリアルタイムにトレンドを調べられるようにすることがその第一歩となります。
4. エージェントとスーパーバイザの対応力をサポート:質を重視
今もまだ、どの企業も人間のエージェントを必要としています。企業がどれほどデジタル化を急いでも、これまでにないシナリオや複雑なシナリオ、高価値のお客様などに人間が対応する必要があることに変わりはありません。重要なお客様への対応を人間が行っている以上、今後もサポートが必要です。
たとえば、お客様との過去の対応履歴や対応中のお客様の感情、最も好意的に受け止められた解決策やフォローアップについての情報があれば、次にそのお客様に対応するときに、お客様がどれだけ怒っているか、どう対処するのがベストかを推測できます。
同様に、トレンドに入っているトピックをスーパーバイザが把握できるようにするための投資を行っていきます。これは、エージェント研修の最適化を図るだけでなく、サービスで起きている問題を先取りできるようにするための機能です。「Web サイトでの商取引」というトピックがトレンドに入っているとしましょう。これは、すべてのエージェントに追加の詳細情報を伝える単なるメモではなく、コアビジネスシステムがダウンしたことによる IT へのエスカレーションを示唆している可能性があるのです。
まもなく発表される Webex ネイティブの Agent Answers にもどうぞご期待ください。Agent Answers は言葉はしゃべりませんが、人間のエージェントとお客様との会話の内容を聞いたうえでリアルタイムコーチとして機能し、エージェントがお客様に提供できるナレッジベース記事や有益な情報をリアルタイムで表示します。
5. ソリューションの導入と管理を容易に
Webex ポートフォリオが拡大するにつれ、Webex を簡単にセットアップして使用できるようにすることに重点を置いてきました。Webex Contact Center でも同じようにシンプル化を図っていきます。コンタクトセンターは複雑なので、まずは基本的なところから始めます。私たちの目標は、あらゆる規模の企業がコンタクトセンターを立ち上げられるようにすることです。カスタマージャーニー オーケストレーションへのローコードアプローチは、その戦略の一環です。また、企業がコンタクトセンターを立ち上げて継続的に最適化できるよう引き続き機能強化を図り、最小限のコストで最大限の顧客満足度を得られるようにしていきます。
ここまで、ネクストノーマルでカスタマーエクスペリエンスを最大限に高めるために Webex で実現できることをいろいろと紹介してきました。今後の特定用途向け AI ソリューションでもたらされるイノベーションを私と同じように待ち遠しく思っていただければ幸いです。もっと詳しく知りたい方は、Webex Contact Center の Web ページをご覧ください。
コンタクトセンターに果たす AI の役割を 3 部構成の以下のブログで詳しく紹介していますのでぜひご覧になってみてください。
- 卓越したカスタマーエクスペリエンスの行く手を阻むギャップに対処(第 1 部)
- AI を使用してクラウドコンタクトセンターを促進(第 2 部)
- AI で強化されたエージェントとデータでカスタマージャーニーを改善(第 3 部)
Enterprise Connect 2023 で発表された Webex の詳しい情報: