顧客が望んでいるのは、普段使っているチャネルで企業とやり取りできることです。顧客側ではメッセージング指向がいよいよ強まる中、お客様側には鎬を削るカスタマー エクスペリエンス (CX) の分野で優位を維持したいというビジネス ニーズがあります。多様で幅広いデジタル チャネルの選択肢がある今日の状況は、適切なチャネルで顧客に充実した双方向の体験を提供しなければならないという重圧になっています。 Future Digital Messaging の責任者であり、デジタル メッセージングの分野で 10 年以上の経験を有する Ramy Riad が、エンドツーエンドのプロセスを顧客に提供するためにデジタル チャネルの利用を始めたい、あるいはデジタル チャネルを強化したいと考えている企業向けに、ポイントとなる 3 つの考慮事項をご紹介します。
1.顧客の嗜好に合ったチャネルを選択する
顧客は相手が企業でも友人や家族と話をするときのように、手軽に話せることを望んでいます。デジタル チャネルをこれから使い始めようというお客様や別のチャネルを検討中というお客様にとっては、選択肢となるチャネルが多すぎるのは混乱の元にもなります。まずは顧客の嗜好に基づいて適切なチャネルを把握することが不可欠です。嗜好に合うチャネルは何か、またその理由はなぜかを把握するために顧客のデータを集めて評価します。また地域や顧客セグメントの違いによってチャネルの嗜好がどのように変わるのかを把握すれば、チャネルを決定する際の判断基準となる知識を得られます。 成功の鍵は、顧客が複数のチャネルでやり取りを行う、主な利用場面を把握することです。SMS は認証要求の用途には最適ですが、WhatsApp や Apple Messages for Business、Google 社の Business Messages のようなデジタル チャネルの方が顧客の都合に合わせて対応できるカスタマー サービスには向いているかもしれません。これに対して リッチ コミュニケーション サービス (RCS) は、事前通知やマーケティング関連の連絡手段に適したメッセージング チャネルです。 選択すべきなのは、お客様のビジネスにおけるさまざまな要件にもっとも適したチャネルです。まずは小さな規模から始め、カスタマー エンゲージメントや関連する指標に応じて規模を広げます。顧客が望む場合は AI などではなく生身の担当者と任意のチャネルで話せるようにすることが重要です。自動対応のチャットボットから Webex Contact Center のような窓口の担当者へ、会話の流れを汲みつつシームレスに切り替えることができれば、相手に応じた円滑なサービス体験を顧客に提供できます。2.費用便益の評価
デジタル メッセージング チャネルの進化に合わせて、対応する価格モデルも変化しています。WhatsApp のようなデジタル チャネルの価格モデルには、最大 160 文字のメッセージ 1 通ごとに一律料金が適用される SMS とは異なる手法が使用されています。たとえば Google 社の Business Messages は、現時点では利用企業に対して直接課金していませんが、Google のチャネルに同社のパートナー企業を介して接続する場合は、接続先サービスの費用が発生します。一方 RCS はメッセージ単位で料金が発生します。これは SMS と同じ仕組みです。 料金の仕組みを少なからず複雑にしている要因は複数あり、利用地域や使用法などの影響を受けます。一例をあげると、現在 RCS は英国以外のほとんどの市場で無料で提供されています。WhatsApp は会話ベースの料金モデルに移行しました。1 回の会話は 24 時間オープンにしておくことができます。顧客が承諾した 24 時間の時間内であれば企業は会話を開始でき、会話単位で料金が請求されます。 変動制の料金モデルの場合でも、デジタル チャネルなら CX の充実を図りつつコストを削減するのに効果的です。WhatsApp のような非同期型のチャネルを選択すると、1 人の顧客と音声通話を行ったり複数の SMS テキストを切り替えて対応したりする場合と比べて、複数の会話に同時に対処できるというメリットがあります。たとえば、カスタマー サービスの通話が 5 分以上続いた場合の費用は、担当者の対応時間にして 25 ドル程度になる可能性があります。同じ会話を SMS を使用して行うと、顧客と企業の間で最大 25 件のメッセージのやりとりが必要になる場合があり、その場合メッセージ 1 件あたりの費用が 2 セントで、最大 50 セント程度になる可能性があります。他にも顧客との関係性の向上を見込めるという利点があり、CSAT (顧客満足度) を高めるのに役立ちます。シスコの Future Messaging チームが支援を行った Vodafone 社初となる RCS キャンペーンのトライアルでは、25% という回答率 (SMS と MMS では 1%) を達成しています。3.複雑さを取り除いてくれる CPaaS プロバイダーを選択する
メッセージング チャネルの数が増えることは、顧客にとって選択肢が増えることを意味します。CX の観点からは評価できますが、反面 IT チームが管理しなければならないチャネルのエコシステムが複雑になり、まとまりがなくなるということでもあります。各チャネルには、絶えず進化している特有のオンボーディング プロセスや規約のセットがあります。その上、顧客のデータ プライバシーの保証や規制コンプライアンスの遵守といった側面も重要です。そうした要素はいずれもが企業の IT チームを忙殺し、企業の市場参入のスピードに影響を及ぼす可能性を持っています。 そうしたシナリオでは Webex Connect のサービスとしてのコミュニケーション プラットフォーム (CPaaS) のように、各チャネルの複雑さを取り除き、市場参入を加速させる一元管理型のプラットフォームは効果的なソリューションです。CPaaS プロバイダーは、さまざまなメッセージング プラットフォームからなる複雑な環境への対応経験が豊富で、またデジタル メッセージング プロバイダーのパートナー プログラムに参加している場合も少なくありません。そのためデジタル メッセージングの導入プロセスに着手し、変化し続ける規約や規制に将来も対応できる双方向のやり取りを実現するためのパートナーとしてうってつけです。CPaaS プロバイダーはリスクや利点、価格を勘案した上でお客様の利用場面に適したビジネス ケースを構築し、今後のチャネルの変化にも優位を保ったまま対処できるよう支援してくれます。 エンタープライズ向けの CPaaS は、エンドツーエンドのオーケストレーションと顧客プロセスの自動化を利用して従来の CPaaS の機能をさらに強化します。高度な統合機能を備えたエンタープライズ向け CPaaS プラットフォームを導入すれば、既存のバックエンド システムをサードパーティのアプリケーションと統合し、顧客データを活用して、顧客ごとに異なるニーズに即した顧客プロセスを構築できるようになります。こうしたプラットフォームは複数のチャネルに及ぶやり取りに対応でき、会話中でも流れが途切れないようにシームレスにチャネルを切り替えられるため、やりとりの流れを汲んだつながりを感じられる体験を実現できます。 Webex Connect は複数のチャネルでエンドツーエンドの顧客プロセスを整え、実現するのに最適なエンタープライズ向け CPaaS プラットフォームです。お客様のデジタル メッセージングの導入プロセスが価値あるものとなるよう、シスコが CPaaS パートナーとしてお手伝いします。Webex CPaaS のページをデジタル メッセージング戦略の計画にお役立てください。その他の記事 Webex Connect – サービス プロバイダーが CPaaS の機会から利益を得るための手段 顧客とのあらゆるやり取りに欠かせない CPaaS CPaaS の民主化 – シスコの Webex Connect