チームの成功の陰には、いつもコラボレーションの存在があります。しかしハイブリッド ワークの時代を迎えた今、チームでのコラボレーションに関して新たな障害となるものが現れ、今日企業が直面している最大の課題の 1 つとなっています。 それは何も技術だけの問題ではありません。ハイブリッド ワークの性質上、音声の問題の解決やネットワーク接続のトラブルシューティングが重く捉えられているのは確かですが、このニュー ノーマルの時代においては、チームそのものに対して、いかに機能し、どう問題に取り組むかという困難な問いが突きつけられているのかもしれません。 では一体、チーム コラボレーションとは何でしょうか。このハイブリッド ワークの時代に、どのような進化が求められているのでしょうか。また、どうすれば組織のチーム コラボレーションを改善できるでしょうか。 詳しく見ていきましょう。
- チーム コラボレーションとは
- チーム コラボレーションを改善する 4 つの方法
- インクルーシブさの評価方法
- 職場での共感の育て方
- 答えを与えるためでなく理解するために耳を傾けるという転換
- 的確で実践可能なフィードバックの練習方法
- 終わりに: ハイブリッド ワークの観点から見た意味
チーム コラボレーションとは
この問いに対する辞書の答えはとてもシンプルです。「collaboration」という単語を引くと、「他者と協力して行う生産活動や創造の営みである」と定義されています。2 人組の芸術家やアーティストと言えば、パティ・スミスとロバート・メイプルソープ、ジョン・レノンとポール・マッカートニー、ビッグ・ボーイとアンドレ・3000 などが思い浮かびます。重要なのは相乗効果と対比、スタイルおよび視点の陰と陽です。 私たちの考えるチーム コラボレーションとは、一人ひとりからアイデアが出てくることです。個人的には、個性と専門性、創造力の相互作用によって共通目標の効果的な解決を加速させるのがチーム コラボレーションであると考えます。目標は継続的な取り組みが必要なもの (すばらしい顧客サービスを提供するコンタクト センターのチーム) にもなれば、ただ 1 つのもの (バスケットボール チームの目標は NBA チャンピオン) になることも、両方の要素を持つもの (対前年比の目標越えを目指しつつ、新しいリーダーシップの仕組み作りに取り組む営業チーム) になる可能性もあります。 仕事をするうえでは針路となる幅広い事業目標があるため、職場でのコラボレーションは芸術におけるそれとは明確に異なります。部門別の目標から個人目標まで、すべてをその指針の下で検討しなければなりません。そのために気持ちが挫けそうになるかもしれません。会社が掲げる目標の枠組みの中で、どのように創造力を発揮して問題を解決すればよいのでしょうか。 チームとして活動するうえで、コラボレーションを活性化させる原動力を理解することはリーダーだけの義務ではありません。誰もがチームの中で自ら考え、個性と専門性、創造的な問題解決における違いの理解に努める必要があります。 チーム コラボレーションの質を高めるという目標は、対人関係において感じる安心感を一定の水準に引き上げるという意味を持ちます。それは誰もが安心してアイデアを共有し、価値あるフィードバックを提供できるような環境にすることです。しかし指先 1 つで従業員に説明責任や思慮深さを身に付けさせる魔法などありません。 その目標を達成するには、戦略的に段階を踏む必要があります。チーム コラボレーションを改善する 4 つの方法
チーム コラボレーションの質を高めるための最初のステップは何でしょうか。それは自社のチーム文化のインクルーシブさを評価することです。2 つ目のステップは、チーム メンバー間での共感を育み、インクルーシブな文化の土台を支えることです。3 つ目は、答えを与えるためではなく、理解するために耳を傾けることに重点を置くことです。そして 4 つ目は、実践可能で的確なフィードバックとはどのようなものかを、時間をかけて検討することです。 それぞれのステップは互いに無関係ではありません。共感がなければインクルーシブな文化は築けませんし、理解しようと思って話を聞かなければ相手に共感するのは難しいでしょう。なにより話を聞いて理解しようとするのでなければ、意味あるフィードバックを与えることはできません。 ここからは、それぞれのステップを詳しく見ていきます。インクルーシブさの評価方法
インクルーシブさを、リーダーとチーム メンバー両方の視点から考えてみましょう。 Harvard Business Review が 4,000 人を超える従業員を対象にアンケート調査を行ったところ、インクルーシブなリーダーには次のような特徴が見られることがわかりました。- 自分の弱みを見せることを厭わない。
- 文化の違いを知ることに積極的である。
- チームのメンバーを個人として評価することを重視する。
“…インクルーシブなリーダーシップで大事なのは、時おり思わせぶりな態度を取ることではなく、普段からちょっとしたことでも声に出し行動してみせることです。つまりインクルーシブなリーダーシップとは目に見える形での、日々の実践なのです。”現代人は忙しく競争の激しい環境の中で、ある締め切りが終わるとまた次の締め切りに向けて動き始めます。そうした中では、相手を褒める日々の小さな言動はこぼれ落ちてしまいます。その困難を承知のうえで、一人ひとりがよりインクルーシブなチームを築くために努力できるか、ということが問題です。 前述の特徴をリーダーだけに特有のものと考えてはいけません。それらの特徴は働くすべての人にとって重要な要素です。とは言え、リーダー以外の役割の POV からもインクルーシブさについて検討してみる必要があります。 下の図は、Deloitte 社のアナリストが考案した 4 つの柱からなるインクルージョン モデルです。 このモデルを取り入れた企業について、Deloitte 社は非常に面白いことを発見しています。
“…インクルージョンを感じられるようになったという個人の感覚は、チームのパフォーマンス (+17 パーセント) や意思決定の質 (+20 パーセント)、コラボレーション (+29 パーセント) の増加や向上と結びついています。”トップダウンでインクルージョンに重点を置くことで、考え方やものの見方は良い方向に変わり始めます。またインクルージョンを最優先事項に定めフィードバックを奨励する旨を周知すると、無意識のうちに (良い意味での) 方向付けがなされるようになります。チームは貢献できる機会を求めてフィードバックを提供するようになり、インクルーシブなプロセスがどれで、活動が必要なのは何であるかを察せるようになります。 技術もまたインクルーシブなチーム コラボレーションの支えとなります。ノイズの除去機能を搭載したビデオ会議用ソフトウェアは自宅が狭い従業員にとっては大変重宝しますし、リアルタイムの翻訳機能があれば使用言語の異なるメンバーで構成されるチームでも全員が会議に加われます。さらに字幕が付いていれば、誰でも会議の情報を入手しやすくなります。 チームのインクルーシブさを測る際は、次のように自問してください。
- チームの全メンバーが会議に参加しているか?
- 自分の仕事が学びやキャリア開発に役立っているとメンバーが感じているか?
- とりわけ差し迫った状況でメンバーがお互いにコミュニケーションを取っているか?
- チームのメンバーが新しいアイデアを共有したり、同僚にフィードバックを与えたりする際に不安を感じていないか?
- インクルーシブな実践を促すコラボレーション ソリューションがチームに用意されているか?
