AI による従業員体験の変革はまだ始まったばかり
職場は、かつてない大きな変革期を迎えています。AI により生産性が今や別次元に達しており、テクノロジーが単なる補助的な役割ではなく、より能動的な業務強化の役割を担っているからです。インテリジェントな自動化から AI 主導の分析に至るまで、効率、コラボレーション、意思決定の分野が新たな時代を迎えたと言えます。ただし、こうした技術の進歩には課題も伴います。断片化されたシステムの管理、シームレスなユーザーエクスペリエンスの確保、複雑化する IT エコシステムの統制などがそれです。
シスコにとって、ハイブリッドワークの成功は技術面の進化だけを意味しません。ソフトウェアとハードウェアをシームレスに融合して、新たな可能性を引き出すための、AI を活用したエクスペリエンスが鍵を握ると考えています。これらの要素が調和することで、よりインテリジェントで、より直感的で、より人間味のあるコラボレーションが実現するからです。
従業員体験の分野でシスコは業界リーダーとなれるよう常に努めてきました。働く場所を問わず生産性を最大限に引き出せるツールを提供することは、シスコが市場に送り出す、あらゆるイノベーションで重視しているポイントです。そうしたツールでは、ワークフローを合理化すれば十分というわけではありません。ユーザー、デバイス、ネットワーク、ソフトウェア、サードパーティツールといった複数の要素からなるワークプレイスを集約し、一元的に把握できるシームレスでインテリジェントなコラボレーションツールも欠かせないのです。エンタープライズグレードのセキュリティと管理性を維持できる必要もあります。
サステナビリティはシスコの戦略の重要な一角を占めています。必然的にシスコのソリューション設計では、エネルギー効率の向上、廃棄物の削減、長期的な環境目標の達成といった点も配慮されています。そこでシスコでは本日、当社の戦略をさらに推し進めるべく新たな製品やアップデートを発表しました。進化するデジタル環境の中で、お客様が一歩先を歩めるようサポートするだけでなく、コラボレーション、サステナビリティ、インクルーシブの分野でも大きく貢献する技術です。
ワークプレイス向けの新製品とアップデート
今回発表された内容は主に 5 つで、いずれも柔軟性、インテリジェンス、サステナビリティを大きく改善することが期待されています。
- Webex Suite:新次元のコラボレーションを実現
- Webex の新機能が EMEA でも提供開始:強化された AI、セキュリティ、通話の各機能を、より多くの国のお客様に提供
- サステナビリティを重視した機能強化:9800 シリーズの電話機向けアップデートなど
- Workspace Designer:複雑な構成管理がシンプルに
- 新登場の Cisco Room Bar BYOD:次世代レベルの柔軟なミーティングを実現
本稿では、これらの新技術がどのようにコラボレーションを強化し、未来を見据えたワークプレイスの実現に役立つかをご紹介します。
Webex Suite:新次元のコラボレーションを実現

ペースの速い今の世界では、コラボレーションは単に「部屋に人を集める」ことではありません。つながりを生み出し、イノベーションと生産性を促進することなのです。ハイブリッドワークやリモートワークが当たり前になりつつある今日、シームレスでインテリジェントなコラボレーションツールはもはやオプションではなく、必須だと言えます。そこで役立つのが Webex Suite です。AI と最先端技術を活用することで生産性と意欲を高め、実際に成果をあげるための、パワフルなコラボレーションソフトウェアが集まったエコシステムです。コラボレーションやアイデア出しに欠かせないメッセージ機能やホワイトボードなど、あらゆるタイプのインタラクションをサポートしている点が特徴です。
Webex Suite の中核を成す AI アシスタントは、ソフトウェアというよりも、個人的なミーティングパートナーのように感じられるツールです。会議を終えた後に、重要なポイントをなかなか思い出せなかった経験は幾度もあることでしょう。会議のアクションアイテムを忘れるといった、より深刻な事態だって珍しくありません。そこで活躍するのが AI アシスタントです。会議でメモを取り、要点を整理し、決定事項やアクションアイテムをリストアップするといった作業が、AI アシスタントなら自動でリアルタイムにこなせるからです。新しいアイデアのブレーンストーミングから、重要な意思決定まで、細かいな部分まで見逃さないため、全体像に集中することができます。つまり管理業務を合理化しつつ、成功させるための条件を整えた状態でいつでも会議に臨めるのです。
次にご紹介するのは、受動的な会議をインタラクティブな体験に変えるツール、Slidoです。これまでの会議と言えば、その多くは一方通行でした。これは特に、発言者が偏りがちなハイブリッド環境で顕著でした。この事態を変えるのが Slido です。ライブの質疑応答セッション、投票による意見収集、フィードバックループによるアイデアの集約といった機能により、全員が参加できるのが Slido の特徴です。チームは積極参加してこそ真の力を発揮するものであり、そうした環境をどこでも整えられるのが Slido なのです。受け身から積極参加へと姿勢をシフトさせることで、コラボレーションをよりダイナミックで魅力的なものにし、新鮮なアイデアを促進できる効果もあります。
そのためのスムーズな環境を舞台裏で支えているのが Control Hub です。すべてが滞りなく進行できるよう調整する、コンサートにおける裏方のような存在だと言えます。Control Hub の特長は、Webex 環境を直感的かつシームレスに管理できる点です。使用状況の追跡から、設定の調整、セキュリティの確保まで、すべて一か所で手軽に管理できるからです。ただし Control Hub が特別なのは、その可視化能力にあります。これによりデータに基づいた意思決定を下し、コラボレーション体験を向上させることができるのです。複雑なワークフローを管理するストレスから解放され、技術面ではなくチームの生産性アップに注力させてくれる、そんなツールです。

さらに別のツールが、ネットワークパフォーマンスの信頼性向上に役立つ ThousandEyes です。大切なビデオ通話が途切れたり、映像や音声が遅れたりした経験は誰にでもあると思いますが、それを防ぐのが ThousandEyes です。ネットワークのパフォーマンスを継続的に監視・分析し、ワークフローに支障をきたす前に潜在的な問題について深く分析できるのが魅力です。接続が遅い/途切れたなど、予期しない障害が発生した場合でも、問題を可視化してプロアクティブなアクションを取れるため、コラボレーションの中断を防げます。
最後のツールが、動画コンテンツを簡単に共有して利用できる Vidcast です。これは非同期コミュニケーションが主流となった今日に、まさにぴったりのツールです。Vidcast を使うことで、都合に合わせていつでも動画コンテンツを録画、共有、視聴できるため、皆が同じ時間に一堂に会するのを待つ必要がありません。製品のアップデート、トレーニングセッション、重要なチームブリーフィングなどのコンテンツを、必要なすべてのユーザーに簡単に配信できるため、場所やスケジュールを問わず常につながり、情報をアップデートできます。
Webex Suite は、単に人をつなぐだけではありません。各自の働き方に合わせた、よりスマートで「その場にいる」のと変わらない働き方を実現できるツールなのです。AI を活用したツール、リアルタイムのエンゲージメント機能、シームレスな管理といった特徴を備えており、今日のダイナミックな人材が将来にわたって活躍できる理想のコラボレーションソリューションだと言えます。
Webex の新機能が EMEA でも提供開始

ヨーロッパ全土の各業界は、クラウドを採用して、その革新的な力を活用しようと躍起になっています。しかし多くのセクター(特に公共サービス、医療、金融、その他の規制産業)にとって、テクノロジーの導入とは単なる最新技術を採り入れることではなく、信頼、安全、そしてコントロールという側面もあります。では、どうすればクラウドの柔軟性を得ながら、データを保護し、コンプライアンスを遵守し、データの地域要件を満たせるのでしょうか。
今日の複雑なデジタル環境ではフリーサイズのソリューションなど役立たないことは、シスコもよく理解しています。そのため、Webex の機能提供を EMEA 全域に拡大し、お客様のニーズに合わせた選択肢、コントロール、コンプライアンス対応ソリューションを拡充できるよう努めています。
クラウドコラボレーションで単一のクラウドモデルを推し進めるプロバイダーもありますが、シスコでは柔軟性の大切さを認識しており、シクラウド、ハイブリッド、モバイル、オンプレミスの各ソリューションに投資しています。多国籍企業から公共機関まで、あらゆるお客様が安全かつ効率的にコラボレーションできる環境をお届けするためです。
英国(マンチェスター)、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、南アフリカに新たなデータセンターを開設し、各地域のクラウドインフラを拡大しています。これによりお客様はパフォーマンスを犠牲にすることなく、データレジデンシーとソブリン要件を満たすことができます。それと同時に、オンプレミスとエアギャップのソリューションを強化し続け、データと運用の完全なコントロールを必要とする組織をサポートします。

