カスタマーエクスペリエンスに AI 革命が到来。競争で優位に立つか、後れを取るかの分かれ目

On By Aruna Ravichandran1 Min Read

最先端のテクノロジーにより、カスタマー エクスペリエンス ソリューションのレベルは飛躍的に高くなっています。ここで考えなければならないのは、組織がこの時代の波に乗って業界の CX リーダーとして頭角を現すか、あるいは後れを取ってもがき苦しむかのどちらの道を選ぶかです。

先進的なテクノロジーが、カスタマーエクスペリエンスに対する顧客満足度を向上させるわけではありません。新しいテクノロジーは確かに業務の効率化を可能にしていますが、それと同時に課題をもたらしています。たとえば、実行するのが困難なセルフサービス エクスペリエンス、ほとんどサポートがない状態でマルチチャネル エクスペリエンスの管理を任されているエージェントの過重労働などです。優れたテクノロジーを使用しても、顧客満足度(CSAT)は向上するどころか、低下することさえあります。

AI は、複雑化の一途をたどるカスタマージャーニーを管理するためのツールを提供します。顧客がコミュニケーション手段として優先するチャネルの数は増えています。この状況にうまく対処するためには、AI の導入が欠かせません。AI を導入すれば、組織がより自然な顧客とのインタラクションを創出することも可能になります。真の秘訣は、情報の入手手段としてのセルフサービスを、顧客の問題を実際に解決できる形に移行することにあります。この移行を可能にするのは、サービス オーケストレーションに他なりません。

私たちは顧客、エージェント、企業というレンズを通してカスタマーエクスペリエンスの状態を把握するために、12 の業種10 の市場1,000 社の CX リーダーを対象にアンケート調査を行いました。その結果、顧客、エージェント、企業という 3 つの重要な分野で大きな影響を与えている要因が明らかになっています。

カスタマーエクスペリエンスに関するグローバル調査の結果

顧客への影響:顧客の 55% がセルフサービスを回避している

どの業界でも、バーチャルアシスタントとセルフサービスは今に始まったものではありません。インタラクティブな音声録音は長年使われていて、誰もが慣れ親しんでいるものですが、セルフサービスで可能なことが十分に発揮されているわけではありません。

私たちの調査結果では、顧客がセルフサービスを利用したいと思っても、セルフサービスが顧客の役に立つものではないことが明らかになっています。顧客の 55% は、セルフサービスは融通が利かず役に立たない感じがして回避しています。また、企業の 63% は、セルフサービスを提供するために主に Web サイトの FAQ に依存しています。

エージェントへの影響:AI 対応のツールにアクセスできないことが、高い離職率につながっている

顧客を効果的にサポートするために必要なツールに、エージェントがアクセスできないという状況が明らかになっています。3 人につき 1 人のエージェントが、理想的なカスタマーエクスペリエンスを提供するために必要となるコンテキストを入手できないことに困惑しています。AI ツールを使用していない組織が報告しているエージェントの離職率は、カスタマー エクスペリエンス ジャーニーに AI を実装している組織よりも高くなっています。

企業への影響:4 分の 3 の企業が、10 種類ものサイロ化された顧客データシステムを使用

テクノロジーとデータを最適化できなければ、組織に多大な影響が及びます。調査対象の企業の 75% が、3 つ以上のサイロ化された顧客データシステムを使用しています。こうした企業では、顧客の問題を解決するまでの時間が 48% 長く、CSAT が 50% 低くなっています。

これらの長期的な課題に改善がみられている組織との大きな違いは、顧客、エージェント、そして企業全体をサポートするために AI を導入して展開しているかどうかにあります。

私たちの調査結果では、顧客、エージェント、企業に悪影響を及ぼしている重要な指標が 3 つ特定されています。それは、 1) 顧客満足度(CSAT)の低下、 2) 高いエージェント離職率、3) 顧客離れの増加です。

これら 3 つの指標は大きな課題であり、これまでのところ、克服するのは困難でした。しかし、その一方で、これらは AI によってカスタマーエクスペリエンスを改善する余地がある最も有望な領域でもあります。

Webex AI Agent のご紹介 – カスタマーエクスペリエンスの未来

生成 AI とシスコの対話型インテリジェンスにおける専門知識を組み合わせて利用して、人間のエージェントが対応しているかのような有用で効率的なセルフサービスにできるとしたらどうでしょう。さらに、顧客が問題に対する迅速な解決策を見つけることができ、エージェントが過度に働かされることもなくなり、CSAT スコアが急上昇するほど優れた、拡張性のあるセルフサービス エクスペリエンスを想像してみてください。

もはや、これは夢ではなく現実です。

Webex AI Agent がこれを実現します。

Webex AI Agent は、問題の解決法が見つけられない顧客の苛立ちを解消する、対話型インテリジェンスと生成 AI を組み合わせたセルフサービスコンシェルジュです。AI Agent は、自然な流れの会話に対応できるだけでなく、中断、訂正、あるいは話題の変更に基づいて会話の流れを変えることもできます。友達と話すのと同じくらい簡単です。

