世界はいま、AI 革命のただ中にあります。連日のように画期的な技術革新がニュースを飾り、新しいモデルや大胆な構想が次々と発表されています。この1か月だけでも、注目を集めた発表や世界規模の議論が数多くありました。AI ポリシーを策定するリーダーから、次世代のインテリジェントシステムを披露する最先端のインフルエンサーまで、その動きは多岐にわたります。地域や業界を問わず、どのリーダーも期待と不安の両方を抱えています。世界がかつてないスピードで進化する一方で、未来はますます不透明になっているからです。
組織の内部にも、不安が広がっています。経営層は AI への投資効果を早急に証明するよう求められ、従業員は連携しない多様なツールに頭を悩ませ、IT チームは合成音声、ディープフェイク、断片化したデータの洪水と日々格闘しています。AI は本来、業務をシンプルにするはずのものでした。しかし現実には、煩雑さが増しただけという声も少なくありません。

この複雑化と「煩雑さ」の増大は、単なる比喩ではありません。企業の根本的な変化そのものを意味しています。AI 主導の時代がもたらす影響は、組織のあらゆる側面に及びます。
私たちは、こうした重要な領域を軸にアプローチを定めています。シスコの考え方は他とは異なります。願うだけでは戦略にはならないからです。AI の未来は、偶然や行き当たりばったりでは築けません。明確な意図と目的を持って形にしていく必要があります。シスコは、精密に構築された AI を設計しました。それは、カオスのような技術の寄せ集めでも、バラバラなツールの集合でもありません。断片的な戦略やサイロ化されたデータでもなく、現実の課題を意図的に解決するために設計された AI です。目的、明確さ、展望を掲げて構築されたこのアプローチは、次の 3 つのレイヤに基づいています。
- エッジでの AI:会議室にインテリジェンスを直接取り込み、人間らしい自然な体験を実現する。
- クラウドでの AI:会話を最適化し、インサイトとスムーズなワークフローへつなげる。
- 管理における AI:信頼性、ガバナンス、セキュリティを大規模に統合する。

これらのレイヤが連携することで、シスコが提唱するコネクテッド インテリジェンスが実現します。人・場所・プラットフォームを支え、情報が安全に流れ、体験がシームレスに。そして、コラボレーションが再び人間らしさを取り戻す。そんな世界を AI が支えます。この方法こそが、私たちがあらゆるノイズを乗り越える道です。組織が「未来を待つ」のではなく、「未来に備える」ための方法でもあります。シスコは、すべての AI レイヤが連携し、意図的かつ直感的で安全なワークプレイスを生み出すよう設計しています。
エッジでの AI:より人間らしく
コラボレーションとは、もともと人間の行動そのものです。本来なら、同じ空間で互いを見て、聞き、理解し合いながら進めたいものです。しかしハイブリッドワークでは、映像の遅延や聞き取りにくい音声、集中を妨げる環境といったストレスが発生します。エッジでの AI は、これらの問題を解決します。
NVIDIA の技術を活用したシスコデバイスが、会議室にインテリジェンスを直接取り入れます。
- RoomOS 26 は、クラウドベース OS の次なる進化です。AI ネイティブの最新エクスペリエンス、強化された相互運用性、そして人々のつながり・創造・コラボレーションをより豊かにするインテリジェント ワークスペース エクスペリエンス プラットフォームを提供します。
- シネマティックミーティングのダイナミックモードでは、特別な設定をしなくても、シスコのカメラ インテリジェンス ツールボックス群を活用して、常に参加者を最適なフレームに収めます。さらにダイナミックモードでは、エージェント型 Director が会議の流れを自動的に予測・適応し、最適なカメラビューをリアルタイムで選択します。
- オーディオゾーンは、ミーティングスペース内で、適応型天井マイクが拾わないようにする特定エリアをデジタルで定義し、不要な雑音を排除して会議の質を高め、より明瞭で自然な音声を実現します。

シスコは、さらにその先を見据えています。AI メモ機能では、対面での会話をリアルタイムで文字起こしし、文脈を同時に記録することで、現実世界とデジタルワークの間にある壁をなくすことを目指しています。
クラウドでの AI:さらに直感的に
エッジがリアルタイムで情報を補い、クラウドはその価値を広げていきます。会議が終わっても、対話が終わるわけではありません。会話は進捗のためのブループリントとなります。スピードが求められる時代では、アイデアをすぐにアクションやインサイト、成果へとつなげることこそが真のコラボレーションと言えます。
クラウドの AI を活用することで、すべてのやり取りを記録・文脈化し、推進力へと変換できます。ナレッジがサイロ化されたり埋もれたりすることは、もうありません。それらは組織の基盤に織り込まれ、次のステップに進むためのきっかけとなります。これこそが、境界を越えて成長し、目的に合わせてスケールするコラボレーションです。会議が終わっても進化は止まりません。シスコなら、あらゆる会話が次の一歩を生む出発点になります。
そして今、シスコは AI を活用した新たなイノベーションの波を取り込み、このビジョンを現実へと変えようとしています。
- Webex アプリの新しい Task Agent は、Jira チケットの更新や会議のスケジュール設定といったアクション項目を自動で抽出し、AI の力で実行までを支援します。 新しい検索機能では、Cisco AI Assistant [AY1] を活用し、Webex 内の会議やメッセージに加え、Amazon Q、CoPilot、Glean など日常業務で使うエンタープライズアプリ全体を横断して検索できます。
- さらに Salesforce や Jira との連携も強化され、ユーザーはワークフローの自動化を構築したり、Cisco AI Assistant にタスク実行を依頼したりすることが可能です。たとえば Jira でのチケット作成・更新・クローズや、Salesforce での新規リード登録や既存リードの更新といった作業も、すべて Webex アプリの [Cisco AI Assistant] パネルから実行できます。
- 会議室やトレーニングスペースの普及に合わせ、シスコは
Workspace Designer に新機能を追加しました。Web カメラ、デスクフォン、ヘッドセット、オールインワン デスク コラボレーション デバイスを活用して、スタンドアロンデスク、オープンデスク、フォーカスルームのシナリオをモデリングし、設定できるようになりました。この機能により、AI を活用した柔軟で大規模なデスクワークスペースを、短時間で計画できます。

管理における AI:より安全に
信頼できない AI は、リスクでしかありません。ディープフェイクや合成音声、巧妙なサイバー脅威が広がる今、揺るぎない信頼性を確立することは必須条件です。そのためには、堅牢なセキュリティ基盤だけでなく、AI とのあらゆるやり取りを支えるネットワークインフラ全体にわたる包括的な制御、柔軟な拡張性、緻密な管理が欠かせません。
シスコは、すべてのレイヤにセキュリティと管理性を大規模に統合しました。
- Control Hub と AI Canvas の連携により、IT に関するインサイトと共同管理機能を一元的に提供します。
- ネットワーク対応会議室:Catalyst 9200CX スイッチを Cisco Room デバイスや AVoIP アクセサリと独自の方法で統合。IP 接続型の Cisco Room 周辺機器をネットワーク経由で柔軟に拡張・管理できます。さらに、スイッチは Control Hub 上に表示されるため、IT チームと AV チームの両方が全体を可視化できます。
- GetReal、Pindrop とのパートナーシップを通じて、会議や通話において合成音声や AI 生成アバター、顔の入れ替えなどをリアルタイムで検出する脅威検出機能を導入しました。
- Desk Phone 9811:Desk Phone 9800 シリーズは、AI を活用した高品質な音声通話、強力な暗号化、インテリジェントな脅威対策を実現し、どこにいても安全で信頼できる会話を可能にします。このシリーズに、新たに Desk Phone 9811 モデルが加わりました。制御性とセキュリティをシームレスに統合したモデルです。
さらに、Workspace Advisor は IT リーダー向けに、かつてない可視性と制御性を提供するよう設計された専用ツールです。NVIDIA のコンピューティング技術を活用し、Control Hub 内に会議室のデジタルツインを生成します。IT チームはこのデジタルツインを使って設定のシミュレーションや、正確な測定に基づくデバイス配置の最適化、スマートな拡張を実現できます。これにより、ワークプレイス全体をダイナミックに運用できるようになります。
これが、コネクテッド インテリジェンスの実践例です。会話がどこで始まろうと、すべてを取り込み、大きな視点で捉えることができます。日常のチャットを整理されたワークフローへ変換し、適切な文脈でメンバーやスペースをフォローアップ。妥当性を保ちつつ、次のステップへとスムーズにつなげます。
NVIDIA と Microsoft のパートナーシップ:未来をともに築く
シスコと NVIDIA のパートナーシップは 10 年を迎えました。私たちはマイルストーンを祝うだけでなく、コラボレーションの未来そのものを形づくっています。
さらに Microsoft とも協力し、シスコの次世代デバイスで Microsoft Development Ecosystem Platform(MDEP)の提供に取り組んでいます。他社に先んじてシスコはチーム一丸となり、Teams Rooms 体験をよりシームレスに進化させデジタルワークプレイスを加速させるための、安全で統合された専用プラットフォームを開発しています。
これは投資を守るだけでなく、投資効果を高める基盤です。NVIDIA のチップセット、シスコの信頼性の高いハードウェア、Microsoft のプラットフォームを組み合わせ、将来の変化に適応できる空間づくりを支援します。あらゆる場所のあらゆるチームに、新たな成果をもたらすことを目指しています。多様な人々が参加できる、インテリジェントな会議の新時代が到来しました。私たちはお客様とともに、それを現実のものにしていきます。
職場でのコネクテッド インテリジェンス
コネクテッド インテリジェンスは、単なる戦略ではありません。それは、明確さと混乱、成果と試行、積極的な行動とためらいを分ける選択です。シスコが提唱する「エッジの AI」「クラウドの AI」「管理における AI」は、ワークプレイスのあらゆる要素を意図的に設計し、人を中心に据えながら、安全で拡張可能なプラットフォームを実現します。
AI 革命は、すでに始まっています。実験や煩雑さの中からでは、未来の働き方は築けません。ビジネスのあらゆる層でインテリジェンスをつなぐ。それが、意図的な AI の力です。
Webex One では、ニュースやノイズ、過剰な宣伝、混乱を乗り越え、その先にある未来への道を紹介しました。そこでは、明確さ、つながり、信頼を備えた未来が描かれています。これこそが、コネクテッド インテリジェンスの可能性です。人と人、人と AI、AI と AI をグローバルにつなぎ、次の時代に備えることができます。
シスコと共に進むことで、道筋は明確になります。未来はコネクテッド。そして、コネクテッド インテリジェンスはすでに現実のものとなりました。
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