今日のコラボレーションはグローバル規模で進んでいるため、言語が障壁になるべきではありません。Webex では、異なる地域のチーム間でも円滑にコミュニケーションがとれるよう、現時点で 120 以上の言語におけるリアルタイム翻訳をサポートしています。また、AI アシスタントの機能が強化されたことで、これまで以上に多くの言語でインテリジェントな要約、書き起こし、音声コマンドといった機能をご利用いただけるようになりました。
今のモバイルファーストの世界では、外出先でもシームレスで使える、エンタープライズグレードのコミュニケーションツールが業務に不可欠です。シスコのモバイルコラボレーションソリューションは、すでに英国とフランスにおけるセキュリティとコンプライアンス要件を満たしていましたが、今回新たに、Cloud Connect パートナーを通じて欧州の 10 カ国にも対象を拡大しました。これにより、Webex と同水準のセキュリティとコンプライアンスを維持したまま、モバイルデバイスから直接ビジネス通話ができるようになります。
イノベーションを優先するあまり、セキュリティ、コンプライアンス、選択肢を犠牲にするのは、あってはならないことです。これはシスコの単純明快な方針です。パブリッククラウドに代わる他社の選択肢は限られていますが、シスコではハイブリッドとオンプレミソリューションへの投資を続け、お客様に最適なものを選んでいただけるように努めています。
提供地域が広がったクラウドインフラ、AI を活用した機能、安全なモバイルソリューションといった特徴を備えた Webex は、ヨーロッパ全土や世界各地において、コラボレーションの柔軟性、安全性、インテリジェンスの分野で業界をリードしています。
よりスマートなデバイスでサステナビリティに貢献
サステイナビリティはもはやオプションではなく、戦略的優先事項となっています。世界中の企業が温室効果ガス(GHG)排出削減の野心的な目標を掲げていますが、それを達成するには、よりスマートなテクノロジーが不可欠です。これによりワークプレイスのエネルギー消費を積極的に削減し、デバイスの寿命を延ばし、廃棄物を最小限に抑える必要があるからです。

シスコの製品におけるサステナビリティは単なる特徴ではなく、設計プロセスに織り込まれています。循環性に配慮したCisco Desk Phone 9800 シリーズがまさにその一例です。製品の主要部品の 93% は一般的な工具で分解可能であるため、修理やリサイクルのしやすさを改善しつつ、材料のライフサイクルを延ばしています。さらに、消費後の再生プラスチック樹脂を 74% 以上使用することで、石油や天然ガスから直接製造されたプラスチックの使用量を減らしている点も特徴です。さらに製品のパッケージには、100% リサイクルされたビニール梱包や繊維ベースの代替品が使用されています。しかし大切なのはサステナビリティと素材だけではありません。インテリジェントなエネルギー管理も鍵を握ります。9800 シリーズのいくつかのデバイスは ENERGY STAR® 認証を受けているほか、現在ではシリーズ全体がディープスリープモードでさらなる省エネに対応しています。このモードにより、業務外の時間帯は自動でデバイスの消費電力を節約できます。全体的にエネルギー消費を抑えてコストを削減できるだけでなく、デバイスの長寿命化にも貢献しています。

IT リーダーにとって、エネルギー使用を追跡、分析、最適化できる仕組みは非常に重要です。これが、Control HubにSustainability Insights を統合した理由です。温室効果ガス(GHG)排出量とエネルギー使用量をリアルタイムで監視し、データに基づいて環境フットプリントの削減につながる意思決定を下せるからです。
その影響は個々のデバイスにとどまりません。IP 電話からコラボレーション エンドポイントまでを含む、ワークプレイス全体の消費電力をスマートに管理することで、発熱量を抑制し、冷房需要を減らし、オフィススペース全体で省エネを実現できます。
サステナビリティは、単なる省エネではありません。テクノロジーをよりスマートに活用することも大切なのです。
Workspace Designer により、複雑な構成管理がシンプルに

