働き方が大きく変化
この 4 年間、急激な世界規模のデジタル トランスフォーメーションから、生活、働き方、人とのつながり方の根本な変化まで、私たちはさまざまな働き方改革を経験してきました。 かつての状態に戻ることはもうないでしょう。 この 4 年間で手にしたものを今さら手放すことはできないからです。また、ハイブリッドワークが定着するにつれ、人間らしい生活を送ることへの可能性が見え始めているということもあります。
しかし、ハイブリッドワークの導入はそう簡単なことではありません。実際、多くの組織がその試みに失敗しています。 大半の従業員がオフィス勤務あるいはテレワークのいずれかである場合と異なり、ハイブリッドワークの実現には困難な伴います。
実際に多くの企業が、企業文化を守りながらパフォーマンスの高いチームを作ろうと悪戦苦闘しています。 オフィスの役割が変化し続ける中、オフィスで勤務している人もオフィス以外の場所にいる人も、すべての従業員が同じように働けるようにするにはどうすればよいか、シスコは常に検討を重ねています。
ハイブリッド環境向けの人工知能
Webex では、ハイブリッドワークへの移行に関するお客様の課題を解決するため、従業員の働き方やワークスペース、顧客体験、IT などの変革を支援します。 この 4 年間、ハイブリッドワークを成功に導くさまざまなツールや機能をリリースし、ポートフォリオとその基盤となる Webex プラットフォームを強化してきました。
しかし今年は、これまでとは少し方向性が異なっています。Webex のプラットフォーム全体に生成 AI(人工知能)を導入し、すべてのソリューションをレベルアップしたからです。 ポートフォリオを見直し、人工知能(AI)に対応すべく作り直して、Webex をよりスマートかつ効率的にし、あらゆる点で使いやすくしました。
Webex では長年にわたり AI を活用し、音声インテリジェンス、ビデオインテリジェンス、言語インテリジェンスという 3 つの分野でイマーシブな体験を提供してきました。 そのなかには、背景ノイズの除去、People Focus(ピープルフォーカス)、自動翻訳などがあります。 シスコ コラボレーションチームを一言で表現すると、イノベーションを追求し続けるチームです。 私たちは今、あらゆる場所やあらゆる物事に AI が浸透している未来を見据えています。
新機能 AI Assistant が登場
シスコが新たにリリースした Webex AI Assistant ご紹介します。 Webex AI Assistant を使用すると、会議に遅れた際に聞き逃した内容をすぐに把握したり、1 時間にわたる会議の録音をわずか 1 分に要約したり、報告される前にカスタマーサポート関連の問題を把握して解決したりすることができます。 Webex AI Assistant は、多くのユースケースがロータッチあるいはゼロタッチで済むように Webex プラットフォームに構築されています。 さらに、ユーザーがすでに使用しているツールとシームレスに統合できます。
アシスタント機能の性能は AI 次第です。そして AI の性能はデータに左右されます。 音声データを使用して会議の自動要約を作成する場合でも、音質が悪く、会話が聞き取れなければ意味がありません。 そこで登場したのが新製品 Webex AI Codec です。 さまざまな画期的テクノロジーを活用し、ネットワーク状態が悪くても、わずかな帯域幅で優れた音質を実現できるようにしました。 Webex AI Codec は、Webex プラットフォーム全体で音声の明瞭化と復元力の高い通信を実現する、真にエンドツーエンドなソリューションです。 また、先日リリースされた Super Resolution は、どのような帯域幅条件でも高解像度のビデオを実現できます。 しかし、こうした映像と音声の質の向上は、まだスタートしたばかりです。
AI に関してほとんどの業界が力を注いできたのがテキスト化です。大規模言語モデル(LLM)を使用して、自動文字起こしや翻訳などの機能を強化しています。 しかし、音声や映像の方がテキストよりも多くの情報を得られます。声のトーンや表情、身振り手振りなど、さまざまな手掛かりがそこには含まれているからです。 こうしたテキストでは表現できないものが、コミュニケーション上のきわめて貴重なコンテキストをもたらします。
そこで当社が開発したのが、業界初の機能 Real-time Media Model(RMM)です。 RMM は、音声と映像を複数のストリームから取り込み、内容豊富なインサイトをリアルタイムで生成します。 AI アシスタント を可能にしたのは、LLM と RMM を利用して、音声、映像、言語という 3 つのインテリジェンスの柱を 1 つの機能へとまとめることによって卓越した能力を発揮します。 このような高機能な製品の開発には膨大なデータが必要になります。したがって膨大な責任も伴うことになります。 そのためシスコでは、セキュリティ、プライバシー、人権にこれまで以上に配慮しながら AI 開発を管理することをお約束する、責任ある AI のフレームワークを採用しています。
働き方を一新
ハイブリッドワークの実現に必要なものは何でしょうか。 それは、すべての従業員が、場所や利用ツールを問わずインクルーシブかつ生産的に働ける環境を作ることです。 当社が Webex というプラットフォーム型のアプローチを採用したのは、そうした理由からです。 プラットフォームなら、人工知能などの新機能を開発した際に、当社のポートフォリオを横断してユーザーに機能を提供できるからです。 新しい AI アシスタント は、生産性や従業員体験におけるこれまでの流れを一変させる機能です。
録画した会議に使用できる、チャプター、ハイライト、パーソナライズされたアクションアイテムなどの自動会議サマリー機能も、まもなくリリースされます。これらを使えば、最も重要な情報をすぐに把握できます。 自動ハイライトとチャプターは、ビデオメッセージツール Vidcast にも追加される予定です。
Webex アプリには、スペースサマリーや未読メッセージの要約など、生産性を大きく向上させる新機能が多数追加されています。 発言内容を修正したいときや発言のトーンを変えたいときなどは、AI Assistant を使えば数クリックで実行できます。 テキストを別の言語に翻訳することも可能です。 Webex AI Assistant を使えば、伝えたいことを楽に伝えられるようになります。
人は皆、お気に入りのツールを持っています。 Webexでは、Apple と長年提携関係にあり、ユーザーに愛されているさまざまなデバイスでコラボレーションを行ってきました。 CarPlay との統合から iPad、iPhone、Mac での豊富なネイティブエクスペリエンスにいたるまで、Webex はどのプラットフォームでも使用できるように設計されています。 そして新たに Apple TV 4K と Apple Watch にも対応し(まもなくリリース)、Apple エコシステムとの統合を一段と拡大させました。
Webex Calling の驚くべきパワー
最先端のコラボレーション プラットフォームで利用できる数多くのツールやデバイスの中でも、通話機能は今なお最も基本的な機能です。 コラボレーションは、信頼性の高い通話ができなければ成立しません。Webex Calling は、お使いの Webex アプリや携帯電話、デスクフォンなどともシームレスに連携する、クラウドで利用できる包括的な通話ソリューションです。 さまざまな用途に使用できる Webex Calling は、大企業から小規模なスタートアップ、病院、政府機関など、多岐にわたる組織ですでに多く利用されています。 このような堅牢な通話ソリューションをあらゆる業界に提供しているのはシスコだけです。 これこそ、シスコが日常的な通話のニーズを満たすサービスとして世界で 1,300 万人を超えるユーザーから大いに信頼され、その数はいまも増え続けています。
このたび、Webex Calling がさらにブラッシュアップされました。 本格的なコンタクトセンターを必要としない企業のニーズに応えるため、コールセンターとしての基本機能を取りそろえた Customer Experience Basic をリリースします。こちらは、追加コスト無しで Webex Calling とシームレスに統合できます。 すでにご利用いただいているマルチコールウィンドウや音声インテリジェンスなどの機能に加え、新たに導入されたのが Voice Queues(音声キュー) です。 Voice Queues は、臨機応変なアナウンス、ウェルカムメッセージ、推定待ち時間を伝えるメッセージ、コールルーティング、コールバックなどの機能で通話量の増加にもすぐに対応できます。 また、これらの機能は、Webex Calling のネイティブ統合を通じて Microsoft Teams でもご利用いただけます。
Webex Calling はデスクフォンやアプリ以外でも使用できます。 そのパワフルな通話機能は、モビリティソリューション Webex Go(BYOD)を通じて、お使いのスマートフォンの標準電話アプリでもご利用いただけます。 つまり、1 台のスマートフォンで個人用と仕事用の 2 つの番号を使用できるようになります。 こちらの機能は現時点ではアメリカとイギリスのみで提供されていますが、まもなくフランスでも提供が開始されます。
さらに、会社管理の安全でコンプライアンスを満たすモビリティソリューションをお探しの企業向けに新しくリリースされるのが、Webex Go with AT&T です。会社支給の 1 件の携帯電話番号ですべてに対応できます。こちらは本日より受注を開始いたします。 Webex Go with AT&T では、社用の電話で、エンタープライズグレードのパワフルな Webex Calling を利用できます。通信には、高速で信頼性の高い AT&T の 5G ネットワークを使用しています。 Webex Calling は、信頼性の高い、安全で堅牢な通信を必要とする企業向けの、通話だけでなくさまざまな機能を利用できる革新的サービス です(日本未リリース)。
Webex Suite は、お客様にその堅牢性と包括性を高く評価していただいていますがそれだけではありません。そこで提供されている価値もまた、高く評価されています。 とはいえ、この言葉をうのみにする方はいないでしょう。 そこで、Forrester による Total Economic Impact(総合的な経済効果)に関する最近の調査をご紹介します。 Webex Suite を採用した企業では、1 ユーザーあたり毎月平均 30 ドルのコスト削減を実現し、200% 以上の投資利益率を達成しています。 これほど手頃な料金で、これほど多くの革新的機能を提供している企業は、シスコをおいて他にありません。 それを可能にしているのが Webex プラットフォームです。
