顧客というものは、これまでに味わったことのないような最高の顧客体験を自分の心に描いているものです。そしてそれを基準に先々のあらゆる体験を評価します。
ここで、私自身の体験を 1 つご紹介しましょう。多くの人が同じような経験をしていると思います。先日、銀行のコンタクトセンターに、口座に関する問い合わせの電話をかけました。すると、「大変申し訳ございません。ご依頼の内容に対応するには地元支店のお客様の担当営業の承認が必要となりますが、私からは連絡が取れません。お手数ですが、1-866 番までお電話いただけますか」と丁重に伝えられました。そこで担当営業に連絡したところ、口座のステータスがクリアされない理由について先ほど私が話していたコンタクトセンターの担当者に確認する必要があるということで、再度電話をかけることになりました。まるで無限ループに陥ったような感じでした。
単純な問い合わせではあったのですが、こうして、銀行のコンタクトセンターとナレッジワーカー向けアプリケーションの間に隠されていた組織の分断ぶり明らかになったのでした。このときの体験が最高のものでなかったことは言うまでもありません。
カスタマーエンゲージメント業界全体で、デジタル自動化が急激に進んでいます。そうした中、リアルタイムのサービス体験を保証し、顧客に手間をかけさせないようにして、組織一体となって顧客サービスを提供できるようにするにはどうすればよいのでしょうか。
分断の障壁ではなく連携の架け橋を築き、優れた顧客体験を実現
その答えの 1 つが、デスクトップにすでに存在するツールを使って組織内のデジタル障壁を取り払うことです。今私は、Microsoft 365 でこのブログを書いています。Office にはプレゼンス状態を示す小さな緑色の丸が表示されているので、私がメッセージに対応できる状態であることが組織内の人に伝わります。また Microsoft Word では、私が今どの部分を書いているかを同僚が確認できるようになっています。
一方、Office と同じプレゼンス状態が Webex アプリにも表示されているので、私に電話をかけたい人やミーティングをしたい人はそれを見て判断できます。Microsoft Teams 対応 Webex Contact Center を導入すれば、組織のネットワーク全体で個々人がコラボレーションツールを活用しユーザーコンテキストを確認できるようになるため、ナレッジワーカーとコンタクトセンターのエージェント間のコラボレーションが簡単に実現します。
Webex Contact Center と Microsoft Teams を統合してコンテンツとユーザー情報を顧客体験と連携させているので、エージェントとナレッジワーカーは一体となってお客様に満足度の高い体験を提供することができます。このソリューションを導入すれば、次の 3 つの形で効果が即座に現れるはずです。
1. 音声によるコラボレーションがシンプルに
組織では、ナレッジワーカーとコンタクトセンターの音声体験が別々に設計されました。そのため、両者間では通話できないようになっていることが珍しくありません。ナレッジワーカー向けには企業コラボレーションのための設計となっているのに対し、コンタクトセンターのエージェント向けには膨大な音声ルーティングを最適に処理するための設計となっています。
コンタクトセンターのエージェントとナレッジワーカー間のコラボレーションが設計で考慮されていないことは明らかであり、ナレッジワーカーは、顧客がエージェントからサポートを受ける際に使用するのと同じ番号に電話をかけるしかありません。このため、コンタクトセンターと支店の両方で対応することになり、処理時間が長くなってしまいます。一方顧客側は、エージェントとやり取りした後で、改めて順番待ちをして支店の人員の手が空くのを待つ羽目になります。こうした状況すべてが重なった結果、解決に長い時間がかかり、ナレッジワーカーにとっても顧客にとっても効率が悪い状況が生まれています。そしてこれがもっとも重要なのですが、顧客体験の質の低下を招いてしまっているのです。
Microsoft Teams 対応 Webex Contact Center を導入すれば、ナレッジワーカーとコンタクトセンターのエージェントの音声体験を一体化できます。ナレッジワーカーは、Teams アプリから個々のエージェントやコンタクトセンターのエントリポイントにアクセスできます。同様に Webex Contact Center を使用しているエージェントも、Teams 電話を使って顧客をサポートしつつ、他のナレッジワーカーとコラボレーションすることができます。
Webex Contact Center には Teams 電話へのクラウド接続機能があります。この機能も、Microsoft Teams で標準サービスとして Webex Calling を使用しているエージェントがナレッジワーカーとシームレスに接続できるようにするものです。Webex Contact Center と Teams の相互運用性により、専門知識のある担当者とスムーズにやり取りできるようになり、企業全体でリアルタイムのカスタマーサポートを提供できるようになります。
2. 組織全体のナレッジの活用
エンタープライズ コラボレーション ツールを導入すれば、組織のナレッジを活用する新たなチャンスも生まれます。従業員同士がすぐに相手に連絡できるようになるからです。先ほど挙げた私の体験談で言えば、支店の担当者もコンタクトセンターの担当者も私をサポートするための知識とツールを持っていましたが、どちらもパズルの一片に過ぎず、片方だけでは対応を完結できませんでした。もし私がサポートを必要としていたときに担当者 2 人が互いに連絡できていたらどうでしょうか。その時点で双方の知識を結集でき、私があちこちに連絡する手間もかなり省けたはずです。
Webex を使えば、Microsoft Azure Active Directory と Webex Contact Center のインサイトが組み合わさることで、エージェントは組織を一元的に把握できるようになります。たとえばエージェントが複雑な問題を抱え、さらなるサポートが必要になったとしましょう。その場合、ディレクトリサービスが適切なタイミングで適切なリソースを関与させ、エージェントに対処法を教えたり、リアルタイムのサポートを提供したりできるようにします。顧客からすると、組織一体となって顧客のニーズを満たす準備が整っているように感じられます。そして何より、自分が求めるものがすぐに提供されたことは顧客にとって重要な意味を持つはずです。
3. プレゼンス状態の表示
エージェントとナレッジワーカーは、適切なリソースを見つけるだけでなく、相手がサポートを提供できる状態かどうかを把握する必要もあります。Webex は、Microsoft 365 のプレゼンス機能を Webex Contact Center に統合することで、この問題を解決しています。Webex Contact Center 内で Teams ユーザーのプレゼンス状態を公開することで、エージェントとナレッジワーカーは、相手が対応可能かどうかを把握したうえで、ニーズの緊急性に応じて適切な相手に連絡できます。
すべてを統合
人は皆、優れた顧客体験についてのイメージを思い描いています。私が考えるイメージは、体験がつながっているというものです。コンタクトセンターだけでなく、デジタルチャネルや支店でも体験が一貫していて無駄な手間がかからないことが優れた顧客体験だと考えています。組織の枠を越えた音声、ディレクトリサービス、プレゼンスの統合は、このビジョンを実現する土台となります。
Webex Contact Center と Teams の統合により、組織内の人員、知識、アイデアを結びつける新たな方法が手に入ります。コンタクトセンターだけでなく、あらゆる場所で優れた顧客体験を提供できるようになるのです。
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