ハイブリッドの課題は何でしょうか?研修室や講堂、大教室に入れば、それにすぐに気付くことでしょう。どうすればリモートの参加者もその場にいるように感じられるか、ということです。仕事や学習がハイブリッドになった今、この課題を乗り越えることはこれまで以上に重要な意味を持ちます。セミナー、企業研修、地域イベントといった場面では、音質やカメラアングル、あるいはスクリーンの配置といった問題のため、リモートの参加者が「その場にいる」のと同じように参加するのが難しいことも珍しくありません。
このような課題については、シスコのお客様からも繰り返しご指摘をいただいてきました。多くのケースで共通する原因は、従来の AV 機器がハイブリッドコラボレーション用に設計されていないことです。そこでシスコは、研修室や講堂といったスペースを 3D で可視化する設計体験を提供する新機能を開発しました。
それが Cisco Workspace Designer です。この機能を利用すれば、IT チーム、施設管理者、不動産プランナー、建築家は、ガイド付きのヒントや推奨事項に沿って進めるだけで、スペースを 3D で視覚化して構成・最適化できるようになり、スペースをこれまで以上に効果的な部屋に変えることができます。部屋の寸法、座席レイアウト、AV コンポーネントはいずれもユーザーが定義可能なほか、カメラ、マイク、スピーカーの距離や効果を視覚で確認しながら配置を微調整できます。おすすめの設計がインテリジェントに提案されるため、室内とリモートのいずれの参加者も公平に参加できるような会議室の設計に役立てることができます。
これは単なる部屋のデザインソリューションではなく、AV コンポーネントを推測に頼らず正確に導入するためのツールでもあります。導入前に課題に対処できるため、コストのかかるミスを避け、意思決定を迅速化することにもつながります。Cisco Workspace Designer により、部屋のリニューアルから新施設の設計まで、スムーズかつ効果的なハイブリッド環境をかつてなく手軽に構築できます。

柔軟性に欠けた AV 機器は、今の時代にそぐいません。ハイブリッド学習スペースには、リアルタイムの適応力が求められているからです。Workspace Designer では、プレゼンタートラッキングによりプレゼンターを常にフレーム内に収められるほか、参加しやすいよう座席配置を工夫する、視認性を高めるために複数の画面を追加する、部屋にステージを追加する、といったこともできます。講師やトレーニングファシリテーターを正面に映す効果や、質疑応答セッションでの発言のしやすさなどを、リモート参加者の観点からぜひご体験ください。シスコでは、AI を活用したソフトウェアとハードウェアを融合することで、ハイブリッド学習を室内でもリモートでも皆が手軽かつ平等に参加できる、包括的な体験へと変えていきます。
Cisco Room Bar BYOD が新登場:あらゆる会議室に究極の柔軟性を

こんな場面を思い浮かべてください。ミーティングを控えてノートパソコンを片手に会議室に入りますが、必要なケーブルや電源アダプターを探し、接続の問題を解決するのに最初の 5 分を浪費してしまいます。四苦八苦する間、リモートの参加者はロビーで待つことになります。
悲しいことに、これはよくあるシナリオです。そこで登場したのが Cisco Room Bar BYOD です。
USB-C に接続するだけで、高画質なビデオ、空間サウンド、AI を活用したノイズ除去を瞬時に使えるなど、どんな部屋もプロフェッショナルなコラボレーションスペースに変わります。Webex、Zoom、Google Meet、Microsoft Teams のいずれにも対応しており、よくある技術的な問題や互換性の心配をすることなく、会議をすぐに始められます。また 4K でコンテンツを配信できるため、プレゼンテーションがこれまで以上に鮮明で魅力的なものになります。

簡単に接続できることも魅力ですが、別の特徴は、IT 部門を念頭に置いて設計されている点です。企業用の管理ツールを持たない他の BYOD ソリューションとは異なり、Room Bar BYOD は Control Hub と統合されています。そのため IT チームは、部屋の利用状況をリアルタイムで分析して、リモートで管理・トラブルシューティングできます。つまり、シームレスな体験を常に保ちながら、ミーティングスペースを最適化できるのです。
Room Bar BYOD の際立った魅力は、そのアップグレード性にあります。Cisco Room Navigator を接続するだけで、フルマネージド型のルームシステムに生まれ変わるのです。高額な改修工事は必要ありません。すぐに使えるソリューションですが、将来を見据えた投資という観点でも Room Bar BYOD は十分にニーズを満たしています。従業員は優れた柔軟性を、IT 部門はエンタープライズグレードのインテリジェンスを得られるのは大きな魅力です。さらにシスコのデバイスはすべて、優れた AI、相互運用性、サステナビリティ、そして管理性を備えています。
未来を見据えたワークプレイスを整える
シスコは、技術を開発するだけでなく、エクスペリエンスを創造する企業でもあります。私たちの目標は、全体のスムーズな運用に欠かせない可視性とコントロールを IT チームに提供すること、そして手軽で直感的・包括的なコラボレーションをすべての従業員に提供することです。

今回ご紹介した最新機能により、あらゆるワークスペース、デバイス、インタラクションをより効果的に活用し、将来への備えを整えることができます。これは、よりスマートでアジャイルな働き方にもつながります。優れたコラボレーションの鍵とは、会議室にあるテクノロジーのことではなく、参加者がどこにいてもひとつになれるスペースをデザインすることにあるからです。
これが未来の働き方であり、シスコでは皆様と一緒にそれを形成していけることを楽しみにしています。
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