ワークスペースを刷新
このたびのパンデミックは、リモートワーカーをサポートすることが企業にとって不可欠であるという事実を浮き彫りにしました。 企業によっては、これは無視できない変化です。 一方で、テレワークが選択肢の 1 つとなった今、オフィス勤務についてはどう考えればよいのでしょう。 これまでと同じでいいのでしょうか。 私たちはそうは考えません。
あるデータによれば、コロナ収束後、会議全体の 98% で、1 人以上のリモートワーカーが参加しているとされています。 また、ビデオに対応している会議室は約 11% に過ぎず[1] [1]、多くの企業がインクルーシブな従業員体験の実現にはほど遠い状況にあります。 当社は、オフィスとの距離によって従業員の会議体験や生産性がこれ以上損なわれることのないよう、その差を埋めるツールを多数ご用意することを目標に掲げています。名付けて Distance Zero(距離ゼロ)です。
アワード受賞歴のある当社のビデオデバイスポートフォリオに新たに追加されたのが Cisco Room Kit EQX です。 デザインとパフォーマンスを兼ね備えた Cisco Room Kit EQX は、当社が販売してきた中でも最先端のハードウェアを備えています。 主力の会議室向け機能をパッケージ化した、簡単にインストールできる製品です。 この革新的な Cinematic Meetings(映画のような会議)は、RoomOS と、強力な NVIDIA Jetson モジュール によって AI に対応し、重要な会議をまるで対面のように行うことができます。 こちらの Cisco Room Kit EQX も、Microsoft Teams Rooms 認定デバイスの包括的ポートフォリオに追加されます。
さらに多くの会議室レイアウトに対応して映画のような会議を実現するためのブループリントも開発しました。 キャンプファイア状のミーティングスペースでは、対面での参加者は、目の高さに置かれた 4 台のカメラとスクリーンを取り囲むように座ります。AI を活用した高性能フレーミングにより、オンラインか対面かを問わず、全員が一堂に会してコラボレーションを行っているような感覚を味わうことができます。
ハイブリッドワークでは、役員室ほどプライベートではなくまたコントロールもされていない会議室にも対応していくことが必要です。 その場合のツールとして、ハイブリットワーク専用に開発されたワイヤレスイヤホンに勝るものはありません。 そこで今週リリースされたのが Bang & Olufsen Cisco 950 です。 Bang & Olufsen の素晴らしい音声品質、アダプティブ ノイズ キャンセリング、エンタープライズグレードのオンイヤー型呼制御などを備えた、仕事中の通話にこれ以上なくマッチする高品質イヤホンです。 こちらは Webex App、Cisco Phones、Desk シリーズに最適化されています。 業界をリードするシスコのセキュリティ機能と管理性が Control Hub に組み込まれているため、IT 部門もこのイヤホンを必ず気に入るはずです。
ハイブリッドワークに向けてシスコがどのようにワークスペースを刷新したのか、詳しくは Snorre のブログでご紹介しています。今週発表される他の製品もぜひチェックしてみてください。
カスタマーエクスペリエンスの大変革
ここまでは、Webex がいかにして AI の力を借りて従業員体験を刷新してきたかをお話ししました。 ここからは、顧客体験についてお話しします。 私たちは皆、優れた顧客体験も悪い顧客体験も、経験があります。そして、優れた顧客体験は確実に変化を生むものであるということを知っています。 当社は、Webex プラットフォームのパワーを活用して、前述のインテリジェンス機能を、包括的なクラウドコンタクトセンターのソリューションにも拡大しました。
顧客体験を刷新したら、どうなるでしょう。 長時間待つ必要がなく、同じことを繰り返し伝える必要もなく、自分の状況を理解している専用のコンシェルジュがいる、そんな感じでしょうか。 Webex AI Assistant を使えば、これを実現できます。
AI による仮想エージェントを利用したセルフサービス機能を使えば、ほとんどの要求にデジタルファーストで対応することができます。 人の介入が必要な場合は、AI が生成する新しい Conversation Summaries (会話のサマリー)機能により人間のエージェントにそれまでのやり取りがシームレスに伝えられるため、エージェントは必要な情報をすぐに把握できます。 テキストと音声会話を自動で要約するこの機能により、エージェントはコンテキストをしっかりと把握でき、お客様は同じことを繰り返し伝える必要がなくなります。 生成系 AI を使用した Suggested Responses(提案された回答例) をエージェントに表示することで、従来の機能をさらに前進させ、エージェントの仕事の効率と有効性を高めます。
