エージェント型ワークプレイスは、稼働させる会議プラットフォームの影響を受けるべきではありません。
この数ヵ月、シスコのコラボレーション デバイス部門では、多忙な日々が続いています。まず Integrated Systems Europe(ISE) 2026 に合わせて、Cisco Desk Pro G2 と Room Kit Pro G2 を出荷しました。どちらの端末も Microsoft Device Ecosystem Platform(MDEP)を稼働させることで Microsoft Teams Rooms(MTR)体験を実現しており、すでに市場に投入されています。さらに 6月の Cisco Live US 2026 では、Espen Løberg が Cisco Board Pro G3 を発表しました。これは、MDEP が稼働する、Webex 初の MTR 認定ボードであり、エージェント型ワークプレイスに特化した製品となっています。
ラスベガスで開催された InfoComm 2026 では、そのような取り組みを相互運用性の観点から発展させています。この記事では、相互運用性とそれがエージェント型ワークプレイス環境で果たすきわめて重要な役割について解説していきます。
私が接しているお客様の多くは、自社環境を 1 社ではなく複数社の製品で運用しています。主要なプラットフォームは 1 社から採用しているかもしれませんが、グローバル展開していれば、Webex、Microsoft Teams、Zoom、Google Meet などを同時に稼働させているのが一般的です。実際の利用者である従業員、顧客、パートナーに合わせた運用を行っているのです。さらに、どのお客様環境でも、それらの上位層として AI が活用されるようになりました。
私たちは、次のようなシンプルで揺るぎない原則を掲げています。「お客様がどのような会議プラットフォームを選んでも、エージェント型ワークプレイスの新たな可能性を引き出せる環境を実現できなければならない。使用するデバイスやそこで稼働している会議プラットフォーム、移動中や移動先のワークスペースに関係なく、同じワークプレイス体験を得られるようにすべきである。」
それをテーマに、InfoComm 2026 では新たな発表を行います。シスコのハードウェアや、シスコのクラウド管理だけでなく、エージェント型ワークプレイスでも同一の体験を実現し、Webex、Microsoft Teams、Zoom、Google Meet のどのプラットフォームが選ばれても、その体験に一貫性を持たせます。
Agentic Director および Workspace Advisor エージェントは、Webex および Microsoft Teams Rooms のお客様を対象に RoomOS 26 ですでにサポートされています。その他にも、私たちは、複数の機能強化を進めています。
Microsoft Teams Rooms:ネイティブな体験をシスコならではの規模で実現
シスコのデバイスで稼働する Microsoft Teams Rooms で重要なのは、ハードウェアの互換性確保ではありません。Microsoft 製品をご利用中のお客様が実は長い間求めていた運用体験を提供することです。つまり、幅広いシスコ デバイス ポートフォリオ、シスコの充実した管理クラウド、さらには、その両方を基盤とする AI を、Microsoft 独自の機能を一切損なわずに実現することです。
では、Microsoft Teams Rooms のお客様向けに、最近リリースした新機能をご紹介しましょう。
Control Hub で MTR デバイスを管理する専用チャネルを新たに提供します。 Microsoft Teams Rooms を大規模運用しているお客様の多くは、断片化したリリースパイプライン(本番、検証、トライアル、Microsoft 承認候補ビルドの各パイプライン)を仕方なく受け入れ、別々の場所で管理してきました。InfoComm 開催時からは、Microsoft Approved、Microsoft Verification、Trial、Microsoft Approval Candidate の 4 つすべてを、最高クラスのデバイスチャネルとして Control Hub に統合し、一元管理できるようにします。RoomOS の現在のワークフローをそのままご利用いただけるうえ、展開前検証を行う別環境が不要になります。

