AI インフラストラクチャの「ラストマイル」、ついに実現

On By Espen Løberg1 Min Read

誰もが声に出すことをためらっていたギャップ

あるグローバルな金融サービス企業は、AI を活用したツールを社内全体に導入しました。社内での活用は順調に増えていました。ところが、同社の最高情報責任者がシンガポールの会議室に入ると、ディスプレイが接続できず、その対応に4 分間も時間を費やすこととなりました。ツールはインテリジェントでも、会議室はそうではなかったのです。

AI の可能性と、物理的なインフラストラクチャが実際に提供するものとの間にはギャップがあります。そのギャップの解消こそ、シスコのデバイス製品全体が解決すべく構築された目的です。

インテリジェントな AI エージェントとともに働く従業員は、職場環境そのものにも同じレベルのインテリジェンスを期待します。人に合わせて構築される空間や、何が必要かを予測するデバイスです。一方で IT 部門には、増員なしでより多くの空間、従業員、AI をサポートすることが求められています。施設管理、不動産、人事の各チームは、それぞれ独自のツールを使ってこの問題を解決しようとしています。チームは 3 つ、ダッシュボードも 3 つ、しかしエンドツーエンドで管理している部門は存在しないという問題があります。

これらのシステムの境目で、ユーザ体験が途切れてしまいます。AI に多額の投資をしていても、物理インフラストラクチャが AI に対応できなければ、投資は行き詰ってしまいます。コラボレーション環境が整っていなければ、他のすべてが頭打ちになってしまうのです。

この課題をうまく回避している企業には、ある 1 つの決断を下しています。つまり、「テクノロジーはシステムとして機能すべき」ということです。シスコの優位性は、 これを実現するために必要なすべてのレイヤ(ネットワーク、デバイス、プラットフォーム、インテリジェンス)を保有しているという点です。スイッチング インフラストラクチャ、コラボレーション エンドポイント、セキュリティアーキテクチャ、 管理プラットフォーム、AI レイヤのすべてを 1 つの統合したアーキテクチャを構築し、責任を持って運用しています。これらのレイヤは他の企業にも存在していますが、市場に散らばっており、まとまってはいません。必要なすべてのレイヤを提供できるのは、シスコだけです。

シスコが築き上げてきたもの

AI エージェントが人間と一緒に自律的に働き、人間に代わってタスクの処理、ワークフローの実行、意思決定を行う職場には、決して欠かせない要件が 2 つあります、シスコは、その両方に対応できるよう設計を行ってきました。

1 つ目の要件は、環境のインテリジェンスです。接続は最低条件であって、目標ではありません。すべての空間が認識され、あらゆるデバイスがネットワークのノードとなってインサイトを生成し、意思決定を促進して、上位のインテリジェンスレイヤにデータを供給します。人間であれエージェントであれすべての作業者が、リアルタイムで応答してくれるインフラストラクチャによって支えられています。これが、単にテクノロジーがあるだけの会議室と、実際に機能する会議室の違いです。

2 つ目の要因は、大規模な管理のしやすさです。これは、会議室ごとにスペシャリストを派遣したり、何も共有しない 3 種類の独立したプラットフォームを運用している状態で実現できるものではありません。これを実現するのは、ユーザーから複雑さが見えないようにする統合レイヤです。1,000 室を管理するチームでも、10 室を管理するチームと同様の確信を持って運用できます。

この 2 つの要件が、ポートフォリオにおけるあらゆる意思決定の基礎となります。デバイスは端末ではなく、「ラストマイル」です。つまり、ネットワーク、プラットフォーム、インテリジェンスのスタックが会議室にいる人々の目の前にある物理レイヤです。シスコデバイスは、エッジで自律的に動く AI の要求に応えられるように、ゼロから構築されています。

発注可能な製品

大規模なコラボレーション空間は何十年もの間、複数ベンダーの DSP、エクステンダー、スイッチャをつぎはぎして構成されていたため、脆い状態でした。展開が困難で、大規模な管理も不可能なうえ、現代のワークプレイスに必要な自律型かつエッジファースト AI とは根本的に相容れないものでした。Room Kit Pro G2は、そうしたアーキテクチャに終止符を打ち、インテリジェントな働き方のために専用設計されたインフラストラクチャの始まりとなるものです。

Room Kit Pro G2 はこうした複雑さを完全に解消します。第 4 世代 NVIDIA チップセットを搭載し、前世代の最大 25 倍の AI 処理性能を実現しています。1 本のケーブルで、Room Vision PTZ カメラ、Ceiling Microphone Pro、コンピューティングコアの 3 つのコンポーネントを接続します。1 つのアーキテクチャでリアルタイムの空間認識、高度なノイズ除去、人物フレーミングを実現し、これらはすべてローカルで処理されます。クラウドのラウンドトリップは不要、遅延もありません。機密データが会議室の外に出ることも一切ありません。

このアーキテクチャで稼働するエージェントはシステムにネイティブであり、最初から組み込まれています。Director Agent は、最大 7 台の IP カメラと 8 台の IP マイクを組み合わせ、カメラの切り替え、話者追跡、 会話フレーミングを自律的に行います。Notetaker Agent は、ボタン操作なしでアクション項目をキャプチャし、整理します。Translator は、言語の壁をリアルタイムで取り除きます。これらは、広く利用されている製品カテゴリを段階的に改善したものではありません。支援する AI ではなく、行動する AI というまったく別のカテゴリに該当します。

