協調型リーダーシップと AI の役割

On By Amanda Holst1 Min Read
Collaborative Leadership
要約: 現在のグローバルなビジネスの世界では、適応力がない、または適応する意思がないと、ますます市場シェアを失うことになります。 テクノロジーが急激なペースで進歩するため、グローバルな労働力の動きも変化しています。単純作業は自動化され、従業員はもっと有意義な仕事と、共感できるリーダーを求めています。この記事では「ソフトな」スキルと「ハードな」スキルの両極端に位置する 2 つの分野、つまり、協調型リーダーシップと人工知能の導入について探ります。それぞれを個別に取り上げたあと、2 つの分野が交差する領域を明らかにします。そして、リーダーが今日の課題に対応するためにそれらをどのように融合できるのかを 1 つの枠組みにまで掘り下げます。 目次: 協調型リーダーシップとは何か 従来のリーダーシップと協調型リーダーシップはどこが違うのか 協調型リーダーシップのほうが効果的なのはなぜか AI とは何か 協調型リーダーシップは AI とどう向き合う必要があるか 協調型リーダーシップがもたらす 5 つの利点 Wilber の四象限で見る協調型リーダーシップ

協調型リーダーシップとは何か

デューク大学の Edward Marshall 博士は、協調型リーダーシップを「人材が仕事に最善を尽くして優れた成果を達成できるよう、彼らの真価を引き出す心理的安全性、当事者意識、信頼といったリーダーシップ文化を構築するための、倫理的な原理を基盤とする奉仕の理念」と定義しました。 ここで言う「優れた成果」は、従業員個人のパフォーマンスのことなので、作業レベルの成果であると見ることができます。ただし、そこには組織全体のパフォーマンスを改善できる可能性も秘められています。 ハーバード ビジネス スクールの著名な教授、Linda Hill 氏は、協調型リーダーシップと、組織レベルの持続可能なイノベーションを結び付けています。

言い換えるなら、協調型リーダーシップとは、個人が自身のスキルと専門知識をネットワーク内で使うことで全体的なリーダーシップの役割に寄与し、共通の目標に向かって働くことです。つまり、チームは各メンバーが得意とするリーダーシップ能力に基づいて各プロジェクトの責務を割り当てることで、そのプロジェクトのニーズを最適に満たせるのです。 用語の定義がわかったところで、次に、協調型リーダーシップが従来のリーダーシップ モデルとどう違うのかを説明しましょう。

従来のリーダーシップと協調型リーダーシップはどこが違うのか

従来のリーダーシップ手法では、個々のマネージャーが日常業務を主導し、経営トップが重要な意思決定を下します。このモデルでは、情報は上から散発的に流れ、多くの場合、それが複数のチームで共有されます。 こうした情報の流れのタイミングが悪いと、中間の従業員が情報に応じて行動するのが難しくなることがあります。 この従来型のモデルは、斬新なアイデアを思いついて有意義な形で具体化できるだけのスキルを少数の人しか持っていないという前提に立っています。このトップダウンのリーダーシップ モデルには、リーダーを画一化するという側面もあります。多様性のあるチームがイノベーションに優れていることは、研究でたびたび指摘される傾向ですが、経営トップの顔ぶれに高い多様性があることは、未だにめったにありません。また、多様性だけでは不十分であることも研究で明らかになってきています。これは、従来型のトップダウンのリーダーシップには他にも問題があるということです。『Review of Public Personnel Administration』誌で発表された 2021 年の研究では、次のことがわかりました。 「チームの多様性が高まっても、インクルーシブな気風が自動的に生まれるわけではない。多様なチーム メンバーそれぞれが業務にもたらす価値で評価されるインクルーシブな気風を支えるために、インクルーシブなリーダーシップが必要とされる」 一方、協調型リーダーシップ モデルでは、組織はコミュニティとして運営されます。従来型のトップダウンのリーダーシップ モデルでよく見られる編成とは対照的に、このコミュニティはつながりのあるネットワークで成り立ちます。1 人のマネージャーが全体をリードするのではなく、チームの誰もが得意分野をリードします。 このようなリーダーシップでは、責任が共有され、問題解決がチームの総力で取り組まれ、どのチーム メンバーもアイデアと懸念を共有するよう奨励されます。コミュニケーションに透明性があり、インクルーシブです。
従来のリーダーシップと協調型リーダーシップ

写真提供: Collaborative Lead Training Co.

