数か月ごとに「ニューノーマル」という言葉を耳にしているような気がします。これまでに仕事とカスタマーエクスペリエンスがどれだけ変化してきたかを考えると、私たちが今いる世界に「ニュー」ノーマルが訪れることはないでしょう。あるのは「ネクスト」ノーマルだけです。成功できるかどうかは、状況の変化にすばやく適応し方向転換する能力にかかっています。つまり、成長を続け、成果を上げ、次に何が来ようと柔軟に対応できる方法を見つける必要があります。
ネクストノーマル
次に期待されているものを考えたとき、その中心となるのは、驚くような体験をもたらす人と人とのつながりを作り出すことです。たとえば今後開かれる会議の 98% では、参加者の少なくとも 1 人がリモートから参加し、あらゆる対話がハイブリッドになります。対面かオンラインかにかかわらず、こうした体験は親しみがあり、不便さを感じず、一貫性があって疲れないものでなければなりません。
オフィスへの回帰が試みられていますが、うまくいっていません。人々にオフィスに戻ってもらうには、充実したコラボレーションとコミュニティを構築できるエクスペリエンスをオフィス環境に用意する必要があります。そうなれば、義務だからオフィスに来るのではなく、自然と多くの人が集まってきます。
そしてネクストノーマルでは、お客様の期待はこの上なく高まっています。単に問題を解決すればよいというわけではなく、お客様の要望を即座に満たし、パーソナライズされたサービスを提供する必要があるのです。エージェントには、問題をいち早く解決するためのツールが必要です。また、お客様の期待を満たすには、意思決定を自動化し、バックオフィスシステムにつなぐ必要があります。
こうした新しい現実には、共通のテーマが 1 つあります。信じられないほど素晴らしい体験を提供する必要があるということです。言うのは簡単ですが、実現するのは難しいものです。優れた体験を提供するには、特定用途向けのテクノロジーが必要です。
Webex AI で比類のない体験を提供
今や夕食の席で AI が話題に上るようになりましたが、Webex にとっては目新しいことではありません。音声、映像、自然言語理解、分析に関してインテリジェンスを活用し、ユーザーが「あっと驚く」ような比類のない体験を提供してきた数十年に及ぶ経験があるからです。目新しいものと言えば、大規模な言語モデルと生成系 AI が進歩したことです。そのおかげで、他の追随を許さないコラボレーション エクスペリエンスを提供できるようになりました。
Webex Suiteからヘッドセットや電話、受賞歴のあるルームシステムといったシスコデバイスまで、シスコは充実したコラボレーション ポートフォリオを用意しています。AI はこのポートフォリオ全体のコアとなるものです。シスコのカスタマーエクスペリエンス ポートフォリオには、AI が深く組み込まれています。AI が最新のバズワードになっていますが、数十年に及ぶ AI への投資と経験がお客様の役に立ち、コラボレーションの最適化、ワークスペースの見直し、最高レベルのカスタマーエクスペリエンスの提供に貢献していることを誇りに思っています。
コラボレーションの最適化
あらゆる対話がハイブリッドになる中、このところテクノロジーに見られるイノベーションによって、どうすればコラボレーションとコミュニケーションが可能になるのかという定義が見直されています。従業員とお客様がコラボレーション エクスペリエンスに求めているものを考えたとき、もうこれで十分ということはありません。Webex Suite が業界で最も優れた AI、セキュリティ、管理のしやすさで支えられている理由はそこにあります。シスコのポートフォリオの中で、この部分が大きな成長を遂げてきたのは何ら不思議なことではないのです。
そうした成功の要因の 1 つに、音声インテリジェンスとビデオインテリジェンスの特定用途向け AI があります。インクルージョンとウェルビーイングの向上に資するものです。顔とジェスチャの検出といったビデオインテリジェンス機能により、言葉を発しなくてもコミュニケーションを取ることができます。そのおかげで、この数年のうちにエクスペリエンスがよりインクルーシブなものになりました。
Be Right Back という別のユースケース(離席中であることが簡単にわかる機能)も、この基盤の上に築かれています。会議の最中に何かに注意が向くのは珍しいことではありません。玄関のチャイムが鳴るとか、子どもに呼ばれるとかです。顔検出テクノロジーを利用することで、Webex は参加者が席から離れたことを感知し、ビデオフィードを「離席中」というサインに置き換えます。この他にも、ビデオインテリジェンスで会議をより良いものにする方法があります。それがスマートライティングです。どのような環境でもベストな画質が得られるように、時刻や天候に基づいて映像の照明を自動的に調整します。机が散らかってしまうビデオ会議用の特別な照明を用意する必要はありません。
ただ、Webex はここで立ち止まったりしません。映像の未来に向けたさらに大きなビジョンがあります。そう、超解像度(Super Resolution) です。この画期的なテクノロジーを利用すると、高解像度の帯域幅がなくても高解像度の会議が可能になります。場所に関係なく、開発途上国や農村部のユーザーでも映像の画質を維持できます。
超解像度では、ラップトップや低品質のデスクカメラといったハードウェア機器に関係なく、非常に明瞭な映像を提供できます。つまり、低帯域幅の条件でも映像の画質が維持されるということです。パケット損失が発生しても、映像が途切れ途切れになったりしません。この革命的なテクノロジーを使用して、パケットがネットワークを通過する際に、フィードを受け取りそのサイズを小さくしてコンピューティングリソースを節約することができます。その後、ユーザーに到達したら、1080p に戻します。このため、超解像度の映像では元の映像よりも解像度が高くなります。
