Tags: Webex AI Codec, WebexOne, WebexOne 2023, インテリジェント会議サマリー, ジェスチャ検出, 人工知能
人工知能(AI)は単に作業を自動化して生産性を向上させるだけでなく、人間の一番重要な資質の一つである共感力を高めてくれる可能性を秘めています。
私が育ったインドは、単刀直入なコミュニケーションを重視する文化があり、 「自分が見たままを言う」ことが一般的なマントラ(信条)でした。 率直であるということは良い面もありますが、他者からはぶっきらぼうで手厳しいと受け取られることもあります。 私は間もなく、効果的なコミュニケーションとは、何を言うかだけでなく、相手にどのように受け止められるかが重要であることに気が付きました。 共感、つまり他者の視点を理解する能力が、私の行動の指針となりました。
私が共感力を高める取り組みは、一気に何かを変えるようなものではなく、少しずつ自分を発見していくプロセスでした。 自分の言葉がチームに多大な影響を及ぼすのはもちろん、自分の生産性にマイナスの影響を与えてしまうことも珍しくないことがわかりました。 共感と同じように、効果的なコミュニケーションは時間をかけて身につけるスキルです。
世代の違いにより、このプロセスはさらに複雑になっており、 受け取る人に合わせてメッセージを少しずつ変えることは難しいことでした。 たとえば、ベビーブーマーの世代、ミレニアム世代、Z 世代ではそれぞれ言葉によるメッセージの解釈が違うことがあります。
今では AI のおかげで適切なトーンと内容のメッセージをすばやく作成できるようになりました。 AI は、私が共感力とコミュニケーション能力を強化するプロセスにおいて重要なツールになっています。 プライベートでも仕事でも、さまざまな状況に応じて自分のコミュニケーションスタイルを変えるサポートをしてくれます。
Webex とシスコは、すべての人にインクルーシブな未来を提供することを目標としています。 共感は、精神の健康とウェルビーイングに大きく影響する重要なスキルセットであり中核となる価値観です。 私は、人間が自身の共感スキルを高められるよう支援する AI を製品に搭載することで、より多くの人たちの利益のために貢献できることを大変光栄に感じています。 AI を搭載した最新機能をいくつかご紹介します。
Webex では、コミュニケーションツールにおける最新の開発によって、すべての人が最大限の力を発揮できるようにします。 私たちは、職場では効果的で思いやりのあるコミュニケーションが重要であると確信しています。
新製品 Webex AI Assistant は、より肯定的でプロフェッショナルなトーンでメッセージを伝えられるようリアルタイムに提案を行うことで、ユーザーのメッセージング体験を向上させることを目的としています。メッセージトーンの変更機能は、メッセージの作成者の意図が効果的に伝わるようにして、メッセージのやり取りにおける共感と理解を促進します。
Webex は、多くの会議やメッセージであふれた状況で激しく変化するビジネス環境にうまく対応し続けることの難しさも理解しています。 そのため、会議サマリーとメッセージサマリーを導入しました。 これらの機能は、聞き逃した重要な議論、重要なポイント、アクションアイテムをすばやく把握できるようにします。 並べ替えと要約のプロセスを自動化することで、人手による作業時間を短縮し、膨大な情報の管理に伴うストレスや認知の負荷を軽減します。 このため、忍耐力や心の余裕、他者への理解をもってベストな状態で仕事をすることができます。
さらに、AI Assistant は集中力を維持して、すべての人が時間を有効に使えるようにします。 更新や通知を常にチェックする必要はもうありません。 AI Assistant が重要な情報を要約してくれるため、自分の仕事を中断せずに常に最新情報を把握することが可能になります。 これにより、より生産性の高い、連携した職場環境が生まれます。
Webex では、ユーザー自身が最高の状態で最高の仕事ができるように、明確で効果的なツールを提供することを目標としています。 Webex の AI Assistant を利用することで、より効果的にコミュニケーションを図る、共感性をもって仕事をする、ポジティブで協力的な雰囲気を促進する、といったことが可能になります。
どんなことにも言えますが、コミュニケーションではコンテキストが重要です。 トーン、ジェスチャ、リアクション、声のトーン、抑揚、言葉の選択など、すべてがコミュニケーションのニュアンスの一部となります。
音声と映像を強化した Real-Time Media Models(RMM)により、違う場所から会議に参加している場合もソーシャルキュー(身振りや声のトーン)またはコミュニケーションキュー(言葉以外や雰囲気による合図)を見逃さず、インサイトや情報、やり取りを確実に把握できます。
新しい Webex AI Codec では、接続不良による音声や映像の途切れがなくなり、直接顔を合わせない音声や映像を介したコミュニケーションであっても、コンテキストを完全に把握できるようになります。 この機能により、会話ややり取りの調子が狂ってフラストレーションや誤解を招くことはなくなります。
ストレスを緩和することは、すべての従業員にとってメリットがあります。 とくに、コンタクトセンターのエージェントなど一部の従業員はストレスや燃え尽き症候群のリスクが特に高く、精神的な健康を害しがちで、離職率も高くなっています。
最近の調査によると、エージェントの離職率は他の職業の 2 倍で、コンタクトセンターにおいて離職するエージェントの 50% は燃え尽き症候群が原因であり、企業にとっては毎年平均で 480 万ドルの損害となっています。 ストレスや燃え尽き症候群は感情的および社会的な活動に対して多大なマイナス影響を及ぼすため、人間にとっての損害はさらに大きくなります。
ウェルネスはシスコのコアバリューであり、精神的な健康とウェルビーイングに関して思いやりのある先進的な文化を育成することを使命としています。当社と同じ使命を掲げているのが、Arianna Huffington 氏が創設し、行動変容テクノロジーに取り組んでいる、Thrive Global 社です。このほど発表されたとおり、同社とシスコは、エージェントの燃え尽き症候群を減らして、コンタクトセンターで顧客体験を向上させるために、提携しています。
Webex Contact Center と Thrive 社は、Webex が構築したリアルタイム AI テクノロジーから導出されるインサイトを使用し、エージェントのストレス状況をプロアクティブに検出して、ストレスが蓄積されるたびにエージェントを一時的に業務から離れさせ、休息させるためのアクションを提示します。 ストレスが検出されると、エージェントが次のコールを受ける前に、ストレスを軽減するための Thrive Reset の短い動画が再生されます。 これにより、エージェントはポジティブな精神状態でお客様に対応することができます。
人間の味方としての AI とは、希望、進歩、そしてポジティブな変化の道筋を描く存在です。 人間の能力を高め、燃え尽き症候群を減らし、ウェルビーイングを向上させるためにテクノロジーを利用するということです。 私たちは AI を利用することでコミュニケーションと共感のスキルを効率よく強化し、他者との連携を図り、文化を育むことができます。
このプロセスにおいては、人間が常に前面に立ち、AI は 人間がよりバランスのとれた未来を創造する善なる力として機能するようにする必要があります。 AI の可能性を最大限に活用し、従業員を活性化して、従業員のウェルビーイングを向上させて、組織と社会の進歩を促進させることは、リーダーである私たちの責任です。 私たちが力を合わせれば、人間の味方としての AI の可能性を最大限に引き出し、すべての人にとってより良い世界を築けるはずです。
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