AI Agent は、エージェントと企業に AI 競争で優位に立つために必要なインテリジェンスとインサイトも提供します。多種多様な顧客のニーズに対してシームレスなエクスペリエンスを提供するために、組織でよく使われているアプリケーションがバックオフィスで統合されているためです。

Webex AI Agent のリリースにより、ロボットのように受け答えするサービスボットを使用する日々は終わり、明るい未来へと足を踏み出すことができます。

AI におけるリーダーとラガードの違い:組織を AI リーダーにする要因

私たちの調査で使用した成熟度モデルでは、ラガード(遅れを取っている組織)、フォロワー、ペースメーカー、リーダーというカテゴリで組織を分類しました。このアプローチにより、顧客満足度が低くエージェントの離職率が高い組織に共通する特性と、それとは逆に、顧客満足度が高くエージェントの離職率が低い組織に共通する特性を発見しました。

最適なカスタマーエクスペリエンスを実現している組織とそうでない組織の差を決定付ける要因は何なのでしょう。

AI を使用している組織の 76% が、CX リーダーとしての地位を確保する具体的なビジネス成果を上げています。そして、AI によって生じるリーダーとラガードの差は顕著になる一方です。

調査結果を踏まえると、AI によって CX リーダーの地位を確保している組織は、カスタマージャーニー全体にわたって AI を実装し、主要な指標を大幅に改善しています。

顧客への影響

AI 駆動型のセルフサービス ソリューションは、より人間的かつプロアクティブであり、有効性に優れています。

  • リーダーは AI セルフサービスによって CSAT スコアを 92% 向上させている一方、AI ラガードでのスコア改善率は 50% を下回っています。
  • リーダーの 61% は AI を利用して積極的に顧客に手を差し伸べている一方、ラガードのうち、同じようなアウトリーチを展開しているのはわずか 6% にすぎません。
  • リーダーの 84% は AI を使用して通話の保留時間を短縮していますが、AI ラガードでの保留時間はまったく短縮されていません。

顧客満足度とネットプロモータースコア(NPS)への全体的な影響に関しては、リーダーとラガードの間での違いが際立っていました。

  • AI リーダーの場合、顧客満足度スコアで大変満足したという評価を占めているのは 70% でした。一方、ラガードの場合は、大変満足したと評価した顧客はわずか 2% でした。
  • ラガードの NPS は 43 であるのに対し、AI リーダーの NPS は 70 です。

エージェントへの影響

AI によるリアルタイムのワークフロー自動化とオーケストレーションは、エージェントのパフォーマンスを劇的に向上させます。AI Assistant の導入が広まる中、解決までにかかる時間にも、エージェントのエンゲージメントにも、前途有望な影響が現れています。

  • AI リーダーの組織ではエージェントの 73% が AI による支援を利用している一方、AI ラガードでは 10% だけです。
  • AI を導入して定着化している組織では、エージェントのワークロードが減っています。対照的に、AI を広範に導入してない組織では、ワークロードが 56% 増加しています。

結果は顕著です。

  • エージェントの効率は、AI リーダーの場合は 68%、AI を導入していない組織では 1% にも満たないほどです。
  • CX リーダー格の組織の 24% は、AI を使用してエージェントの能力とエクスペリエンスを強化しています。

企業への影響

シスコの AI Agent では、カスタマー エクスペリエンス ソリューションのあらゆる側面で AI が考慮されているため、重要なデータを格納する CRM をはじめとする多種多様なバックエンドシステムを簡単に統合して、解決に向けた情報をコンタクトセンターに取り込むワークフローを作成できるようになっています。

  • データの取得元システムが 4 つ以下の組織は、リーダーでは 42%、ラガードでは 55% です。
  • クラウドベースのコンタクトセンターを使用している組織は、リーダーでは 70%、ラガードではわずか 46% です。
  • リーダーの 69% はコミュニケーションのオーケストレーションに CPaaS(Communications Platform as a Service)を利用している一方、CPaaS を利用しているラガードは 23% のみです。

企業への影響としては、次の点も挙げられます。

  • リーダーは顧客離れを 85% 改善した一方、ラガードではわずか 30% 改善しただけです。
  • リーダーの 65% が、AI を使用したことで収益が大幅に増加したと報告しています。収益増加を報告したラガードは 1% にも満たないほどです。

シスコの AI ソリューションで目標としているのは、AI が提供できる広範で奥の深いエクスペリエンスによって、人間のエクスペリエンスをさらに豊かなものにすることです。この目標を達成した Webex AI Agent は、カスタマーエクスペリエンスを次のレベルに引き上げます。

調査結果をご覧ください

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Aruna Ravichandran
Aruna Ravichandran SVP, Chief Marketing & Customer Officer, Cisco Collaboration Cisco
Aruna Ravichandran is the SVP & CMO for Webex by Cisco.
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