この 10 年にわたり、Webex はコミュニケーションとコラボレーションのあり方を改善してきました。この取り組みにおいて、メッセージング、音声、ビデオ、同期・非同期を問わず、一つの不変の要素が浮かび上がりました。それは、何事においても重要なのはエクスペリエンスだということです。最良のエクスペリエンスについて説明するのは簡単ですが、実現するのは一筋縄ではいきません。しかし、それを実現しているのが、シスコのポートフォリオを構成する Webex Suite、Webex Customer Experience、Cisco Collaboration Devices です。
最新のテクノロジーも、とりわけ高度なアルゴリズムも、素晴らしいアイデアを共有して生産的なコラボレーションを可能にするものでなければ無意味です。卓越したエクスペリエンスを提供することに全力を注いでいるシスコは、AI を活用して、従業員間のコラボレーションと顧客とのコミュニケーションを刷新しています。
今年、シスコは「エクスペリエンス」をさらに重視して、インタラクションの明確さ、没入感、有効性を高め、より人間的なものにするために引き続き AI への投資を行ってきました。Webex の次のステップは、エクスペリエンスを充実させることです。
AI Agent によるカスタマーエクスペリエンスの新たな時代
優れたカスタマーエクスペリエンスがどのようなものであるかは誰もがわかっていますが、それを実現するのは口で言うほど簡単なことではありません。最良のテクノロジーであっても、十分に配慮して適用しなければ、優れたカスタマーエクスペリエンスの妨げになる可能性があります。たとえば、前回のカスタマーサービスに非常に満足したと回答した顧客は 25% にすぎません。このことから、サービステクノロジー、特にセルフサービスを進化させる必要があると言えます。そこで注目すべきなのが Webex AI Agent です。Webex AI Agent は、自然な会話形式での真のセルフサービス エクスペリエンスを実現するとともに、ユーザージャーニー全体をオーケストレートして自動化します。AI Agent は人間が話しているようなイントネーションで話し、言語の理解力や会話のコンテキストに従う能力があるため、実在の人物と会話しているような音声でのやり取りが実現するのです。テキストやオンラインチャットによるデジタルインタラクションも同様にシームレスに豊富な情報に基づいて行われるため、顧客は専任のコンシェルジュが対応してくれているかのような気分になります。Webex AI Agent は主要なバックエンドシステムとすぐに統合できるため、エンドカスタマーは Webex AI Agent を使用して不明な点を解消できるだけでなく、問題を解決するためのアクションも実行できます。これはかつてなく人間に近い仮想エージェントのエクスペリエンスであり、AI を活用してドメイン固有のデータを基にビジネスに応じてカスタマイズされた会話が実現し、コンテキストを失わずにスムーズに話題を変えられます。
Webex AI Agent Studioを使用すれば、このような優れた仮想エージェントをこれまでになく簡単に構築できます。コンタクトセンターのマネージャは、Webex AI Agent Studio のシンプルなインターフェイスを使って強力な仮想エージェントをほんの数分で作成できます人間を超える能力を持つ AI Agent を使用すれば、企業は追加の人材を配置しなくてもフロントラインの容量を増やし、24 時間年中無休の体制で顧客からの問い合わせに対応できます。これにより、人間のエージェントはより複雑な問題に集中できるようになるため、セルフサービスのエクスペリエンスとエージェントによる対応のエクスペリエンスの両方が改善されます。
AI Assistant との新しい連携方法
Webex AI Agent はセルフサービス エクスペリエンスに抜本的な変革をもたらしますが、人間のエージェントについてはどうでしょう。エージェントとスーパーバイザは、AI Assistant for Webex Contact Center を活用できます。トピック分析や自動顧客満足度(CSAT)スコアなどのイノベーションは、大量のデータをインテリジェントに分析することによって、エージェントのパフォーマンスを向上させ、顧客満足度を最大限に高めます。エージェントは、仮想エージェントおよび中断された通話内容のサマリーの両方によって知識のギャップを埋められるので、ケースを引き継いでから解決するまでの時間を短縮できます。
シスコのプラットフォームアプローチにより、AI Assistant は Webex Suite を含む幅広い Webex ポートフォリオ全体で利用できます。本日は、シスコが今後 AI Assistant for Webex Calling でのエクスペリエンスをレベルアップさせていく方法をご紹介します。顧客とつながるために不可欠な手段の 1 つは電話 です。このことから、シスコは世界中の 180 を超える市場で 1,600 万人以上の Webex Calling ユーザーを対象に、電話対応という重要なワークロードに AI を組み込むことを予定しています。ユーザーが会話の重要な詳細を忘れないよう、AI Assistant はシスコの音声インテリジェンスにおけるイノベーションと強力な生成 AI モデルを使用して、通話中にリアルタイムで通話内容のサマリー、メモ、アクションアイテムを生成します。通話を転送する際には通話内容のサマリーとメモも共有できるので、通話を転送されたエージェントはこれまで行われた会話をすばやく把握できます。
優れた従業員体験を創出するには、自分が認められ、意見に耳を傾けてもらえると誰もが感じられるようにすることが不可欠です。言語がコミュニケーションと理解の妨げとならないよう、AI Assistant for Webex では現在、AI が生成した要約を 120 以上の言語で翻訳できるようになっています。同じ会議室に複数の参加者がいる場合、AI Assistant は個々の話者を認識し、トランスクリプトで該当する話者をラベルで示すことができます。