このモデルへの移行は簡単ではありませんが、協調型リーダーシップの基本を簡単に理解したいのなら、リーダーシップを単なる個人の役割ではなく文化だと考えてください。 このように発想を転換すると、1 人の仕事だと思われてきた他のこと(問題解決や意思決定など)も、新しい集合的な切り口でとらえることができます。 協調型リーダーシップによる組織運営に関する研究は、取り組み方はそれぞれ違っても、おおむね同じ結論に達します。つまり、このモデルが成功するのは、チームの集合的な力を利用できるからであるという結論です。 チームの集合的な力を活かすには、その力の素晴らしさを、まず信じる必要があります。これには抵抗があるかもしれません。というのも、多くのビジネス スクールやビジネス出版物は、個人主義者の目を通して、何が優れたリーダーシップなのかを考えているからです。

協調型リーダーシップのほうが効果的なのはなぜか

言うまでもないことですが、最新の職場環境はかつてないスピードで変化しています。問題が複雑化するほど、その解決にはより高度な創造性が必要とされます。ある問題を解決したところ、克服しなくてはならない別の課題が生まれることもあります。 ここで、自動化の役割を考えてみましょう。自動化は、一方で特定のワークフローを簡素化しますが、他方で新しいワークフローを生みます。つまり、自動化それ自体を管理、最適化、分析するためのワークフローです。 このような地殻変動とそれがもたらす問題の管理について、ウェイランド バプティスト大学の Nick Ejimabo 博士は、論文「An approach to understanding leadership decision making in organization (組織におけるリーダーシップの意思決定を理解するためのアプローチ)」(『European Scientific Journal』誌掲載) で論じました。今日の職場環境での意思決定と組織のリーダーシップについて紐解きながら、博士はこう述べています。 「私たちは、個人の流儀のようなものと、職権のあり方としてのリーダーシップを混同することが多すぎる。[リーダーシップは] オールインクルーシブでなくてはならず、常に前進し、戦略的、組織的、生産的かつポジティブであり、影響力があり、目標を志向したものでなくてはならない」 肩書が立派というだけの理由で、リーダーが問題の答えを知っているだろうと思い込んでいると、コラボレーションは阻害されてしまいます。 先ほども触れましたが、トップダウンのリーダーシップ モデルは、答えが少数のリーダー層から降りてくることを前提とします。それが前提なら、あなたはそこで答えを探そうとしてしまいます。 この前提がコラボレーションを妨げ、イノベーションへの道を閉ざしてしまうのです。前出のビデオで Hill 教授はこう述べています (まだご覧になっていなければ、上へスクロールして再生することを強くおすすめします)。 「イノベーションとは 1 人の天才が突然ひらめくことではない。実際には問題を共同で解決するプロセスであり、それぞれ別の観点を持つ人々が関わるものである」 よりインクルーシブかつ協調的で、革新性があり、チームの総力を活かそうとするモデルでは、リーダーがこれらの理想を進んで受け入れて、それらを実践する試みを応援する必要があります。 無視の氷山 日本の自動車部品メーカー、カルソニック社にコンサルタントとして勤務していた Sidney Yoshida 氏は、1989 年に管理職と現場労働者との分断を発見しました。「無知の氷山」として知られる Yoshida 氏の研究で、上級の管理職と組織のそれ以外に重大な認識のずれがあることがわかったのです。Yoshida 氏の結論はこうです。 「組織の現場で起きる問題のうち、経営陣に把握されるのはわずか 4% しかなく、中間管理者が把握するのは 9%、現場管理者が把握するのは 74%、従業員が把握するのは 100% である」
無知の氷山

無知の氷山。Sidney Yoshida 氏の研究に基づく図。写真提供: CLP

この研究は 30 年以上前のもので、中規模の組織しか調査していませんが、問題は今日でも依然として見られます。職場環境での従来型のトップダウン階層は、リーダーと従業員の分断を生む傾向があります。 強いリーダーなら、職場で起こる問題を予期、認識、解決し、そこから学ぶためのツールとスキルを持たねばなりません。 AI の文脈で考えてみると、リーダーシップとは組織内の各個人の洞察を取り入れて、職場での問題を解決するために視野を広げる方法を知っているということです。 こうした協調的なチーム管理手法は、新しくて実態がよくわからない問題を迅速に解決しなければならない現在の複雑な職場環境に最適です。トップダウンのリーダーシップによってインクルーシブ性の低いチームが作られる古いモデルは、現在の職場環境の課題を解決するには力不足です。

