MindMeld チームは、シスコの Webex Intelligence チームの一部です。パンデミック後の世界における従来型のオフィス環境を改善するテクノロジーの構築に取り組んでいます。 最も力を入れているのがタッチレス インターフェースです。2019 年にリリースした企業向け音声アシスタント Webex Assistant により実現します。 Webex Assistant では、ユーザーは自分の声を使ってさまざまな操作ができます。Webex ビデオ会議デバイスの操作、会議室でのミーティングのスケジュール設定、オンライン ミーティングへの参加、企業名簿内の人への発信などです。 また、アクション アイテムの作成、議事録の作成、フォローアップ ミーティングのスケジュール設定といったミーティング内のサポートも提供します。2019 年、シスコは Webex Assistant を支える対話型 AI プラットフォーム MindMeld をオープンソース化しました。このプラットフォームを活用すれば、誰でもこの種の対話型システムを他のドメインで構築できるようになります。こうしたイノベーションの裏には、AI テクノロジーと製品の改善に取り組み続けているエンジニア チームの存在があります。 今回、MindMeld チームに加わって 1 年の機械学習エンジニア Ritvik Shrivastava に話を聞きました。 コロンビア大学を卒業した Ritvik は、2019 年の夏にシスコでインターンを経験した後、MindMeld チームに加わりました。 始めに 自己紹介をお願いできますか。現在の職種と担当している仕事の内容についても教えてください。 Ritvik Shrivastava です。Webex Intelligence グループの MindMeld チームで、機械学習エンジニアをしています。 インテリジェント ソリューションを設計、開発し、オープンソースの対話型 AI プラットフォーム MindMeld や Webex Assistant などさまざまな Webex Intelligence サービスに導入する仕事をしています。 私たちのチームは、応用機械学習と、そのモダリティ (画像、音声、テキスト) に力を入れています。 私が主に担当しているのは、テキストベースのシステム、より広義に言えば自然言語処理です。機械学習と自然言語処理の両方を活用した製品を開発するうえで、何がインスピレーションやモチベーションの源となっていますか? AI と機械学習のモダリティの中で、私が特に力を入れているのが、テキストを主な入力形式として使う自然言語処理です。 私は本を大量に読み、散文や詩を書いて育ちました。そのため、AI という、大学 2 年生の私にとっては未知の領域に足を踏み入れた後、言語学、自然言語処理へと移っていったのは、ごく自然な流れでした。 機械が人間と同レベルの文章作成力と理解力を得るには何が必要なのか。この分野の前提となる問いに、いつも頭を悩ませています。 自然言語生成に関する最近の発見のおかげで、まだまだではありますが、真実にまた一歩近づきつつあるように思います。 未だ埋められない機械と人間のギャップが、自然言語処理と機械学習の交差するところに取り組んでいる私の主なモチベーションの源となっています。MindMeld のことは、どのようにして知りましたか? また、このチームで働くことを決めた当初、期待していたことは何ですか? 会話は、人間のコミュニケーションの主要な形態です。 会話についての理解を深め、機械による会話の認識方法を改善することは、数理言語学の分野を自動化し、AI の理想へとさらに近づくうえで、重要な研究目標です。 大学院では、会話の要素である対話、討論、スピーチの加工過程の理解に重点を置いて研究していました。 また同時に、産業界で実際の応用に携わるチャンスや、同様の研究アイデアを実現できる大規模な手段を探し求めてもいました。 私が MindMeld のことを知ったのは、前にこのチームとやり取りしたことのある知り合いを通じてのことでした。 問い合わせてチーム メンバーの何人かのお話を伺い、ぜひ一緒に働きたいと思うようになりました。 MindMeld のオープンソースは、誰でも独自のスマートな対話型アプリを作れるようになるワンストップの NLP アーキテクチャを作り出すことに重点を置いています。これには非常に感動しました。 