WebexOne 2025:コネクテッド インテリジェンスの新たなイノベーションで CX を刷新

On By Vinod Muthukrishnan2 Min Read

今年は、Webex Customer Experience ソリューションの勢いとイノベーションに驚いた 1 年でした。インテリジェンスが至る所に登場し、AI がすべてのやり取りにシームレスに織り込まれるようになったことで、より速くスマートで、さらにパーソナライズされたカスタマージャーニーが可能になりました。企業が AI を採用して社内で大規模に導入している中、変革をもたらす顧客体験の推進役がコネクテッド インテリジェンスであることは明らかです。

未来の顧客体験は、インテリジェントかつ直感的で、人間味にあふれたものになると私たちは確信しています。シスコが開発して市場に提供しているすべてのイノベーションはこの信念を具現化したものです。シスコのエージェント型 AI ソリューションは、エージェントの支援、運用の合理化、顧客満足度の向上を世界規模で実現し、すでに大きな効果を上げています。

米国サンディエゴで開催した WebexOne 2025 では、「インテリジェンスをあらゆる場所に(Intelligence, everywhere)」というテーマを体現する新たな進歩を発表しました。これは、責任ある AI に対するシスコの強固な取り組みを示すとともに、企業とその顧客ができるようになることをを新たに定義するものです。未来の顧客体験がやってきました。シスコはそれをただ見ているだけではなく、実際に構築しています。

Webex AI Agent の勢いで変革が促進されている

今年一般公開された Webex AI Agent for Webex Contact Center がかなりの勢いで導入されています。それによって、お客様に変革をもたらす成果が促進されています。

  • CarShield 社は Webex AI Agent で保険金請求処理のスピードと効率を改善する取り組みを始めて、通話対応時間が 23% 短縮し、処理効率が 66% 向上しました。これまでは 1 日から 2 日ほど処理の遅れが発生していましたが、それがほぼ解消されました。
  • オーストラリア最大規模の社会福祉サービス事業者ネットワークである UnitingCare は、Webex AI Agent と能動的なコミュニケーションで予約処理に対するアプローチを合理化し、サービス提供における全体的なコストの削減を実現するとともに、これまで午前 8 時から午後 5 時までだった対応時間を 24 時間 365 日に変更しました。
  • 平均待ち時間が 9 ~ 10 分で放棄呼率が高かった BancFirst 社は、Webex AI Agent を導入して社内サポートを合理化した結果、放棄呼率が 10% 低下し、従業員の問題解決にかかる時間が平均で 3 分短縮されました。

しかし、シスコはこの成果に甘んじることはありません。今日は、卓越したカスタマーサービスを提供するのに役立つ新たなイノベーションをご紹介します。

Webex AI Agent の新たなイノベーション

音声機能の継続的な強化

ロボットのような AI の対応はもはや過去のものになりました。対話型 AI のグローバル市場が急成長する中、顧客満足度と業務効率を向上させるために自律型 AI エージェントを導入する企業が増えています。シスコは業界をリードする、人間のような対話ができる AI エクスペリエンスを提供することに注力してきました。つまり、 AI エージェントが人間のような自然な声で話し、人間のように聞き、振る舞うように取り組んでいます。最近では、音声エクスペリエンスに対して次のような改善を行いました。

  • 応答時間の改善:遅延が短縮されるため、不自然な間がなく、会話の流れがスムーズになります。
  • インテリジェントなターン予測:シスコ独自のターン検出モデルを活用することによって、発信者が話し終わったタイミングを AI エージェントが認識するため、会話が自然に進みます。
  • 割り込みの改善:実際の会話のように、顧客がいつでも AI エージェントの会話を遮ったり、話を変えたりすることが可能です。

これらの機能強化によって、違和感のない自然な顧客対応を求める企業にとって大きな悩みだった問題に対処します。この機能はすでに利用可能になっています。

「66 歳から 91 歳のクライアントにパイロット版を試したところ、Webex AI Agent である Jeanie の対応を気に入っていただけました。待ち時間がなく、都合のよいタイミングで通話でき、個人に合わせた自然な会話が可能なので、AI を積極的に使いたいと高く評価されました。この体験とテスト結果に経営陣は驚いていました。このイノベーションを実稼働環境に導入する際には、組織全体から強いバックアップがありました」。

— UnitingCare、IT 顧客体験担当シニアマネージャ、Craig Mendel 氏

AI Agent の多言語サポート

グローバルな事業では言語の壁を取り払うことが重要です。シスコの多言語 AI Agent は発信者の希望する言語でシームレスなコミュニケーションが可能です。50 種類以上の言語で、状況を理解して文法的に正しい応答ができるため、単純な翻訳をはるかに超え、文化の差異を本当に理解した人間のような対応を、一貫性を持って効率的にエンドユーザーに届けます。50 種類以上の言語すべてに対応したバージョンは、2025 年度第 4 四半期にベータ版をリリースする予定です。

適応型の拡張性に優れたエージェントネットワーク

Studio 内から直接アクセスできる、A2A/MCP 産業フレームワークを活用した相互運用可能な自律型のエージェントを構築できます。

複雑な問題には高度な解決策が必要です。次世代 Webex AI Agent は、Agent2Agent コラボレーション(A2A)とモデル コンテキスト プロトコル(MCP)の相互運用性にアクセスできます。このような進歩によって、企業は複雑な問題に対応できるように設計された高度な AI エージェントを構築し、これまでにないほど簡単にすばやく顧客からの問い合わせを解決できます。Webex AI Agent は複数の専門 AI エージェントを安全にオーケストレーションして連携させ、データ、コンテキスト、ワークフローを共有してタスクをすばやく正確に解決できるようにします。

Webex は A2A と MCP を融合させることによって、エージェント型 AI の新時代を切り開いています。それは、AI エージェントがデータとシステムにアクセスし、他の専門エージェントと連携して機能します。こうした機能で、一人ひとりにあわせた解決策を即座に提供することで、サイロを解消し、待ち時間を短縮し、業務効率と顧客満足度を大幅に向上します。マルチエージェント設計パターンと MCP のサポートは 2026 年初頭に一般提供が開始される予定です。

「CarShield では AI Agent による通話のスクリーニングにより、人間が介入することなく 66% の通話を完了しています。リアルタイム AI 保険金請求処理機能でも、これまで発生していた 24 時間から 48 時間の遅延が解消され、パワートレーン保証金請求の登録にかかる時間が 90% 短縮されたため、問題をただちに解決できます」。​

— Steve Proetz, Founder, President & COO, CarShield

AI を活用したインテリジェンスで人間のエージェントとスーパーバイザーを支援

AI エージェントは定型的なタスクを処理する一方で、シスコは人間のエージェントとスーパーバイザーに対する取り組みも依然として重要だと考えています。AI を活用して人間の能力を増強し、リアルタイムのインサイト、自動アシスト、ツールを提供することによって生産性と対応品質を高めて、充実した顧客体験を提供できます。

さらに、コンタクトセンターの業務と技能を新定義する新しい AI 機能を紹介します。長年にわたり、品質管理はカスタマーサービスの要でしたが、重大な課題が生じる原因でもありました。これまでは、ごく一部の対応しか評価できなかったため、フィードバックに時間がかかり、パフォーマンスも安定しませんでした。この状況をシスコが変えつつあると自負しています。

ネイティブの AI Quality Management で CX を変革

Webex AI Quality Management は時間のかかる手動での品質管理をインテリジェントな自動プロセスに変革します。AI を活用した最新の総合的なネイティブソリューションで、人間のエージェントと AI エージェントが対応したすべての会話をほぼリアルタイムで評価できるため、偏りがなくなり、スーパーバイザは手作業での分析ではなく戦略的なコーチングに集中できるようになります。

Webex のソリューションでは次の機能を提供します。

  • AI エージェントと人間のエージェントの統合モニタリング
  • すべてのチャネルにわたった実用的なインサイトを即座に提供
  • リアルタイムパフォーマンスの向上と、継続的改善に重点を置いたコーチング

スーパーバイザーと品質管理責任者はスマートなインサイトとプロアクティブなガイダンスを参考にして、チームのパフォーマンスと顧客体験を向上させることができます。ベータ版のトライアルは 2025 年度第 4 四半期に提供される予定で、一般提供は来年初頭になる見込みです。

Cisco AI Assistant for Contact Center

シスコは、人間のエージェントを支援し、スーパーバイザーのパフォーマンスを向上させるために必要なツールを提供することを目的として、AI を中心に継続的な投資を行っています。今年は、Cisco AI Assistant for Webex Contact Center でさまざまな革新的な機能を提供しました。これらの新機能をいくつか紹介します。

  • 対応内容の提案:状況に応じたガイダンスをリアルタイムでエージェントに提供し、効率的に対応できるよう支援します。この機能はすでい利用可能になっています。
  • 対応内容のまとめ:各対応の簡潔なまとめを自動生成することによって、通話後のエージェントの作業を大幅に削減します。2025 年度第 4 四半期に一般提供を開始する予定です。
  • 通話中の要約:コンサルトと転送中にその場で状況説明を提供し、引き継ぎプロセスを合理化します。2025 年度第 4 四半期に一般提供を開始する予定です。
  • 多言語サポートの強化:まもなく 50 種類以上の言語で Cisco AI Assistant を、文字起こし、要約など、AI を活用したその他の機能を含めてご利用いただけるようになります。これにより、世界中の協力者とのシームレスなコラボレーションが可能になります。2025 年度第 4 四半期にベータ版を提供します。

「Webex Contact Center は当社の CX の取り組みを大きく変革しました。AI を活用したトピック分析は特に効果があり、お客様が何をしようとしているのか、どう行動しているのか、対応にどのくらい時間がかかっているのかを詳しく把握できます。当社の AI エージェントである Mojo は実稼働環境で非常によい働きをしており、予想以上に多くの人が Mojo を試しているため、能動的な対応につながっています。顧客満足度も全体的な顧客体験も向上しました」。

— BancFirst 社、シニア ネットワーク マネージャ、Patrick Cornish 氏

Webex と Salesforce、Amazon、Epic とのエコシステム パートナーシップ

優れた顧客体験は、既存のビジネスシステムとシームレスに連携するオープンで柔軟なプラットフォームを基盤として築かれると Webex は認識しています。そのため、戦略的エコシステム パートナーシップに継続的に投資して、Webex のテクノロジーをお客様が日常的に使用しているツールと環境に導入する取り組みを進めています。

このたび、Salesforce の Bring Your Own Channel(BYOC)for CCaaS を対象として、Webex と Salesforce とのパートナーシップを拡大しました。Webex Contact Center と Salesforce を統合することによって、ネイティブの CCaaS および CRM ソリューションで Webex と Salesforce CRM のデータを活用して顧客体験をオーケストレーションできるようになります。サービスチームも、使い慣れた Salesforce ワークスペースからシームレスに顧客体験を提供できます。

Webex Contact Center が Salesforce のエージェントコンソールにネイティブに埋め込まれるため、各顧客をすべてのチャネルにわたってあらゆる視点から把握でき、AI を活用してサービスを拡張できるだけでなく、クラウドベースのオムニチャンネル コンタクト センター機能の次のようなメリットも得られます。

  • ネイティブのデジタルチャネルと音声チャネル:AI を活用したセルフサービスによって音声、Web チャット、SMS で顧客に対応し、人間のエージェントにスムーズにエスカレーションします。
  • オムニチャンネル ルーティング:Salesforce のレコードを活用して各顧客に最適なエージェントをマッチングすることによって対応を効率化し、初回の通話で解決できるようにします。
  • リアルタイム AI アシスト:Cisco AI Assistant と Agentforce を活用して、AI によるアシスト機能で、エージェントが顧客満足度とパフォーマンスの KPI を達成できるように支援します。
  • 統合レポートと分析:CRM とカスタマーサービスのデータを組み合わせて、予測、スケジュール設定、品質管理をより的確に行い、実用的なインサイトを提供します。