職場での共感の育て方
共感はよく技能の一種と考えられていますが、神経科学ではむしろ、事実上すべての人類の脳に刻み込まれている特徴とされています。私たちは普通、誰もが共感する能力を備えているのです。課題となるのは自分に備わっている共感力を効果的に扱うことにあります。 人はしばしば自分自身を最大の敵に仕立て上げてしまいます。トロント大学の研究者が行った一連の研究によれば、選択肢がある場合、回答者の 65% は共感が必要な内容には取り組もうとしない傾向があることがわかっています。 その理由を明らかにしている一説を、この研究から引用します。“より意識的に共感を求められている、つまりもっと努力しなければならないと感じたと参加者は話しています…共感することに精神的な労力を要する、あるいは不安を感じると話した参加者は、共感に関する課題を選ぼうとしない傾向が見られました”これは避けようのないことです。共感とはつまり努力であるからです。これは大変なことです。同僚との日々のコミュニケーションに努力が必要だというのですから。 共感という心理的働きを行動に移す方法には、さまざまな形があります。まずは次のような方法を考えるきっかけにしてください。
- 雑談の時間を取る。このハイブリッド ワークの時代、リモート ワーカーは気楽な雑談の機会を失いがちです。仕事以外のことを聞いてみたり、話しかけてみたりする機会を作るようにしてください。同僚の新たな一面が見えるかもしれません。
- 地理的な条件を軽視しない。PST の午後 5 時に、時差のある大西洋側に住む同僚に緊急メールを送るのは明らかに失礼ですが、場所の違いを積極的な行動の機会と捉える考え方もあります。たとえばハリケーンや火事の多い時期に、そうした影響を受ける地域の同僚を気遣うメッセージを送ることには大いに意味があります。
- 同僚が実際にどのような仕事をしているのかを知る。同僚の仕事上の役割について質問し、相手との認識のズレを理解するように努めてください。そうすれば同僚が過剰な要求をされているときに、味方になってあげることができます。
- 冗談を受け入れる寛容さを持つ。会議でのアイスブレイクのような手法はくだらなく感じられることもありますが、緊張を解きほぐし会話を弾ませる効果もあります。大事なのは寛容さです。
答えを与えるためでなく理解するために耳を傾けるという転換
ハイブリッド ワークの環境では、受け身になって聞き手側に回るという姿勢に容易に陥ってしまいます。メールの内容をまとめたり、メッセージの返事を考えたり、あるいはプロジェクトをレビューしたり。そういったマルチタスクという誘惑 (その考え方がまったくの誤りだとしても) に屈してしまっているのです。その状態をチーム内で少しでも解消するのが重要であり、同じことは答えを与えることを目的に話を聞く姿勢にも言えます。 このようなアプローチで話を聞くのは、チーム コラボレーションにとっては好ましくない影響をもたらすおそれがあります。たとえば話し手から中立性を欠いた発言があると、そのメッセージに込められた意図を全面的に取り入れはしないまでも、偏った解決案を提示するというような回答を導き出してしまいます。これでは共通の土台を築き、話し手を理解することなど、とてもできません。一方、 積極的に耳を傾ける姿勢はあらゆる仕事の分野において不可欠のツールと考えられています。共感的な傾聴 (そう、共感はほとんどあらゆるものとかかわっているのです) とも呼ばれるこの手法が使われている場面を、おそらく仕事で見かけたことがあると思います。 積極的な傾聴は幅広い取り組みにおいて中立性の維持、適切な場面での問いかけ、言葉および言葉によらない一貫性のあるフィードバックの提供がどうあるべきかを定めます。 理解するための傾聴は積極的に話を聞くという行為の繰り返しであり、中立性と、リフレクティングと呼ばれる言葉によるフィードバックを利用します。聞き手は常に話し手の意図を解釈しようと試みるのと同時に、要点をまとめつつ折を見て内容を繰り返し、話し手に確認を取ります (リフレクティング)。この行為が聞き手の理解を促し、同じ目線に立って対話するための土台ができます。 調査結果からわかっているのは、この手法を取り入れたあとの会話の理解度と満足度が、話し手と聞き手の両者で向上したということです。ここで、この手法を取り入れるのに役立ついくつかのアイデアをご紹介します。- 模擬プレゼンテーション。理解のための傾聴技術を上達させるという明確な目標を立てたうえでチーム メンバーにアイデアを発表してもらいます。リーダーはメンバーが本来の目的から脱線しないようにこの練習の中で何を実践し、何をすべきでないかの指針を提示します。