エージェントがコンタクトセンターの仕事にベストを尽くすことはもちろんですが、そのためには、会社はエージェントのウェルビーイングに気を配る必要があります。 AI を活用したまったく新しい Agent Burnout Detection(燃え尽き症候群検知) は、休憩時間を自動的に割り当てる Thrive Reset(活力回復) や、難易度の高い顧客対応をした直後のコーチングなどの機能を備え、会社はエージェントのウェルビーイングにプロアクティブに取り組むことができます。
優れた顧客体験を提供することは、あらゆる規模の企業にとって不可欠です。 そこでお勧めするのが、Webex Customer Experience Essentials です。 Webex Suite の Webex Customer Experience Basic に加え、新しい Customer Experience Essentials パッケージでは、エージェントとスーパーバイザーの機能を、従来のコンタクトセンターの外部にいる顧客対応の従業員にまで拡張し、顧客体験用ツールに組織全域からシームレスにアクセスすることを可能にしました。
お客様 1 人 1 人を大切に
当社のサービスとしてのコミュニケーション プラットフォーム(CPaaS)ソリューションである Webex Connect では、16 以上のチャネルを通じて、よりスマートかつパーソナライズされたやりとりが行え、自社の顧客体験を強化できます。 当社は、AI を活用した Personalized Outbound Video によりカスタマイズ性を一段上のレベルに引き上げ、自分でカスタマイズできる豊富なビデオメッセージをご用意し、より魅力的な情報発信を可能にしています。
IT の革新
Webex では、企業が従業員体験や顧客体験を刷新できるさまざまなツールをご用意しています。 しかしハイブリッドワークを成功に導くには、企業は導入と管理をシームレスに、かつ大規模に行わねばなりません。 その成功は IT 部門、つまりは縁の下の力持ちの肩にかかっています。そこでの作業は、何か問題が浮上するまで周囲の目に触れないことが多いのです。 当社は、組織変革の一環として IT 部門の役割を高めることで、その革新に取り組んでいます。
すべての起点となるのが、業界をリードする Webex Control Hub です。 Webex Control Hub は、管理、ユーザーの導入準備、ライセンス管理、ポリシー管理、トラブルシューティング、豊富な分析、レポート、コンプライアンス/eDiscovery、その他さまざまな機能を 1 つにまとめた強力なツールです。 あらゆる環境にあるアプリケーション、デバイス、周辺機器を 1 つのポータルですべて可視化および設定できます。 今年初め、当社は Control Hub と ThousandEyes の統合を新たにリリースし、ユーザーにエンドツーエンドのネットワークの観測、パスの可視化をもたらし、いま起きていることをラストワンマイルに至るまでリアルタイムで把握できるようにしました。
当社は新たに Meraki を統合し、ネットワークパフォーマンスのインサイトをレベルアップしました。 管理者は、Control Hub から Meraki ネットワークにアクセスすることで、Webex Meetings のトラブルシューティングをすぐに実行できます。また、Webex と Meraki のデータにすばやくアクセスしてネットワークパフォーマンスを包括的に分析できます。
この記事の前半で、当社が AI の活用を通じて、いかにして優れた従業員体験と顧客体験の実現を可能にしているかについてお話ししました。 ご紹介した機能は、Webex プラットフォームの卓越したパワーにより、IT 部門でも、Control Hub の Webex AI Assistant から利用できます。 今後は、AI アシスタント に質問するだけで、膨大な製品資料やヘルプ記事を精査した中から得られた回答がすぐに返ってきます。 AI アシスタント があれば、既存の大規模なデータセットの中から役立つインサイトを今すぐ手に入れることができます。 このように、Webex によって IT 部門の働き方を大きく変えることができます。
ハイブリッドワークへの移行を確実に実現できるのは Webex だけ
Webex by Cisco によって、Webex Suiteによる生産性とコミュニケーションの向上をして、シスコデバイスでオフィスの魅力を高め、Webex Customer Experience ソリューションでパーソナライズされたコネクテッドクスペリエンスを提供することで、お客様の従業員と顧客のエクスペリエンスを向上させることを可能にしています。
長年にわたり AI のイノベーションに取り組んできたシスコでは、AI を活用したさまざまな機能が誕生し、そのすべてがこの AI アシスタント という驚異的な機能に集約されました。 Webex のプラットフォームに構築され、当社スイートのすべてをカバーしている Webex Assistant は、ハイブリッドワークを成功に導く当社の取り組みが結実した製品です。
[1]*Frost & Sullivan「グローバルなビデオ会議デバイス市場の現況」(2022 年 10 月)
WebexOne 2023 のその他の記事: