サンディエゴで開催された WebexOne 2025 は、4 日間にわたる充実のプログラムを終えて閉幕しました。来場者の皆さまには、コラボレーションと通話の未来を体感できるトレーニングセッション、ブレイクアウト ディスカッション、ライブデモ、そして基調講演にご参加いただきました。シスコの Calling チームは、クラウドの AI を生かした新機能から、オンプレミスの継続的な進化、オンプレミスとクラウドの橋渡しとなるハイブリッドサービスまでの各導入モデルに対応した、新しいイノベーションを発表しました。本記事では、その発表内容をまとめてご紹介します。
Webex Calling の著しい成長
現在、Webex Calling は世界 195 以上の市場で 1,800 万人超のユーザーを支えています。金融、医療、リテール、製造、政府機関、防衛など、多様な業界で採用が進んでおり、これはシスコプラットフォームの柔軟性・セキュリティ・スケールの高さを物語っています。
シスコ自身もすでに 8 万 4,000 人以上の従業員を Webex Calling へ移行しています。さらに、世界有数のリテール企業がシスコの支援のもと、4,600 超の拠点で 140 万人を超えるユーザーを Webex Calling に移行しました。これは、当社プラットフォームが極めて大規模な展開を 99.999% の可用性で処理できることを表しています。
Webex Calling に AI イノベーションが登場
シスコは、カスタマージャーニーのあらゆる段階に AI を組み込むことで、クラウド電話の新基準を打ち立て続けています。これらのイノベーションは、すべての通話をより効率的にし、スムースな対話と顧客対応の質を一段と高めるためのものです。
直近では、ライブキャプションとライブ翻訳の提供を 14 言語に拡張し、世界中の Calling ユーザーをつないでいます。また WebexOne 2025 では、次の 5 つの強力な新機能を発表しました。
- 発信者インテント:過去の会話を基に、顧客が電話してきた目的を担当者に示し、冒頭から効果的な対話を開始できます。
- 応答内容の提案:社内ナレッジベースを活用し、担当者にリアルタイムのトークポイントを提示。発信者に正確で価値あるインサイトを届けられます。
- トピック分析:顧客の連絡理由を可視化し、傾向・課題・根本原因に関するインサイトを提供して成果の改善につなげます。
- リアルタイム音声翻訳:Webex Call や Webex Meeting で、話者の声質とトーンを保ったまま同時翻訳と画面文字起こしを行います。
- Microsoft Teams との統合:Webex Suite との統合アプリを拡大するなかで、Microsoft Copilot による AI 生成の通話要約の共有などが可能になりました。
これらの機能は、AI Receptionist for Webex Calling や Webex Calling Customer Assist を補完するものであり、顧客対応を効率化し、スタッフ配置の課題を解消し、従業員が最も重要な業務に専念できるよう支援する包括的なツール群を提供します。これらは、新たな Premium AI Assistant ライセンスとして、すべての Webex Calling ユーザーに提供されます。

Webex Calling の提供地域を拡大

Webex Calling は世界 195 以上の市場で提供されており、業界有数のグローバルフットプリントを誇ります。これらの地域の合計は、世界の GDP の 95% 以上に相当します。事業を展開するほぼすべての場所で、Webex Calling をご利用いただけます。
インドでも、国内企業と多国籍企業の双方に向けて事業拡大を加速しています。シスコは 2022 年、ローカルゲートウェイを活用した Webex Calling のサポートをインドで開始。2024 年には、Tata Communications 提供の Webex Calling 経由でクラウド PSTN を利用できるオプションを導入し、サービスを拡充しました。
インドでは、ムンバイとチェンナイに専用データセンターを設置し、Webex Calling の提供をさらに拡大しています。対象サービスは
ソリューションは 2 つのローカルデータセンターでホストされ、通話録音、ボイスメール、通話詳細記録(CDR)、監査/syslog のインド国内保存に対応し、厳格な規制・コンプライアンス要件を満たします。インドのお客様は、ローカルゲートウェイまたは Cloud Connect for Webex Calling 経由で接続でき、Airtel、Tata Communications、Tata Teleservices Limited の信頼できる各社がサポートを担当します。
また、AT&T Business が、Webex Calling の FedRAMP 認定版である Webex Calling for Government の初の認定プロバイダーとなったこともお知らせします。この提携により、米国政府のお客様は AT&T Business のクラウド PSTN を活用し、導入の簡素化とオンプレミスインフラの削減という柔軟性を得られます。
Webex Calling のセキュリティをさらに強化

Calling は機密性が高いミッションクリティカルな通信にも用いられるため、セキュリティは何より重要です。Webex Calling を支えるプラットフォームは、シスコの世界水準のセキュリティでエンドツーエンドに保護されており、あらゆるやり取りを安全に守ります。
今回の WebexOne では、この基盤を一段と強化する新たなパートナーシップも発表しました。
これらの提携によって、Webex Calling はよりインテリジェントで信頼できるセキュリティを備えたソリューションへと進化します。
Cisco UCM:市場を牽引するオンプレミス プラットフォームの継続進化

Cisco Unified Communications Manager(UCM)は、金融・医療・小売・政府機関など、世界のミッションクリティカルな領域で 3,000 万人以上に選ばれ続けている、確かな選択肢です。シスコは UCM への取り組みを継続しています。バージョン 15 以降、125 以上のポートフォリオ機能拡張、300 超のセキュリティ更新、10 種類以上の新たな認定を提供してきました。
進化の旅は始まったばかりです。Cisco UCM バージョン 16 を含め、今後 10 年以上を見据えたロードマップを策定しているため、お客様はシスコを信頼し、安心して UCM への投資を続けることができます。
また、Nutanix とのパートナーシップにより、ハイパーバイザの柔軟性がさらに広がることも発表しました。まもなく UCM は Nutanix AHV ハイパーバイザをサポートし、Nutanix のオンプレミス通話環境において、より高い柔軟性を実現できるようになります
Webex Calling Hybrid:オンプレミスとクラウドをつなぐ AI
シスコは、クラウドプラットフォームとオンプレミス プラットフォームを合わせ、世界中で 5,000 万人を超える Calling ユーザーを支えています。これまで企業は、オンプレミス環境の制御しやすさを取るか、クラウドのイノベーションの速さを取るかという難しい選択を迫られてきました。

Webex Calling Hybrid の登場により、Cisco UCM や他社製オンプレミス PBX を Webex Calling と連携させ、AI を活用したクラウドのイノベーションをオンプレミスに拡張し、既存の環境を維持したまま最新のクラウドサービスをシームレスに利用できるようになります。
この業界初の革新的アプローチにより、オンプレミスとクラウドを統合し、将来の変化にも対応可能なスムーズな通話体験を構築できます。現在、UCM および BroadWorks のお客様は、既存のオンプレミスインフラを活用しながら、
Desk Phone のイノベーションの拡大:9800 シリーズに新モデル 9811 が登場

Cisco Desk Phone 9800 シリーズに、新モデル Cisco Desk Phone 9811 が加わり、ラインアップがさらに充実しました。この新モデルでは、基本的な通話機能を洗練されたデザインで提供されます。本体には 77% の再生プラスチックが使用されており、シリーズの中で最もサステナブルなモデルです。
また Webex Calling ユーザー向けに、通話中の文字起こし機能や、緊急通報・セキュリティアラート・メッセージ・アナウンスなどに即座にアクセスできる改良版マルチトリガー アクション ボタンを搭載しました。シスコの『電話機導入ガイド』を参考にすぐにセットアップでき、導入もスムーズです。
HD Voice と Webex AI Codec による明瞭な音声、今後追加予定のリアルタイム字幕・翻訳機能により、9800 シリーズはあらゆるワークスペースに柔軟に対応します。Cisco UCM と Webex Calling の両方をサポートしているため、現在も将来も最大限の柔軟性を発揮します。
Control Hub:AI が実現する管理性

- Control Hub は、Webex Suite、Cisco UCM、シスコデバイスを一元管理できる管理コンソールです。今年、対象範囲を ThousandEyes、Meraki、Cisco Spaces などのシスコソリューションにも拡大することを発表しました。これにより、ネットワークからオフィス空間まで、統合的な可視化と制御が可能になります。さらに、Control Hub 全体で利用できる AI Assistant により、管理者は求める情報を簡単に検索・実行できます。
WebexOne 2025 では、AI を活用した新しい Control Hub ツールのデモも行いました。
- AI Canvas:リアルタイムテレメトリ、AI インサイト、チームコラボレーションを 1 つのビューに統合する共有インテリジェント ワークスペース向け生成 UI。
- AI レポート:管理者が自然言語で Control Hub にクエリするだけでレポートを生成し、問題をプロアクティブに特定できる機能。現在ベータ版です。
- Webex Compliance Hub:シスコパートナーの Theta Lake を活用し、Webex Suite のコンプライアンス・データガバナンス・情報保護・リスク管理を包括的にサポートするポートフォリオ。
このほか、障害対応機能の強化、テンプレート機能、ローカル ゲートウェイ アラート、ダイナミックデバイス設定など、多彩な新機能も発表しました。
今後の展望
WebexOne 2025 では、シスコがクラウド、オンプレミス、そしてその両方の利点を融合したハイブリッドソリューションによって、通話の未来をどう再定義していくのかを示しました。AI を活用して日々の通話をよりスマートにする革新から、グローバル展開・セキュリティ強化、Cisco UCM や新デバイスへの継続的投資まで、幅広い取り組みが進行中です。しかし、目標は一つ。業界で最も柔軟で、安全かつインテリジェントな通話プラットフォームを提供することです。
新しい働き方を導入する企業が増える中、シスコは、そうした企業がつながりを保ち、強靭さを確保し、未来に備えられるよう支援していきます。WebexOne 2025 で発表したこれらのイノベーションは、その第一歩にすぎません。これからも、世界中のお客様やパートナーの皆さまと共に、この進化の旅を歩み続けます。
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