- 代表の交代制。ミーティングにおけるチーム代表の役割をメンバーに委任し、褒めて伸ばす方法を実践します。代表になった人には必要な背景情報をすべて提供し、会議の記録やアクション事項の窓口を担ってもらいます。
- 1 対 1 でのワークショップ。ハイブリッド ワーク環境では、突如セッションで創造力を求められるような場面が一層困難になります。非同期のビデオ ツールを利用すれば話し方や聞き方の練習ができ、フィードバックを行いやすくなります。
“人には話をする番と番の間にどのくらい間を置くのが普通なのかを察する感覚が必要です。ニューヨーク出身者はその感覚が普通より短く、カリフォルニア出身者の普通の感覚で間を計っていると、ニューヨーク出身者の 1 人にはその間を次のように捉えるわけです。‘みんな言うことがないんだ。この沈黙を何とかした方がいいかも’、と”この事例は、ペースが同じ人同士での会話における相乗効果と、スタイルが異なる人との会話におけるぎこちなさの両方が合わさって生まれる状況を表しています (ここでもポイントは共感です)。Tannen 氏はあるとき、カリフォルニア出身者のゲストにあえて問題をぶつける実験をしました。その際に用いたのが “マシンガン式質問” と呼ぶ、続けざまに問いを投げる方法です。 Tannen: お住まいは LA ですか? Carl: ええ。 Tannen: こちらにはご旅行で? Carl: そうです。 Tannen: LA ではどんな仕事を? Carl: ディズニーで働いています。ウォルト・ディズニー。 Tannen: ライターですか?美術担当とか? Carl: ええ。 Tannen: ライター? Carl: はい、ライターです。宣伝のコピーを。 Carl さんには知る術もありませんでしたが、Tannen 氏はすでに答えを知っていました。パーティーの前に別の友人から詳しく聞き出していたのです。 これは指定通りに色を塗るだけで絵が完成するという絵画キットに似た手法です。こうなると理解するための傾聴どころか、理解するための尋問と呼ぶ方が近い領域です。理解するという行為が、聞き手と話し手のどちらとも別の独立した概念であるとき、どうすれば理解するために傾聴するということができるでしょうか。 これは共感が根本的に誤った方向に進んでしまった例です。客人に寛いでもらいたいという思いはあるのに、前述のやり取りではひっきりなしに相手に確認を取っています。相手に共感を示すことはできても実践の方向性を誤っているのです。この様子には、乗り気でない同僚や友人と会話を試みようとしているときに感じる (そして、ときに不安になる) 苦労に通じるものがあります。 ユーモアや声の抑揚、論理の組み立てにおける特質的な違いをチームという環境の中で説明するのは簡単なことではありません。チームでの会話、リーダーとチーム メンバーとの会話、チームメイト同士での会話といった条件に応じた使い分けが必要です。それには厳密さを求めずに建設的な目標を設定するのが有効です。 あなたはプレゼンを担当する際に口癖が出ないようにしたり、ブレインストーミング セッションで受け身にならないようにしたいと思っているかもしれません。目標が何であれ、チーム内で会話のスタイルをテーマに自由で活発な対話の場を作ることで、チーム メンバーを人 (およびユーモア) のレベルで結びつけることができます。 聞くことと会話の機微について理解を深めたところで、それらを組み立てて最後の要素について考えてみます。実践可能で的確なフィードバックを行う方法についてです。
的確で実践可能なフィードバックの練習方法
