この 2 年間で政府機関のさまざまな側面から私たちが何かを学んだとすれば、それは、サービスと情報を有権者に迅速かつ効率的に提供することが不可欠であることです。実は、そうした対応が大きな変化をもたらし、命を救う可能性さえあります。 この記事では、迅速な対応がとられた ACT Government の事例をご紹介します。この政府機関は、ワクチン ホットラインをきわめて短時間で展開し、ワクチン予約の電話を 1 日に 10,000 件処理できるようにしました。
多様性と俊敏性:「プロアクティブ」なコミュニケーションの最も大きな利点
ACT Government は、保健、教育、環境、司法、地方自治体などの各部門を通じて多くの市民にサービスを提供しています。 オーストラリアでロックダウンが実施された際、ACT Government は、その後 48 時間以内にワクチン予約のコンタクト センターを開設し、危機的な状況下で市民からの重要な要求に応えました。これを可能にしたのが Webex Contact Center です。 この事例は、地方自治体と州政府が短時間で共有サービスの立ち上げと稼働を行うプロジェクトの、比類のないサンプルとなっています。 進行中のイニシアチブによって、さまざまな部門をまたぐコンタクト センターで、300 人を超えるエージェントが膨大な数の問い合わせに対応できるようになります。また、プロアクティブで一貫性のあるコミュニケーションを行う態勢が整い、カスタマー エクスペリエンス (CX) も向上します。 その他にも狙いがあります。コラボレーション プラットフォームを拡張するなかで、会話からの情報収集、分析、予測を行い、CX を次のレベルに引き上げることです。 そのために Webex Experience Management も実装して、利用者とエージェントのエクスペリエンスを変革し、エンドツーエンドのカスタマー ジャーニーを向上させます。具体的には、カスタマー ジャーニーの測定、あらゆる角度からの利用者の可視化、ニーズを事前に把握する予測力向上を行います。CX と EX を組み合わせて、エクスペリエンス全体の充実度を高めるわけです。 ただし、これは、政府機関が実践している「プロアクティブなコミュニケーション」であり、CX と従業員エクスペリエンス (EX) の相乗効果を幅広く示すほんの一例にすぎません。この事例では、CX と EX を組み合わせて、サービスと情報を市民に提供する方法を再構築するとともに、公共部門による市民との関係が深まる自動化されたカスタマー ジャーニーへの転換を推進しています。 企業の世界に見られるきわめて大きな変化と同様に、公共部門での CX 向上の方法も変化しています。そうした状況で企業がとる B2B 戦略を公共部門は手本にできます。これに初めて取り組む場合は、改善された目新しい方法で、有権者と自組織の職員を引き寄せるようにします。固有の要件を満たす
では最初に、公共部門が実際に抱えている課題と固有の要件を確認しましょう。 明らかに、州政府、連邦政府、地方自治体という 3 つのレベルのいずれにも、障壁、さまざまな要件、異なる現状が見られます。 たとえば、地方自治体は利用者を中心に据えます。かなり独特な方法で利用者とやり取りし、型にはまった対応をとることもあります。どの地方自治体のレベルでも、有権者とのかかわり方に普遍性が求められます。しかし、食物連鎖の図を上にたどるように州政府と連邦政府のレベルに目を向けると、その本質がまったく異なることがわかります。これらの機関に求められるのはコミュニケーションであり、それを向上させることです。 政府機関は CX 対応の最新化に多大な尽力をしていますが、3 つのどの機関も次の課題に対処する必要があります。- オンプレミス インフラストラクチャの老朽化
- 政府機関内の技術導入に対する断片化されたアプローチ
- 予算上の制約
- コンプライアンスの問題
有権者が好むチャネルで問い合わせに答える
世界的にも国家的にも絶えず危機に直面し、混乱と変革を伴うこの時代に、政府機関が成功し存続するには、企業と同様にコミュニケーションとコラボレーションの戦略を見直す必要があります。 端的に言えば、強化した音声チャネルと、デジタル チャネル ホストへのアクセスを提供し、利用者が好むチャネルで返答します。これらを迅速かつ正確に行わなければなりません。 具体的には、クラウドベースの高機能コミュニケーション プラットフォームを導入して、「多様性と俊敏性」を確保し、有権者やコミュニティとのかかわりとつながりを深める必要があります。 そうすることで、すべてのデジタル チャネル (SMS、Web チャット、WhatsApp、Facebook Messenger など) で「双方向のやり取り」を行えるようになります。この双方向のやり取りは CX のニュー ノーマルと考えられているため、公共部門でも真剣に検討すべきです。 同時に、ポイント ソリューションから、コミュニケーション時代のプラットフォーム シナリオへのこうした移行は、政府機関にとって大きな進歩を意味します。 このアプローチによって、さまざまなテクノロジーを主要なプラットフォームに統合して、(利用者から見た) カスタマー ジャーニー全体の詳細な調査や、よりインテリジェントで迅速な対応を行えます。 では、これがもたらす可能性について考えてみましょう。たとえば、利用者が、政府機関の部局とやり取りするとします。利用者は、どのような部局でも「長時間待たされる」というストレスを感じています。なかなか解消されない問題です。 政府機関の部局 (おそらく道路や海事などの部局) に電話をかける利用者は、時間がかかることを覚悟しています。多くの場合、エンゲージメントの記録や、有権者が最初 (または 2 回目) に電話した理由の記録がないからです。これによって、「何度も問い合わせる」という厄介なシナリオができあがります。 しかし、このシナリオが書き換わる可能性があります。新たなインテリジェント プラットフォーム アプローチをとることで、部局との面倒で複雑なやり取りを行う利用者の不安を軽減できます。まったく新しいカスタマー エクスペリエンスの世界を提供することも可能です。 政府機関は今や次の機能を実現できます。- 利用者の履歴を確認する
- 行動 (利用者が 2 回目の電話をかけている理由) を把握して予測し、繰り返し問い合わせを受ける前に手を打つ
- デジタル チャネルを介して、利用者と、双方向のリアルタイム コミュニケーションをプロアクティブに行う。また、エンゲージメント後に、利用者の次の動きに応じて、コンテキストや把握した情報を参照する