業界初の産業用スマート アシスタント Webex Assistant も開発しており、これも非常に取り組みがいのある製品でした。 ですから、採用の話が来たときには受けない理由はありませんでした。初めて MindMeld プラットフォーム向けの開発を行うにあたって、何が大変でしたか? AI を活用したソリューションについては、学生として一時期研究に従事してはいたものの、産業用レベルの開発や導入を手掛けるのは MindMeld プラットフォームが初めてでした。 初めての経験である以上、それなりに大変なことはありました。 新しさだけでなく、導入した ML モデルの拡張性、レイテンシ、パフォーマンスについても重視しなければならないのです。 最初の数週間をかけ、エンドユーザーが多額の費用をかけずに最先端の AI テクノロジーを使えるようにするには、こうした要素がいかに重要かを学びました。 非常に勉強になりましたし、学んだスキルについては今後も引き続き磨きをかけていこうと思っています。これまでに遭遇した興味深く予想外の問題はありますか? 予想外ではないのですが、特に興味深い課題ということであれば、各国語対応があります。MindMeld や Webex プラットフォームでの複数言語のサポートという課題です。 自然言語処理関係の学会での研究は、大半が英語についてのものです。しかし、複数言語に拡張できるツールやメソッドの開発にも注目が高まってきています。 これは、世界中の人が利用できる高度なソフトウェア システムを構築するうえで極めて重要です。 チームがこの課題を重視する方向を強めていくのを目の当たりにすることになりました。 言語の面での包括性は、この 1 年間の重要目標でした。データ拡張や注釈ツールなど、MindMeld プラットフォーム向けに開発した新機能のすべてに組み込まれています。 複数言語サポートは、Webex Assistant にも導入されています。 多言語対応のアシスタントと話してみたいという好奇心から、私はスペイン語を学び始めました。個人としても大きな成長につながったことになります。普段の労働時間はどうですか? チームの労働時間のバランスは非常に良好です。 必要なミーティングしかスケジュールされないので、残業しなくても各自の週ごとの目標に取り組むのに十分な時間を確保できます。 適切なワークライフ バランスとなっていて、仕事関連のストレスを抱えることなく他のことを楽しむ時間が十分取れます。最近 MindMeld で重点的に取り組んできた課題は何ですか? 自動のデータ拡張機能を MindMeld に追加することです。開発者は、トレーニング データを何倍にも増やして、開発した対話型アプリの堅牢性を大幅に高めることができるようになります。 同僚と協力し、複数言語の言い換え機能を、最先端のシステムを使って MindMeld プラットフォームに統合することにも取り組んできました。 また、アクティブラーニングベースのクエリー選択や、Weak supervision による自動ラベリングにも取り組んでいます。開発者は、自動でクエリーを関連するドメインやインテントにラベリングし、大量のクエリーの中から最もパフォーマンスが高いものを選び出すことができるようになります。 これにより、アプリを必要に応じたサイズに維持しつつ、パフォーマンスの効率性も実現できます。メインの仕事以外で、MindMeld での仕事で特に魅力的な点は何ですか? インターンシップ中も、正規雇用となってからも、チームの和やかな雰囲気が大好きです。 パンデミック前のオフィス勤務だった頃には、ハッピー アワー、映画上映会、ちょっとしたゲーム休憩が設けられ、毎日の昼食は明るいサンフランシスコの日差しの下で取っていました。どれも仕事の手を休めるのにちょうどよかったですし、チーム メンバーのことを知る機会にもなりました。 在宅勤務になってからは、時々週の終わりに仮想ゲームをして過ごしますが、非常に盛り上がります。 また、この 1 年間設けられたディスカッション スペースも、非常に面白いです。料理の腕前や DIY 作品をテーマとするスペースのほか、私の個人的な趣味でもある腕立て伏せクラブもあります。 グループで仕事中にビデオ通話をしながら腕立て伏せをしましたが、本当に楽しかったです。 在宅勤務には、何らかの問題がつきものです。 