AI とは何か

オックスフォード辞典の「人工知能 (AI)」の項目には「通常なら人間の知能がなくては実行できない作業(視覚認知、音声認識、意思決定、他言語への翻訳など)を実行できるコンピューター システムの理論と開発」と書かれています。 World Wide Technology (WWT) の研究チームは、AI、機械学習、ディープ ラーニングの関係を次の図のようにとらえています。 人工知能 人工知能は、事実上すべての産業に影響を与えています。AI の導入で信頼性が増し、ユースケースが広がることから、この傾向は今後も拡大するでしょう。 International Data Corporation (IDC) は AI テクノロジーへの投資額が今後 4 年間で倍増し、2024 年には 1,100 億ドルに達すると予測しています。また、McKinsey はレポート「State of AI in 2020 (AI の最新事情 2020 年版)」で、AI の導入によりすでにコスト面の多大なメリットが出始めていることを明らかにしました。 「コスト削減につながったユースケースとして特によく見られたのは、人材配置の最適化、コンタクトセンターの自動化、倉庫の自動化である。それらのユースケースのどれかを導入した回答者の過半数が、AI の利用でその分野のコストが削減されたと答えた」 スタンフォード大学の「2021 AI Index Report (AI インデックス レポート 2021 年版)」 (PDF はこちら) は、AI の影響を理解するうえで重要な 9 つのキーポイントをこうまとめています。 1) 医薬品設計、創薬への AI 投資が著しく増えている。「医薬、がん、分子、創薬」は 2020 年に民間の AI 投資が特に集中した分野であり、その金額は 138 億ドルに上る。 2) AI 開発の役割が大きくなっている。2019 年には北米の AI 博士号取得者の 65% が民間企業に就職し、20.6% だった 2010 年と比べて 44.4% の伸びを示した。 3) AI があふれている。AI システムが生成するテキスト、音声、画像の品質が高いため、AI 生成物とそれ以外を区別するのが難しくなっている。 4) AI には多様性の課題がある。2019 年の AI 博士号取得者に占める割合は、アフリカ系米国人が 2.4%、ヒスパニック系が 3.2%、白人が 45%。 5) AI 論文の引用数で中国が米国を超えた。2020 年に、中国は AI 論文の引用数で米国を 1 人あたり 0.9% 上回った。 6) 外国人の AI 博士号取得者は、卒業後も米国に留まっている。米国にいる海外からの博士号課程の学生は、2019 年に前年の 4.3% から 64.3% に増加した。外国人の卒業生は 81.8% が米国に留まった。 7) AI 監視テクノロジーが普及し、あらゆる場所にある。2020 年は大規模な監視が著しく普及した年である。これは画像分類、顔認識、動画分析、音声認識の導入が進んだためである。 8) AI の倫理については、判断基準とコンセンサスがない。AI 分野には、テクノロジー自体とそれらの技術的な発達が社会に与える作用との関係を測定または評価するための基準が大きく欠けている。 9) AI は米国議会の関心を引き寄せている。連邦議会議事録で AI が言及される回数は、第 115 会期と比較して第 116 会期で 3 倍に増加した。 特筆すべきことに、このレポートでは、国際的なコラボレーションと AI についてセクションを丸ごと 1 つ費やし、政府間のイニシアチブ、ワーキング グループ、首脳会談と会議、双務的な協定にわたる、多国間での AI 戦略の発展を大きく取り上げています。 国際的な協定とイニシアチブの増加は、AI 開発の将来と、AI における公平性や公正さの問題への対応にグローバルなコラボレーションのスキルが欠かせないことを示しています。

協調型リーダーシップは AI とどう向き合う必要があるか

職場環境で人間と機械が相互にどう役割を果たすかという議論は、さまざまな技術トピックを語るときに大きな比重を占めるようになっています。機械学習とディープ ラーニングの進歩は、アプリケーションの処理速度の向上とソリューションの全般的な効率化を意味しますが、その基盤にあるのはコラボレーションだと言えるでしょう。専門分野と研究機関の枠を超えたコラボレーションが、これらの技術を高度に進歩させたのです。協調型のリーダーは、人間にとってより良い職場環境を実現できるように、これらの先端技術を連携させるうえで重要な役割を果たすでしょう。 AI の 3 つの波 AI を大きく分類すると、手作業で構築されたナレッジ、統計に基づく学習、文脈適応の 3 つの波に分かれます。 第 1 の波は、狭い定義の問題に論理的推論を適用するコンピューター モデルを実現します (学習と知覚の能力はない)。 第 2 の波は、統計に基づく学習を使います。ビッグデータを使ってトレーニングすることで、コンピューター モデルは分類と予測を通じて周囲の世界を知覚します。ただし、文脈をつかむ能力はなく、推論の能力は最小限です。 AI の第 3 波 (私たちが今さらされている波) では、時間をかけて意思決定の理由付けと推進を行うことで現実の状況を解決する文脈説明モデルを構築します。この波において AI は、あまり身近に感じられなかったテクノロジーから、リーダーが協働することを学ばなくてはならない仲間に変わっています。その意味で、AI の活用は、どのような新しい洞察を AI で明らかにできるかではなく、リーダーがいかにして自身とチームの推論を AI の推論と融合させるかに関わってきます。 以下は、トレーニング用データセットで構築した複雑なシステムがどのようなものかを視覚化した動画です。