Board Pro G3 の発表

Board Pro の各世代を導いてきたのは、「空間はそこにいる人々のために機能すべきだ」というシンプルな原則です。Board Pro G3 は、この原則を前世代よりも大きく前進させました。

AVoIP 対応のカメラとマイクのサポートが拡張されたため、より多くの空間でビジュアルコラボレーションを実現できます。また、壁面取り付け、スタンド取り付け、モバイル取り付けのオプションが用意されており、ゼロタッチプロビジョニングが可能です。スペシャリストの手を借りる必要のあるセットアップは、わずか数分で完了します。

また、MDEP(Microsoft Device Ecosystem Platform)認定を受けた唯一のコラボレーションボードであるため、Webex とともに完全にネイティブな MTR(Microsoft Teams Rooms)体験を実現します。Microsoft を標準として採用しているものの、最高のハードウェアを求めている組織にとって、この認証は「一時的な回避策」ではありません。どちらのプラットフォームでも同時に優れた体験を実現できるものです。

より本質的な価値は、長期的な利用価値にあります。Board Pro G3 は、まだ存在していない AI モデルを活用できるように設計されたプラットフォーム上に構築されています。コンピューティング、セキュリティアーキテクチャ、自律機能がすべて備わっているため、今後の進化に対応するための更新は不要です。Board Pro G3 を購入する組織が手にするのは、3 年で寿命を迎えるデバイスではありません。仕事とともに進化するプラットフォームです。

相互運用性は妥協ではない

この領域では、「最良のデバイスを選ぶことは、プラットフォームを選ぶということ」という前提が根強く存在しています。これは間違っています。シスコは、Microsoft 環境向けに RoomOS で MTR を動作させ、標準の体験を超える機能(4K コンテンツ共有、AirPlay のサポート、必要に応じたネイティブ Webex 会議)を実現しています。その結果、1,000 台超のデバイスを展開する MTR 導入企業が前四半期比で 80% 増加しました。

こうした企業の 95% は、先ほど言及した 3 つのダッシュボードの問題を完全に解消できる Control Hub ですべてを管理しています [出典:シスコ内部データ]。つまり、施設管理、IT、不動産のチームは、空間全体の状況を把握するために別々のツールを使う必要はもうありません。1 つのプラットフォームで空間の利用状況、デバイスの正常性、会議の品質といったあらゆる要素を把握でき、エンドツーエンドで管理できます。現在、230 万台を超えるデバイスが接続されています [出典:シスコ内部データ]。各デバイスがネットワーク上のデータポイントとなり、インサイトを生成しています。それらはすべて 1 つのプラットフォームに表示され、IT チームがすでに作業している AWS、Microsoft Copilot、その他の環境へと拡張されています。

Smart Diagnostics は、問題がユーザーに到達する前にワンクリックで修復できる機能です。Workspace Ranking は、1,000 室を管理するチームに対して、午前 9 時の会議にリスクが生じた場合に午前 8 時 45 分にどこを確認すべきかを示します。

そして今週、Workspace Advisor が一般提供されることをお知らせします。どの会議室でもデジタルツイン化し、リモートで設定して、誰も現地に行かずに変更を加えられることは、単なる便利な機能ではありません。IT 組織の大規模運用そのものを変革する、構造的シフトです。シンガポールで最高情報責任者があの会議室に人を向かわせなければならない状況は、あってはならないのです。Workspace Advisor があれば、現地に人を向かわせる必要がなくなります。世界中に点在する不動産を限られた人員で管理するチームにとって、これは今週実施するリリースの中でも特に運用面で重要なものです。

さらに今秋には、Control Hub が Cisco Cloud Control の一部となります。これにより、 ネットワーキング、コラボレーション、セキュリティの領域を横断するインテリジェンスを統合し、管理とトラブルシューティングを 1 つの体験として提供します。複雑なマルチプラットフォーム環境を増員なしで管理する IT チームにとって、 これは運用面で可能なことを変えるリリースとなります。迅速な問題解決が可能になり、エスカレーションが減ります。ついに、管理対象の環境のスケールに見合う管理体験を実現できるようになったのです。

市場のニーズに先回りして構築

テクノロジーのあらゆるサイクルは、新たな約束とともにやってきます。そこで問うべきなのは、その約束が大胆かどうかではなく、それを実現できるインフラストラクチャが存在するかどうかです。

私が結局行き着くのは、「AI で最大の成果を得る組織は、最も高度なモデルを持つ組織ではない」という点です。ソフトウェアレイヤと物理レイヤの間にあるインテリジェンスのギャップを埋めた組織こそが、最大の成果を手にするのです。大部分の AI 投資はこのギャップに足を取られ、静かに失速していきます。

この市場でのシスコの地位は、1 つの製品サイクルで確立したものではありません。数十年かけて構築したものであり、一貫したアーキテクチャと信念を持ち、あらゆるレイヤを所有して責任を持ってきた結果です。エージェントワークプレイスは、シスコが追い求める目的地ではありません。語られ始めた頃にはすでに構築していたものです。

したがって、今週の発表は特別な意味を持ちます。これらは単なるローンチではなく、すべてのレイヤが揃い、市場に出て、お客様の手元にあるという確かな証拠です。ついに、「ラストマイル」が実現したのです。

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Espen Løberg
Espen Løberg VP/GM, Collaboration Devices Cisco
Espen Løberg is the Vice President and General Manager of the Collaboration Devices business at Cisco.
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