現在、多くの企業の会議室の在り方に関して、ある矛盾が生じています。 現在行われている会議の 98% には少なくとも一人のリモート参加者が含まれるとされています。 しかし、およそ 8,700 万の会議スペースのうち、ビデオ会議用の機器を備えた部屋は 15% に満たない状況です。 また、設備が整っているスペースでも、ニーズとのずれがあったり必要なテクノロジがなかったりしています。
会議室に初歩的なカメラや音響機器を設置して「ビデオ対応」にしただけでは、現代の働き方に十分対応しているとはいえません。 これでは、対面でのやりとりで得られる豊かなコンテキスト(言葉では伝わりにくい背景や状況判断のための材料)を見落としてしまいます。 表情や非言語的合図もに限らず、 以下のようなものが重要となります。
- 室内のどこに誰が座っているのかが一目でわかる
- いつでも他者と直接アイコンタクトがとれる
- テーブルの向かい側や隣に座っている人との会話ができる
また、今の時代の従業員が柔軟に働くことを求めているため、リモートやハイブリッド勤務の求人はオフィス勤務のみの求人に比べて 7 倍以上の応募者を集めています。 オフィス勤務に限定することは、雇用者確保できる人材を制限することを意味します。 優秀な人材を惹き付けて雇用することと、対面で濃密にコラボレーションする時間を増やしたいことが、多くの企業で望まれている相反する課題となっています。
世界中のどこにいても、オフィスにいるときと変わらないクリエイティビティや生産性、イノベーションを発揮できる環境でありながら、同僚との距離をまったく意識しないで済むような環境があったらどうでしょうか。
RoomOS が可能にする Distance Zero
その場にいなくても、まるでいるかのような感覚を味わえるコラボレーションデバイスを開発すること、これが当社の目指していることです。 名付けて「Distance Zero(距離ゼロ)」という概念は、対面でのやりとりを濃密な時間へと変える質の高い豊かなコンテクストを仮想空間にもたらすことで他者との距離感を解消する、RoomOS だからこそ実現できるコンセプトです。
私は今年、自分のチームがいるノルウェーからシスコ本社のサンノゼに引っ越しました。 距離が生む影響を可能な限り抑えるという当社の取り組みがあったからこそ実現したことです。 シスコのデバイスによって、私は世界中のどこからでもチームを率いることができます。
RoomOS と NVIDIA Jetson が可能にする Distance Zero
Distance Zero は、対面の会議で行われる濃いやり取りを仮想空間でも強力な AI活用によって、初めて実現します。 シスコの Quad Camera は、目として機能し、会議室で起きていることを捉えてさまざまな情報を含んだ映像データを解釈します。 Table Microphone Proは、耳として機能し、やり取りに耳を傾けるだけでなく内容豊富な音声データを収集します。 すべてのデバイスにシスコのソフトウェア RoomOS を走らせる Codec が内蔵されており、RoomOS は当社ソリューションの頭脳として機能して収集した映像や音声データを解釈します。 各種デバイスは会議室内のさまざまな要素を読み取り、そこで行われている人と人とのやり取りを把握します。
これを実現すべく、シスコのコラボレーションデバイスには NVIDIAのシステムオンモジュールを採用し、業界最高性能の AI と機械学習プラットフォームを組み込み、前世代の 20 倍の AI 機能を搭載しています。 これにより、画期的で映画のような会議などを実現する次世代の会議デバイスとなりました。 シスコは 2015 年に NVIDIA との提携し、 Jetson Edge AI プラットフォームに RoomOS プラットフォームを構築することを開始しました。 現在の AI ブームの何年も前から土台を築くことで、AI と機械学習に対応した、ビデオデバイス市場のリーダーとなる基盤を築きました。
RoomOS は現在、AI と機械学習のプラットフォームとして業界最高性能を誇り、映画のような会議といった次世代の会議機能を支えています。 シスコには RoomOS というエッジと Webex プラットフォームを使用したクラウドと AI を二重に活用して、デバイスを設計できる独自の優位性があります。 これにより、業界をリードするノイズ除去機能のようなさらに高度な機能をポートフォリオ全体でお客様にお届けすることを可能にしています。
機能とデザインが融合、新 Room Kit EQX
NVIDIA Jetson モジュールを搭載したことで、あらゆる部屋のサイズ、ユースケース、予算に対応したデバイスを設計し、Distance Zero の大規模展開を支えています。当社が業界で最も広範なポートフォリオを構築してきたのは、多様なワークスペースを展開することがお客様にとって重要であることを理解しているからです。一方で各種調査から見えてくるのは、大多数の企業では中会議室や大会議室への新しいビデオ機器の導入を検討している点もあります。
冒頭で、適切なビデオ機器を備えた会議室は 15% に満たないと述べましたが、これはビデオ会議室の構築にはもともと複雑な要素で成り立っていることに起因します。 オーディオ機器や映像機器、その他備品等の取りまとめにはインテグレータが必要で、導入には専門知識を持つ人が必要でした。 こうした必要な要素をすべて 1 つにまとめたのが、当社の最新デバイス Room Kit EQX です。
Room Kit EQX の導入には、AV専門家が労力をかけて設置作業をする必要はなく、対面とほぼ同等の仮想会議を社内の主要スペースにて実現することができます。 スピーカーや機器の取り付け、椅子や机の配置などをその都度検討する必要がなく、オフィス全体で調和のとれた一貫性のある展開を行うことができます。 取り付け方は複数のオプションから選べるため、設置許可や設置コストに関連した手間が省けます。 さらに、サステナビリティへの配慮やお客様の投資を保護のため、EQX は既存のスクリーンに対応できるように設計されています。
卓越したデザインとパフォーマンスを備えた Room Kit EQX は、最高品質の会議機能を必要とするユーザーにとって選びやすい製品となります。 シスコの他のコラボレーションデバイスと同様にもちろんEQX も Control Hub から管理できます。 シスコでは製品ポートフォリオをあらゆるユーザー、ユースケース、スペースに対応できるように設計しています。 ハドルスペースや小会議室向けの Room Bar から、カスタマイズを必要とする大会議室向けの EQ まで、当社のポートフォリオは幅広いユースケースと予算に対応しています。 シスコのデバイスを 1 つ加えるだけで、どのワークスペースもコラボレーションに最適な場所へと一変させることができます。
映画のような会議で、あらゆるワークスペースに対面と変わらない会議体験を
EQX もサポートする Distance Zero 体験 は、シスコの長年にわたるイノベーションの結晶です。 2016 年以来、当社は音声インテリジェンスとビデオインテリジェンスの構築を通じてさまざまな機能を刷新してきました。 このたび強力な映像 AI と音声 AI を新たに追加することにより、シスコのデバイスが室内にいる話し手をフォローしたり音声に含まれる合図に耳を傾けたり、カメラを切り替えたりすることを可能にしました。 映画のような会議の基盤にあるのは、フレーミング、ゾーン分割、複数ストリーミングなどのテクノロジーとなります。
会議中はデバイスが常に最適な画角を選ぶため、リモートの参加者は、まるでその場にいるかのような臨場感を味わえます。 1 台または複数台のカメラを使って室内のアクションを追跡し、最適なアングルを選んで場面をシームレスに切り替えます。 毎日使用するシンプルな会議室から複雑な形状の会議室まで、あらゆる空間で、まるで映画のような映像を提供できます。 映画のような会議があれば、どんな会議でも、距離を意識せずに会議に参加できますよね。
役員室を例にとって見てみましょう。 役員室は、対面とリモート双方の参加者に対応するために様々な構築の必要性が多くあるスペースです。 当社は新しい役員室体験を実現するブループリントを用意し、この問題を解決しました。 上の映像の通り、中央に 4 台のカメラと、リモート参加者の顔を目の高さで映したスクリーンが設置されている環境で、会議室にいる参加者からは、リモート参加者と共有コンテンツから成るイマーシブビューが見えます。 コンテンツは対話が行われるテーブルの下方に表示されるので、手元を確認する手間と認知負荷を減らせます。
会議室外のリモート参加者は、下の画像のように、会議室にいる 16 人の参加者を正面から捉えた映像でクリアに見ることができます。 このキャンプファイア状の新しいブループリントにより、対面とオンラインの参加者は、直に向き合ってコミュニケーションをしている感覚で、距離を意識することなく誰もが平等に議論のテーブルに着くことができます。
没入感がありインクルーシブな会議を役員室で実現したユニークなユースケースとなります。 しかし、ミーティングは様々なワークスペースで発生します。 そのすべてで臨場感のある会議を実現すべく、Webex Meetings を使用している シスコデバイスにて利用できるマルチストリーム機能がリリースされます。 この機能によりシスコデバイスから仮想スペースへ複数の高性能ビデオデータが送信され、リモート参加者は発言者のクローズアップ映像や会議室全体を見ることができるようになります。
講堂や研修室でも、距離を意識しないで済む会議を実現できます。 シスコのデバイスが話し手と聞き手を映すカメラをシームレスに切り替えるため、リモート参加者は、発言者やコンテンツ、聞き手の反応をそれぞれ最適なアングルで見ることができます。 新機能のハイブリッド プレゼンター モードを使用すれば、リモートの発言者と会議室にいる発言者の双方が、同じステージに上がってハイブリッドにプレゼンを行うことも可能です。
選択肢を広げ柔軟性を高める
当社はあらゆるコミュニケーションで Distance Zero の実現を目指しています。 お客様アンケ―トでは、 85%が毎日複数の会議プラットフォームを使っているという回答がありました。 そのため、Zoom、Microsoft Teams、Google Meet、Webex など、広く普及しているツールで、連続した体験をもサポートできるよう、細心の注意を払って RoomOS の設計を行っています。 さらに、Microsoft Teams を標準的に利用しているユーザーのために、シスコの AI の力を双方のユーザーに届けることを目的としたシスコと Microsoft によるパートナーシップを新たに開始しました。
シスコのデバイスがあれば、妥協することなく柔軟でインクルーシブな会議体験を実現できます。 あらゆるワークスペースで、対面と変わらないコラボレーションをぜひ体験してください。
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