AWS(Amazon Web Services)を利用している企業は、自己管理型の Amazon Lex 仮想エージェントを Webex Contact Center および Contact Center Enterprise と統合して、AI を活用したシームレスで柔軟な体験を実現できます。この統合は利用可能になっています。

また、Webex Contact Center と Epic の電子健康記録(EHR)ソフトウェアの統合によって、医療従事者とコンタクトセンター エージェントは Epic 内で患者に合わせた温かいサポートを提供できます。この機能もすでに利用可能です。

Epic との統合と統合エージェントコンソールの詳細は、最新の LinkedIn Live をご覧ください。

インドとサウジアラビア王国でのグローバルプレゼンスの拡大と新しい Route to Market(RTM)

シスコは Webex エコシステムの拡張をさらに加速させ、新たな市場で Webex Contact Center ソリューションの販売を開始しています。このようなローカルでホストされるソリューションでは、インド企業と多国籍企業向けに先進的な AI 機能、シームレスなデジタル統合、強化されたコンプライアンスサポートを提供し、通話品質の向上、遅延の短縮、信頼性の高い安全な顧客体験を実現しています。

  • インドでのホスティングを実現するため、シスコはインドのムンバイに新たな専用データセンターを開設しました。この戦略的投資によって、増加中のインドの顧客ベース向けに、コンプライアンス、パフォーマンスの向上、高度なクラウド コンタクトセンター サービスへのアクセスを提供します。2026 年度第 2 四半期に提供予定です。
  • シスコは Customer Experience ソリューションの提供範囲をサウジアラビア王国にも拡大する予定です。AWS の新しいローカルデータセンターの開設後に Webex Contact Center の提供が開始された時点で本ソリューションも提供します。

また、Wholesale Route to Market(RTM)を通じた Webex Contact Center の販売も開始します。サービスプロバイダーはスピード、柔軟性、拡張性を備えた堅牢なクラウドベースの CX suiteを顧客ベースに提供できます。一部のパートナー様への早期提供フィールドトライアルは 2026 年度第 1 四半期に開始予定です。

未来の顧客体験を促進する新たな AI イノベーション

WebexOne 2025 の発表では、シスコが顧客体験のイノベーションに対して確固たる取り組みを行っていることがはっきりと示されました。単に AI 機能を追加するのではなく、企業の顧客対応、エージェントとスーパーバイザーの支援の仕方、業務の最適化の方法を根本的に刷新するよう取り組んでいます。このような進歩、特にAI Agent 機能と AI を活用したエージェントアシストにおける技術革新は、効率、顧客満足度、従業員エンゲージメントの向上という目に見えるメリットを実現するように設計されたものです。シスコは今後も、つながりのある、インテリジェントで人間味あふれた未来の顧客体験を創出していきます。この刺激的な道のりをぜひ一緒に歩みましょう。

Webex Campaign Management の提供、RBAC プロビジョニングの改善などを含めた、Webex のイノベーションの完全なリストについては、最新情報ページをご覧ください。

サンディエゴにご来場くださっている方は、シスコのショーケースにお立ち寄りください。Webex 音声 AI Agent の動作を紹介する楽しい「Quiet Cube」アクティベーションなど、Webex Customer Experience のデモをすべてご覧になれます。音声またはデジタルの AI バリスタを活用した Webex Cafe では、コーヒーなどのお飲み物も注文いただけますので、ぜひご利用ください。インサイトに富んだ 1 日目と 2 日目の基調講演や、ブレークアウトセッションなどの各種セッション、トレーニングプログラムにもぜひご注目ください。シスコの製品、テクノロジー、イノベーションについて詳細にご紹介します。本イベントを存分にお楽しみください。

ご紹介した製品や機能の多くは現在開発段階にあります。開発やイノベーションの進捗に応じて、完成後に提供開始となります。リリース時期は変更される場合があります。

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Vinod Muthukrishnan
Vinod Muthukrishnan VP/COO Webex Customer Experience Cisco
Vinod Muthukrishnan is the VP/COO Webex Customer Experience.
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