好調なバスケットボール チームの状態は、チーム コラボレーションを考えるうえで良い見本となります。バスケットボールは、米国の 4 大プロ スポーツの中では最も身に着けるものが少ない競技です。競技場は比較的小さく作られており、プレイヤーの立つコートはなおさら小さくできています。ヘルメットや帽子、保護パッド、ごく小さな装備さえありません。プレイヤーの体の動きや表情が見え、たとえプレイの外側からでもその様子を頼りに、チームの一体感を測ることができます。チームの連携が取れていると、ボールの運びやディフェンスの展開、位置の交替、元の配置に戻るときの動き、それにプレイヤー同士のやり取りからそうしたチームの状態が見て取れます。 スポーツでは私たちがここで取り上げたことの多くが具現化されています。インクルーシブな文化が築かれていなければ、選手登録されている 15 人もコーチ陣の 10 名のスタッフも満足に活躍することはできません。試合はその性質上、チームという集団の一員であるという感覚をメンバーの一人ひとりに求めます。あなたには移動や練習をともにし、一緒に戦ってきた仲間たちがいるではないか、と。仲間との共感なしには厳しい競争を勝ち残ることはできません。であれば、指導を受けるときに、コーチの言うことに耳を傾けて理解しようとしないのは現実的ではありません。 2021 年の NBA チャンピオンであるミルウォーキー・バックスが辿った軌跡は興味深いものです。ギリシア出身のスーパースター、ヤニス・アデトクンボの活躍もその 1 つです。2018 年、プレイオフの結果への落胆はコーチであるジェイソン・キッドの解任という事態に発展し、チームはマイク・ビューデンホルツァー新コーチの下で再出発しました。NBA で優勝を果たしたあと、ヤニスは 2 人のコーチの違いについて問われ、次のように答えています。“ジェイソン氏は選手に向かってよく怒鳴っていました。それで選手たちは殻に閉じこもってしまったのです。叱責されると練習に熱が入らなくなるところがありました。(ビューデンホルツァー コーチの場合は) 選手と話すようにしています。上手くいっていないようなときは寄り添ってくれて、調子が良いときも声をかけていつも前向きな気持ちにさせてくれるんです”身に覚えのある話ではありませんか?厳しいフィードバックや公平なフィードバックを受けるとどのような気持ちになるのかを、私たちはよく知っています。それは個人的なものではなく、相手に配慮してよく考え抜かれており、建設的かつ本質的で、フィードバックを受けた側の考え方を変えてくれるものです。つまり的を射ている、ということです。 辛辣なフィードバックの場合、指摘するのは簡単です。その手のフィードバックはぶっきらぼうな印象の場合があります。あるいは、思慮をもって伝えられたものではないかもしれません。また何にでも当てはまりそうな指摘で深い考えがあるようには思えなかったり、まったく意味をなさない提案だったりという可能性もあります (答えを与えることが目的になっているのです)。 著述家、ソート リーダーであり、職場のイノベーターでもある Kim Scott 氏は、興味深いフィードバック モデルを考案しています。Scott 氏によれば、理想的な状態のフィードバックとは “本質的に偏見がないこと” だと言います。この手法は要するにゼロ BS と個人に対する配慮を掛け合わせたものです。前者を後者と切り離して行うことはできません。 Scott 氏は自身のキャリアで起きた大事な気付きの瞬間を、言葉を変えて語っています。上司からプレゼンテーションに対するフィードバックを受けたとき、その上司が簡単に一線を越えかねない遠慮のない物言いに訴えかけたのは、そうせざるをえなかったからだと言うのです。
“…Scott はその懸念を払いのけました。‘ついに Sheryl はこう言ったのです。Kim、ちゃんと伝わるかわからないけど、はっきりさせておかないと。二言三言口にするたびに「えっと」と言うのは、間抜けに聞こえるわ’”このような言い方をすると、大抵の人にとって的確なフィードバックは個人的な指摘に変わってしまいます。ですが 2 者の関係性が長い時間をかけて育まれていれば、このフィードバックでも問題ありません。何年にもわたるコラボレーションと信頼によって築かれた、意義のある真の友情とお互いに尊重し合う関係がそこにあるからです。別の言い方をすれば、両者の関係性は共感とインクルージョンを基盤に築かれているということです。このような関係は実際、その種の偏見のなさを求めます。親密な友人や同僚なら当然だと思っていませんか? 次のビデオの中で Scott 氏が本質的な偏見のなさについて砕いて説明してくれています。少し長めのビデオなので、気付きの瞬間を説明している箇所をお聞きになりたい方は、2 分 27 秒あたりから見始めてください。 最近、遠慮のない的確なフィードバックという考え方が HBR で詳しく取り上げられました。著者がフィードバックの概念について徹底的に論じた内容は、注目に値します。パフォーマンスの向上に関する自説を展開しつつ、フィードバックを一般的な言葉で定義したあと、次のように続けています。