次に、音声インテリジェンスを見ていきましょう。業界をリードする Webex の背景ノイズ除去テクノロジーにより、これまでに 960 億分(約 18 万年)以上の背景ノイズが除去されてきました。Webex Calling では、この機能を PSTN 通話にまで拡張しており、通話している人同士が相手の声をはっきり聞き取れるようになっています。
Webex Calling
通話と言えば、昨年の Enterprise Connect で、Webex Calling ユーザーが 600 万人に達したことを発表しました。現在では新しい節目を迎えており、Webex Calling のユーザー数はなんと 1,000 万人を突破しています。ここまで到達できたことに、Webex を代表してお客様への感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
ワークスペースの見直し
シスコは、お客様がワークスペースの見直しを行えるように特定用途向けデバイスのポートフォリオ全体を構築することに邁進してきました。今やワークスペースとは、オフィスであり、自宅であり、外出先でもあります。ただ、どこでもオフィスになり得る以上、オフィスに人が集まるようにするには、さらに一段上のテクノロジーが必要になってきます。そこで、受賞歴のあるシスコデバイスの「秘伝のソース」である RoomOS テクノロジーに多大な労力を費やしてきました。特許取得済みのこのテクノロジーは、クラス最高水準のコラボレーション エクスペリエンスを実現します。
本日は、シスコデバイスで次に何が起こるかをお知らせします。RoomOS が制御する新しいシネマティック会議(映画のような会議)では複数のカメラを利用して、最適なタイミングで参加者をとらえて話が聞けるようにショットが自動的に切り替わります。また、会議室にガラスの壁がある場合、新しい会議ゾーン機能を使用すると、会議の仮想的な境界を定義できます。Webex の AI は、その境界内の人にのみ焦点を当てます。
マルチプラットフォームの世界で成果を出す Webex
ネクストノーマルもマルチプラットフォームです。各種調査によると、企業の 85% が毎日複数の会議プラットフォームを利用しています。シスコが相互運用性に継続して取り組んでいる理由はそこにあります。喜ばしいことに、シスコデバイスの最初のセットが Microsoft Teams Rooms の認定を受けました。AI 対応の Webex の音声インテリジェンスとビデオインテリジェンスのテクノロジーもサポートされており、シスコデバイスを導入すれば、Microsoft Teams 会議がさらに充実したものになります。Webex Contact Center が Microsoft Teams の認定を受けた ことについてもお知らせしておきたいと思います。
最高レベルのカスタマーエクスペリエンスを実現
お客様の期待が変化していることもまた、このネクストノーマルの真実です。パーソナライズされたサービスを即座に提供するという新たなハードルが生まれ、それを乗り越えるためにデジタル化が進んでいます。お客様は今、企業がお客様のことをよく理解し、プロアクティブに対応し、体験をパーソナライズしてくれるものと期待しています。これが一度ならず、カスタマージャーニーを通して続きます。
サポートを担当するエージェントにとって、このニューノーマルは不変の課題です。お客様の満足度を維持しつつ、高まる期待に応え続けることになるからです。バックオフィスと IT のスタッフにとっての課題は、満足のいくカスタマーエクスペリエンスを必要十分な規模で構築、提供すること、また最良の成果を上げるためのレジリエンスを組み込むことです。
これを全部実現したとなると、後はどう維持していくかが課題となります。ここで Webex の出番です。未来に向けたシスコのビジョンに沿って企業を支援することができます。このビジョンの一環として、Webex は機械学習を活用したコンタクトセンターを発表しています。新しい機能は次のとおりです。
- トピック分析:AI 大規模言語モデル(LLM)を使用して構築された機能です。お客様がなぜコンタクトセンターに電話をかけてくるのか、そのトレンドを示し、実用的なインサイトを提供します。
- 独自仕様の Agent Answers:お客様からの問い合わせに基づいて構築したナレッジベースから AI が選び出した推奨事項をリアルタイムでエージェントに提供します。
- インテリジェント チャット サマリー:対応引き継ぎの時点で人間のエージェントに配信されたチャットボットの会話全体を自動的に要約します。
これまで Webex プラットフォームへの投資を続け、また AI を活用して比類のない体験を提供してきました。そのことが現在、Webex Contact Center で最新のエクスペリエンスを実現する力となっています。
ネクストノーマルでは、コラボレーションの再定義、ワークスペースの見直し、コラボレーションの最適化、最高レベルのカスタマーエクスペリエンスの提供を実現するために、特定用途向け AI が必要とされます。Webex では、次に何が来てもうまく対処できるよう、比類のない体験を提供することに尽力しています。
Enterprise Connect 2023 で発表された Webex の詳しい情報: