Cisco Live アムステルダム では、Webex Contact Center 向け Cisco AI Assistant の一般提供が開始され、Webex Customer Experience 向けの新機能が発表されました。
顧客とのやり取りにおいて今の時代に最も重要なのは、常に価値を感じてもらえるような、最高の体験を創出することです。理解に苦しむようなひどい経験は、読者の皆様もお持ちのことでしょう。
CX(カスタマーエクスペリエンス)の専門家を対象に Metrigy 社と Webex が最近実施した共同調査では、ヨーロッパの企業の間で顧客満足度の格差が広がっていることが判明しました。大きな変化の一つは、顧客満足度を高める目的で AI の導入が広がっていることです。顧客満足度が高い回答者のほぼ全社が CX 戦略に AI を採り入れているのに対し、顧客満足度が低い回答者の間では、その割合がわずか 9% だったのです。
今必要なのは現状を打破すること、つまりカスタマー エクスペリエンス センターを構築して顧客とのつながりを新たなレベルに引き上げることです。最も効果的なのは、技術的なブレークスルーによる、部門間をまたいだ統合です。これにより、長い間悩まされてきた問題を解決できるからです。そのブレークスルーとは AI のことです。
AI は最新のカスタマーエクスペリエンスの基盤であり、カスタマー エクスペリエンス センターのビジョンを実現します。たとえば AI による自動化やインテリジェンスにより、顧客のニーズを予測し、24 時間体制のサービスを提供し、パーソナライズされた体験を創出できます。またアナリティクスにより、意思決定をスピードアップし、ビジネス成果を向上できます。現代のハイパーコネクテッドワールドでは、あらゆるやり取りにおいて顧客に価値を感じてもらう必要がありますが、そのためには次のような要素を備えたエクスペリエンスセンターが不可欠です。
- 顧客のニーズを予測:プロアクティブなコミュニケーションと AI を活用したサービスにより、インテリジェントな顧客対応を実現。
- 24 時間体制のフロントドア:AI なのに自然で人間のように感じられる、魅力的な顧客エンゲージメント。
- ユーザーの目的(インテント)を自動的に理解して行動:インテントを理解した自動対応により、顧客リクエストをその場所で解決し、エスカレーションの必要性を低減。
- AI で人材を強化:AI ツールにより顧客対応の従業員やリーダーを強化することで、ポテンシャルを引き出して生産性を向上。
- 分析をアクションにつなげる:強力なアナリティクスを活用して顧客ニーズを把握し、プロアクティブな対応を実現。
これにより、スピーディーでパーソナライズされた、親身な対応という、顧客が望む体験を提供できます。話を理解してもらい、大切にされていると顧客が感じられれば、ロイヤリティや顧客関係の強化にもつながります。
そこでシスコでは、エクスペリエンスセンターの構築という次の一歩にお客様が踏み出せるよう、非常に重要な新機能を発表しました。
Webex Contact Center 向け Cisco AI Assistant の一般提供が開始
Webex Contact Center 向けの Cisco AI Assistant は、人間のエージェントや責任者を AI がサポートするもので、ガイダンス、コンテキスト、インサイト、要約を自動で提供して顧客とのやり取りを強化します。本日、Webex Contact Center のお客様向けに、Cisco AI Assistant の一般提供(注文受付)が開始されました。
顧客対応チームにとってのメリットは、エージェントが働きやすい環境を AI により整え、可能な場合には、会話の要約、文脈に応じたハンドオフ、エージェントのウェルビーイングのモニタリングといった従来は手作業で行っていた業務を自動化できる点です。また責任者にとっては、AI を活用することで主な通話理由を特定し、CSAT に影響を与えるエージェントの行動を洗い出せる利点があります。
シスコの AI プラットフォームをベースとして、Webex Contact Center 専用に開発されたこれらの機能は、多忙なエージェントや責任者の生産性を高めてストレスを減らすなど、ビジネス成果を達成できるようサポートします。
- AI Agent 転送時のコンテキスト要約:AI エージェントや IVR から人間のエージェントへの引き継ぎがスムーズになります。同じ内容を顧客が繰り返し伝えるといった事態を防げます。
- 通話切断時の要約:通話が切断された場合に内容をまとめて文書化します。これにより、以前のコンテキスト全体を把握しながら、通話を滞りなく再開できます。
- エージェントのウェルビーイング:過度の疲労の兆候をリアルタイムで自動的に把握します。また、休憩、スケジュール変更、チャネル全体のキャパシティ管理といった予防措置を自動で提案します。
よりスマートで効率的なコンタクトセンターを運営するために CX リーダーが活用できる、AI を活用した以下の分析機能も備えています。
- トピックの分析:過去のデータを活用することで、エージェントが着信コールの理由を迅速に判断できるようにします。ここでの分析データは、トレーニング、FAQ、プロセスの更新といったプロアクティブな対策を取るのに役立ちます。
- 自動の CSAT スコアリング:運用データとトランスクリプトを活用して、音声対話の 100% を評価します。顧客アンケートの回答率が低いという課題を効果的に克服できます。この機能は今後、エージェントのトレーニングやコーチングでも活用できるようになる予定です。
2025 年第 2 四半期には、回答内容の提案、エージェント向けのリアルタイムの書き起こし、通話中/通話終了時の要約などの、より高度な機能を追加する予定です。
仮想エージェントの対応の要約

中断された通話の要約

インテリジェントなエンゲージメントを実現する、AI を活用した顧客対応
顧客のセルフサービス体験を変革する Webex AI Agent が、今後数か月以内に一般提供される予定です。ある調査によると、顧客はセルフサービスのオプションを望んでいますが、柔軟性や解決率の低さからセルフサービスを避けている顧客も 55% にのぼっています。Webex AI Agent は、こうした課題を次の方法で解決します。
- 柔軟で自律的な AI エージェント:インテリジェントで人間のような会話のなかで、リアルタイムかつ自動的に問題を解決します。こうした AI エージェントは、音声とデジタルの両チャネルにわたっていつでも利用できるほか、従業員向けのサポートでも活躍します。
- 音声とデジタルの両チャンネルにおける 24 時間体制のサポート:待ち時間が発生しないため、エージェントの日常業務に費やす時間を大幅に削減し、より複雑で価値の高い対話に注力できるようになります。
- わずか数分で構築できる AI エージェント:ユーザーフレンドリーな設計ツールで、ビジネスユーザーや IT 管理者が AI エージェントを簡単に構築、導入、管理できます。ワークフローとシームレスに統合したうえで、顧客の意図を理解して必要な行動を取れるため、サードパーティソリューションに頼ることなく市場投入までの時間を短縮可能です。
- 企業によるコントロール:優れた柔軟性と選択肢により、ユースケースに応じて適切な AI エンジンを特定し、必要なセキュリティの観点から適切なガードレールを確保できます。また、企業専用に設計されたツールとして、開発、テストから継続的な知識管理まで、AI エージェントのライフサイクルの段階すべてを手軽に管理できるようになっています。
Webex AI Agent は、本日より Webex Contact Center とネイティブに統合されるほか、今年後半にはサードパーティのコンタクトセンターとの統合にも対応する予定です。また、対応言語は現時点では英語のみですが、今年後半にはフランス語、ドイツ語、イタリア語、オランダ語、ポーランド語、ポルトガル語、スペイン語、スウェーデン語が追加される計画です。
Webex AI Agent は、シスコの「責任ある AI」原則に従い、プライバシーと安全性を最優先して開発されています。
Cisco & Webex Contact Center Enterprise 15 が新登場
Unified Contact Center Enterprise(UCCE)と Webex Contact Center Enterprise のどちらでも、お客様に最新イノベーションを提供するというシスコのコミットメントは変わりません。近々リリースされる CCE 15 では、デジタル機能の追加、スケーラビリティの向上、セキュリティとアクセシビリティの強化が図られる予定です。さらに、Webex AI Agent と AI Assistant の早期トライアルに参加する機会も提供されます。
カスタマーエクスペリエンスの未来の姿が、すでに到来
顧客体験とは、大切にされていると顧客に感じてもらうことであり、ロイヤリティのことでもあります。Webex Contact Center、新しい AI Assistant、近日登場予定の AI Agent により、顧客体験の創出がこれまで以上に簡単になります。CX の目標を達成するためにシスコのソリューションがどのように役立つかについては、World of Solutionsで実際にご覧いただくか、営業チームまでご連絡ください。
最後になりましたが、3 月に開催される CX ロードショーにご期待ください。Webex の最新の AI 技術や、Webex を活用して優れたカスタマーエクスペリエンスを提供するヒントなどをご紹介する予定です。
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