3 つの波に加えて、職場環境における AI の役割について 3 つの考え方があります。
  1. AI は人間が意思決定を下す方法を増強するだろう (Dejoux & Léon, 2018 年, p. 191)。
  2. AI と人間は協働して「ハイブリッド知能」を形作るだろう。
  3. AI は人間の仕事を奪い、やがて脅威とみなされるだろう。
ロボットが世界を乗っ取る話はサイエンス フィクションで昔から描かれていますが、PwC のレポート「Will robots really steal our jobs? (ロボットは本当に私たちの仕事を奪うか ?)」(PDF はこちら) は、2030 年代半ばまでに AI が仕事の 30% を自動化するだろうと予測しています。 否定的な結論を下し、人類はもう終わりだと言う人もいます。一方で、この変化によって雑務が激減するので、人類の創造性とイノベーションの巨大な波がもたらされると考える人もいます。カーネギー メロン大学 Robotics Institute の元ディレクターでロボット研究者の Matthew Mason 教授は、これを次のように表現しています。 「AI によって、人間のエクスペリエンスをより良くするための新たな機会と能力がもたらされるでしょう。人々が理性なく行動し、自分たちの害になるような使い方を選ぶ可能性はありますが、それが高い確率で起こると考える根拠は見当たりません」 これは職場環境にとって何を意味するか この分野のほとんどの識者が同意している、より可能性の高いシナリオは、AI が人間の作業をサポートしながらルーチンワークを過去のものにするだろうというものです。とはいえ、これは自然に実現するものではありません。実現には、新しいタイプの協調型リーダーが必要です。人間のチームから集約されるクリエイティブな能力と、テクノロジーから生み出される認識の能力の橋渡しができるリーダーが求められます。 次の動画は、Pedro Uria-Recio 氏の TEDx 講演を録画したものです。Uria-Recio 氏はこの講演で、人工知能は職場から人間らしさを奪うのではなく、職場をもっと人間らしくすると断言しています。

それでもやはり、「AI 自体は職場環境をより人間らしいものにはしない」という点は主張すべきでしょう。AI は人間の代わりになります。私たち人間は、身につけるスキルを別の種類に変える必要があるでしょう。協調型リーダーにとって未来の人材を育成するとは、これらのスキル (技術的なスキルと社会的、感情的なスキルの両方) の新たな状況を理解し、チームに継続的に学習させることを意味します。この取り組みは、変化を負担ではなくチャンスととらえるうえでも役立つでしょう。 「The roles of artificial intelligence and humans in decision making: Towards augmented humans? (意思決定における人工知能と人間のそれぞれの役割: オーグメンテッド ヒューマンへの道 ?)」(PDF はこちら) の中で、研究者 Claudé 氏と Combe 氏はこのように述べています。「将来の経営課題の 1 つは、組織が自らの変化と変革に対応できる適応力に依存するだろう。この組織の課題に対応するのは、ソフトなスキルと、人間同士の対話とコラボレーションの新たな方法を活用するマネージャーだろう」 行動科学者 David De Cremer 教授の研究は、将来の自動化と AI に適応するためにリーダーシップがどう変わる必要があるかに注目しています。 「経営へのアルゴリズムの導入が進むほど、優先順位を設定するためにリーダーシップが必要になる場合が増えるだろう。自動化が進むと、他の要素も増える。達成したいことを理解しているリーダーシップ、意思決定を迫られるときに判断を下すリーダーシップ、追い求めるべき目標を効果的に反映できるリーダーシップなどが必要である」 現在のリーダーは、この新しい未来に適応しながら人工知能への理解を深めたいと思っているかもしれませんが、それと同じぐらいの努力で基本的なコラボレーション スキルを高めれば、はるかに優れた力を身につけられるでしょう。