さらに近日中には、AI Assistant を拡張して次の機能を追加する予定です。
- Salesforce、ServiceNow、Zendesk などのエンタープライズ アプリケーションと統合してワークフローを自動化する。
- Glean を統合し、共通の顧客が Glean のナレッジグラフと Outlook、Salesforce、ServiceNow などのコネクタを使用して高度なディスカッションを行い、意思決定までの時間を短縮できるようにする。
- Amazon Bedrock でニーズに最適な大規模言語モデル(LLM)を選択する。
- Microsoft Outlook、Teams、Slack などのサードパーティ プラットフォームでサマリーと履歴を共有する。
新たなレベルのオーディエンス エンゲージメント
コラボレーションツールには、現代の働き方のリズムに順応する柔軟性が必要です。シスコのビデオメッセージングツールである Vidcast では、ユーザーが自分に合った魅力的な方法でコミュニケーションを取ることができます。また、AI の力を活用した自動チャプターおよびハイライトで閲覧エクスペリエンスを拡充し、AI を活用したノイズ除去、そして没入感を演出する背景でコンテンツを強化できます。このエクスペリエンスをさらに一歩先に進めるために、間もなく AI 生成機能を備えた Vidcast をリリースする予定です。この新しい Vidcast では、PDF または PPT ファイルをアップロードするだけでトークトラックが生成されるだけでなく、ボイスオーバー付きのビデオまで作成することができます。
さらに、オーディエンスの参加を促すために、AI によってプレゼンテーションの内容を基にカスタマイズされた投票も生成できるようにする予定です。Slido の新しい AI 機能では、ワンクリックで Microsoft PowerPoint や Google スライドでのプレゼンテーションをシームレスに分析し、その内容に合わせたカスタム投票を提案します。これにより、参加者のエンゲージメントを今までになく簡単に高めることができます。
シスコのデバイスでの真に迫ったエクスペリエンス
「Distance Zero(距離感ゼロ)」とは、人と人との間の距離感をなくし、あらゆるインタラクションを対面で行っているような感覚にするというシスコのビジョンです。現在の Distance Zero エクスペリエンスは、シスコのデバイスと Webex ソフトウェアで音声およびビデオを対象に構築された専用の AI を活用して実現されています。さらに、このエクスペリエンスを拡張し、お客様が空間ビデオ環境で会議に参加できるよう取り組んでいます。Cisco Spatial Meetings を使用することで、Apple Vision Pro のユーザーは相手がその場にいるかのようにビデオ会議の参加者と対話できます。シスコがこうしたエクスペリエンスを実現できるのは、AI を活用した NVIDIA チップセットとデュアルレンズカメラ搭載のデバイスで、3 次元(3D)環境での微妙な気配をキャプチャできるからです。Cisco Room Bar Pro を備えたあらゆる会議室を、いわば 3D スタジオに変身させることができます。
本日もう 1 つご紹介するのは、会議スペース向けに設計されたシスコの最新インテリジェントデバイス、Cisco Ceiling Mic Pro です。これは AI を活用して適応型ビームフォーミングを実装した史上初の天井取り付けマイクで、室内での各参加者の場所を認識し、最も質の高い音声をキャプチャするように自動的に自己設定します。もちろん、 Webex Control Hub で簡単に管理できます。
シスコを利用した、よりスマートなワークスペースの構築
未来のオフィスは 1 つの建物に閉じ込められるのではなく、業務のあらゆる側面を強化するように設計された物理空間とデジタル空間で構成されたネットワークになります。ここでの課題は、これらの空間をどのように統合すれば、卓越したエンドユーザー エクスペリエンスを実現するとともに、IT 部門が環境を簡単に監視して管理できるかという点です。シスコは組織がこれまでになく簡単に、よりスマートなワークスペースの構築に取り掛かれるよう、Workspace Designer を用意しています。この無料のセルフサービスツールは、室内備品、プラットフォーム、製品の選択に関する推奨事項を提示し、ワークスペースのニーズに応じてカスタマイズされたブループリントを作成します。
IT 部門が必要なすべての事項を選択した後は、スマートワークスペースの設計から展開、管理に至るまで一貫して Webex Control Hub で行うことができます。さらに、AI を活用した新しい Smart Diagnostics 機能により、IT 部門はわかりやすく包括的なデバイスの診断結果を入手できます。しかも、問題が見つかった場合は解決策も提案されます。
充実したエクスペリエンス:未来を形作る
シスコは従業員エクスペリエンスとカスタマーエクスペリエンスにおけるイノベーションの最前線に立ち、従業員間のインタラクションや顧客とのインタラクションをこれまでになく充実させるために先駆的に AI を活用してきました。シスコは AI によって、生産性を向上させるだけでなく、人と人とのつながりを深める新たな機会も創出しています。
まるで対面で会話しているかのように親密でインパクトの強いリモート会議を想像してみてください。顧客とのインタラクションが自動化されるだけでなく、徹底的にパーソナライズされるとしたらどうでしょう。顧客は自分が本当に理解され尊重されていると感じるはずです。また、職場で AI が日常業務を管理すれば、その分、有意義なコラボレーションと創造的な問題解決に時間を費やせます。
こうしたビジョンを実現するために、シスコは Webex Suite、Collaboration Devices、および Customer Experience ソリューション全体で AI の力を活用しています。シスコにとって、これがエクスペリエンスを充実させるという意味なのです。この取り組みにご参加ください。