“その人のパフォーマンスをどう思っているかを伝えても相手の成長の役には立ちません。また、どうすれば改善できるかという考えを伝えると、実際には相手の学びを妨げてしまいます”この記事を解説するには全体を 1 つ 1 つ説明する必要がありますが、その論旨はというと、本質的な偏見のなさという手法が完全に誤りであることを証明しようというものです。著者が引用している研究では、人間の脳が欠点に対するフィードバックから学ぶことは、肯定的なフィードバックから学ぶことと同じではなく、パフォーマンスの低さに重点を置いたフィードバックは、個人としてもビジネスマンとしても成長を促進するという意図とは正反対に作用することを明らかにしています。 この記事は、本質的に偏見のない手法における比較的穏やかな要素を支持する研究者の、逐一回答する手法に保証を与えるには十分な影響を生み出しました。ただし全般として次のような一致点も見出せました。
- 辛辣に聞こえる可能性のあるフィードバックは普通それを乗り越える役には立たないため、考え抜いたうえで与えること。
- ビジネスマンとしての成長を促進することを目的として、相手に上手くやれていることを伝えるという行動が見られること。
- 白黒をはっきりさせるような解決策を提示する (答えを与えることを目的に話を聞く行為は負の側面を助長する) 対応では、問いかけとリフレクティングほどの効果を得られないこと。
- 仮想の提案ボックス。どのような方法で、どのプロジェクトに対してフィードバックを受けるのが最善の状況かを一人ひとりに説明してもらう機会を設けます。
- プロセスに関する自由な意見交換の場。常に悩みの種である運用プロセスを団結のきっかけとして利用します。目標はプロセスを良くすることであり、その意見交換の場を実践可能で的確なフィードバックを与える練習の場とすることを全員に伝えます。
- 過去のフィードバックの振り返り。受けたフィードバックをおさらいします。特に不公平、または辛辣なフィードバックにはどんな要素があったか。逆に、よかったフィードバックにはどんなことが共通していたかを検討します。この結果を自身のフィードバックへのアプローチを構築する指針にします。
“ビューデンホルツァー コーチはいつでも好意的に選手と接しています”相手が自身の意見を交えず話を聞いてくれているとわかるとき、そのフィードバックが好意的な部分から発せられたものであることがわかります。ですが私たちが認識しなくてはならないのは、誰もが好意的な部分を持ちながら、その性質が微妙に違っていて、インクルーシブで共感的な職場環境を醸成するために力を合わせることでしか、その部分に気付けないということです。
終わりに: ハイブリッド ワークの観点から見た意味
インクルーシブさを向上して共感を高めるにはどのような手法が優れているのか、また理解するために話を聞き、実践可能なフィードバックを与えるにはどのように練習すればよいのかがわかる判断力を持っていたとしても、ハイブリッド ワークはまだまだ難しい問題をはらんでいます。 幸い、ここで紹介した 4 つのステップを実践するのに役立つ技術があります。- 雑音の除去やリアルタイムでの翻訳、字幕などの Webex の機能を利用すると、間口が広がりインクルーシブな文化を促進するのに効果を発揮します。
- Vidcast などの非同期のビデオ ツールを活用すれば、チーム メンバーだけに向けた具体的なメッセージで共感を磨く練習ができます。
- 4k 品質の HD ビデオ、ジェスチャー認識、ブレークアウト ルームなどの機能は、いずれも理解するために話を聞くという能力を磨くのに効果的です。
- イマーシブ シェアやリアルタイムでやり取り可能なホワイトボード、ライブ投票などの機能を利用すれば、フィードバックを与える場合と受ける場合、どちらの機会にとっても明確で肯定的なフィードバックの土台となります。