協調型リーダーシップがもたらす 5 つの利点

協調型リーダーシップを取り入れた組織では、次のようなことが起こります。
  1. チーム コラボレーションのビジョンが浸透する。組織が知識の共有を増やし、チーム メンバーが継続的にコラボレーションすると、チーム間の壁が解消され始める。
  2. 人材がイノベーションを起こす力をつける。仕事の妨げになるような力関係が減り、アイデアが組織図のあらゆるレベルで自由に流れやすくなる。それにより、変化の受け入れと適用がスピードアップする。
  3. さまざまなレベルで意思決定が改善される。協働的でインクルーシブかつオープンなフィードバックがあるので、チームはより多くの情報を得て意思決定を下せる。
  4. モチベーションが向上する。チーム メンバーは、自身が問題解決の一端を担うと感じるからこそ、長く続く変化に向かって働く意欲を得られる。協調型リーダーシップは、問題解決に全員で取り組む意識を作る。この意識がチーム メンバーのモチベーションと打たれ強さにつながる。
  5. ビジョンが共有される。責任を共有することで、チームの全員が権限を与えられ、目標に対する説明責任を互いに負うという意識が生まれる。その結果、チームのメンバーは担当業務以上のことにも快く対応し、自らが提供する価値を認められ、信頼される。
全般にわたって、協調型リーダーシップは、より高いレベルのコミットメントとエンゲージメントや、生産性とインクルーシブ性に優れた職場環境をもたらします。

Wilber の四象限で見る協調型リーダーシップ

協調型リーダーシップは、目標を共有することでモチベーションを得たグループの全メンバーを巻き込んで始まります。このやり方に欠かせないのは、チームの各メンバーが自身の長所を率直に認め、心理的に安全な環境を作る方法を理解し、コラボレーションの真価を信じることです。 ある意味で、協調型リーダーシップとは、リーダーをモデルの一番下に置いて、他の人も意思決定に関われるようにすることだと考えてよいでしょう。このタイプのリーダーは、倫理を判断の基準とします。そうすると、リーダーの思いやりある行動がチームの成長を促し、組織の環境改善につながります。ゴンザガ大学の Larry Spears 氏の論文によれば、このようなリーダーシップはサーバント リーダーシップと呼ばれることが多いようです。 サーバント リーダーはチームのために奉仕することを優先し、その後で関心を組織レベルに上昇させます。こうすると、変化がチーム レベルで実現され、それがゆくゆくは組織レベルの変化につながります。サーバント リーダーは共感、先見力、執事役としての働き、気づきをもってチームをリードします。 哲学者 Ken Wilber 氏の四象限モデルは、組織が協調型リーダーシップの構築方法を考えるうえで示唆に富む理論です。このインテグラル モデルは「全カテゴリ、全レベル」(ACAL) モデルとも呼ばれ、人の視点、考え方、生来の資質、意識レベルを探ることで現実と諸関係を解き明かします。 このモデルには 、2 つの枠組みに大別される主要な 4 つの象限があります。第 1 の枠組みは内面外面に分かれます。第 2 の枠組みは個人集合に分かれます。あらゆる問題のあらゆる見方に、これらの 4 つの次元が、全体の一部として同時に働きます。意識的な場合も無意識的な場合もあります。これらの 4 つの次元は、モデル、アプリケーション、変更プロセス、分析などに適用できます。
哲学者 Ken Wilber 氏の四象限モデル

Ken Wilber 氏の四象限モデル、提供: Future Considerations, a global consultancy

この ACAL モデルをリーダーシップに適用する場合は、自覚、行動、体制 (社会)、文化の度合いを明らかにするのに使用できます。協調型リーダーは、時間をかけて、このモデルでピースを徐々に集めることができます (たとえば、チーム内の個人が目的を見つけるやり方を理解することもピースの 1 つ)。 インテグラル リーダーシップ グリッド 協調型リーダーは、以下のことを念頭に置いて情報をこれらの象限に当てはめ、職場でのコラボレーションの強化を進めることができます。特に、AI がますますチームの一員のように感じられるようになったときに有効です。
  1. 共通のビジョンを構築する際の心理的安全性の役割を理解する
  2. 変化を受け入れる継続的な学習の文化を作る
  3. 人間の創造性を機械の知性と融合させる方法を常に模索する
まとめ 直観に反するかもしれませんが、AI と協働し、AI に頼り始めるチームが増えるほど、リーダーはコラボレーションの基本スキルを高める必要があるでしょう。協調型リーダーシップは、これら 2 つの橋渡し役となり、人とテクノロジーが共にインクルーシブ性とイノベーションの実現に取り組めるようにします。 関連記事 AI 時代のコラボレーション: Cisco はいかにしてコラボレーションにおける AI と最新技術の利用でパイオニアとなっているのか いま私が見えますか ? – AI がマスクを付けるとき

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