在宅勤務はどんな経験でしたか? また、オフィス勤務から在宅勤務への移行についてどう感じましたか? パンデミックの前から、チーム メンバーの何人かは在宅勤務をしていました。 おかげでオンラインで定期ミーティングを持つのは当然のことと理解できていました。また、元々在宅勤務だったメンバーから生産性を高めるためのアドバイスをもらうこともできました。 このため、就職からわずか数週間後には在宅勤務に移行したのですが、比較的スムーズに対応できました。 ほとんどのミーティングではビデオ通話がオンになっています。インタラクティブ感を高め、画面の裏に隠れて孤独を感じることのないようにしています。 Webex をはじめとするコラボレーション ツールを活用すれば、同僚と話したいと思ったときはいつでも簡単に声を掛けることができるので、個人的なつながりも維持できています。 毎日が単調だという問題に関しては、MindMeld チームの在宅勤務の文化では、1 日や 1 週間の仕事のスケジュールを柔軟に組めるようになっています。おかげで、必要に応じて急な用事や個人的な用件をこなしながら、最も生産性の高いやり方で仕事を進められます。MindMeld チームには、何か興味深い仕事の慣例はありますか? いくつかあります。 まず、週明けの定例ミーティングの後、任意で週末の出来事についての話をするのが恒例となっています。 同僚の関心やプライベートの暮らしについて触れることができるいい機会です。 週末の話を聞いていたおかげで会話が弾むことがあったほか、見るべき映画や訪ねるべき場所、試してみるべきレストランなどの情報を得ることができました。 また、隔週でビッグ ヒーロー賞を決めるという慣例もあります。 映画の『ベイマックス (原題: Big Hero 6)』にちなみ、過去 2 週間の最大の功労者や最もパフォーマンスが高かった人に贈られます。決めるのは、前回の受賞者です。 全員が同僚から認められていること、また互いに支え合う環境にあることを確認できるのは素晴らしいことです。 現在は口頭での授与ですが、在宅勤務になる前は、かわいいベイマックス人形が贈られていました。 頑張って働くだけの価値があります。 自然言語処理の分野は急速に進化しており、この数年は、四半期ごとに新たな学術研究が大量に生み出されています。 最新の研究成果をどうやって把握していますか? チームには、2 つの講読会があります。1 つは機械学習に関する論文、もう 1 つはユーザー エクスペリエンスと指標に関する論文を読む会です。 チームが扱う領域はもちろん、それ以外についても、最新研究を把握するのに最適な方法です。 新しいアイデアについて継続的に学び、こうしたセッションで議論することで、アイデアを明確な産業向けのソリューションへと発展させる方法について重要な洞察が得られます。また、関連した研究成果について最新情報を得ることができます。ご自身や MindMeld チームが今後 1 年間で注目したいと考える研究成果や産業界でのユース ケースは何ですか? 自然言語処理に関して注目していきたい最新成果の分野としては、最先端の分類システムとしての変換モデル、会話形式のドメイン データのデータ拡張手法、人工的に対話を生成する自然言語生成システム、複数言語へのさらなる拡大を可能とするシステムが挙げられます。 シスコでは、製品をあらゆる人が使えるようにすることに特に力を入れています。これを念頭に、Webex Assistant のサポート言語を、世界各国の複数の言語に広げていくことを目指しています。 また、ユーザーが日々利用するすべてのコミュニケーション チャネル (メッセージ スペース、メール、ミーティングなど) に散らばるアクション アイテム、リマインダー、重要なポイントを、自動で簡単に特定できるようにしたいと考えています。 これを念頭に、自然言語処理を採用してこうした重要ポイントを収集する方法を検討しています。 自然言語処理以外では、スピーチ処理とコンピューター ビジョンについてもチーム全体で取り組んでいます。 ミーティングの議事録作成、ジェスチャー認識、バーチャル背景への入れ替えと言った機能のユーザー エクスペリエンスの改善にも継続的に取り組んでいます。 さらに、チーム全体で、差分プライバシーやその他のプライバシー保護手法を使ったモデルやパイプラインのセキュリティについても検討しています。
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