さらに、Copilot で拡張した AgenticOps が実現します(ベータ版)。お客様は、Microsoft 製品とシスコ製品を別々の環境で運用することを望んではいません。そこで、Cisco Cloud Control によって、Collaboration Control Hub をシスコの広範な管理ファブリックに統合しました。これにより、シスコのワークスペースにあるデータを、日常的に使用している Microsoft 365 環境に取り込めます。会議室の正常性、会議の品質、ワークスペースの利用状況に加え、Microsoft 環境の既存情報についても、Copilot を使用して自然言語で質問し調査できるのです。AI によってなくなるのは、運用担当者の仕事ではなく、複数のシステムをまたぐ非効率な作業だと言えるでしょう。
一貫性のある運用。大規模な展開。事後対応ではなく先回りした対応が可能なワークプレイスの実現。シスコ製品で Microsoft Teams Rooms を運用する価値はそうした点にあります。
近日中に公開:Zoom Rooms 対応のシスコデバイス
ISE 2026 に先立ち、Zoom for Cisco Rooms を発表しました。これによって、高品質のネイティブ Zoom 会議体験を、シスコデバイスからなる Cisco Rooms 体験に統合し、従来の SIP/H.323(Zoom CRC)よりもはるかに優れた体験を得られるようになります。お客様の反応から、ニーズが明確になりました。お客様が求めていたのは、シスコのハードウェアで Zoom を稼働させるための公式な解決策だったのです。異種システムを単につなげて利用することではなく、Zoom 会議のシームレスな利用体験が期待されており、私たちはそれに応えました。
本日から、Zoom との連携を一歩進め、Zoom Rooms の認定取得を目指します。この新たな選択肢により、Zoom を標準導入している組織で一部のシスコ コラボレーション デバイスが最適化され、ワークスペースに入った瞬間から Zoom 中心の体験を得られるようになります。いつものように、Zoom Rooms ホーム画面から会議を始められるのです。

認定取得が完了したら、幅広いシスコデバイスを活用して、あらゆるワークスペースで一貫した Zoom 体験を提供できるようになります。例えば、デスクやハドルルーム(Cisco Desk Pro G2)、日常的な会議室(Cisco Room Bar または Bar Pro)、クリエイティブなブレインストーミングやアイディア出しのスペース(Cisco Board Pro G3))、大規模な会議室、研修室、教室、講堂(Room Kit Pro G2)などの展開が考えられるでしょう。
Cisco RoomOS 搭載のシスコデバイスで Zoom Rooms アプリケーションを稼働させる場合、以下の機能もご利用いただけます。
- Agentic Director — デバイスに組み込まれたカメラインテリジェンスであり、これによって、会議のコンテキストが把握されます。また、複数のカメラ映像を基に、その時々の室内の状況に合わせて最適な見え方(個人やグループのフレーミング)が自動調整されます。設定やカメラモードを手動で切り替える必要はありません。
- クラス最高のワークスペース管理 — Zoom デバイス管理だけでなく、Cisco Collaboration Control Hub を介したデバイス管理が可能です。ワークスペースレベルの可視性、テレメトリ、インサイトが向上し、組織全体へのビデオ展開を大規模に行えるようになります。
- 室内で稼働する Cisco ThousandEyes — ThousandEyes エージェントがシスコデバイスで稼働していれば、品質上の問題がネットワークに起因するものかどうかを推測する必要はありません。Control Hub を介してネットワークパスをホップバイホップで可視化できるからです。火曜日の朝に会議の品質が低下したという報告があっても、状況をすぐに把握して、適切な対応を行えます。
- Workspace Advisor によって生成されるデジタルツイン — シスコデバイスですべてのお客様に提供している機能が「Zoom Rooms 対応のシスコデバイス」でも利用可能になりました。デバイスに組み込まれた AI により、Control Hub でワークスペースのデジタルツインが生成されるため、運用開始日以降に発生する問題を把握し、多くの場合それらを修復できます。そのためにエンジニアを現地に派遣する必要はありません。
今回の発表により、Zoom Rooms 向けハードウェア パートナー エコシステムに、エンタープライズ IT の分野で最も信頼され、広く導入されているハードウェアブランドの 1 つが加わり、その規模がさらに拡大することになります。シスコにとっては、この発表は、シスコデバイスによって主要な各種コラボレーション プラットフォームで最高クラスの体験を提供するという戦略において、新たな一歩を踏み出すことを意味します。

Zoom Rooms 対応のシスコデバイス
Zoom Rooms 対応のシスコデバイスのパブリックベータ版は 2026 年 6 月から、一般提供版は 2026 年 9 月から利用可能となります。
Google Meet:コラボレーションツールでも、普段どおりに共有
すべての会議が画面共有から始まるわけではありません。部屋に入ってきた同僚が隣に座って少しだけ語り、「これ見てくれる?」と提案してくる。そのような始まり方も少なくないでしょう。
Cisco RoomOS デバイスのお客様がそうした画面共有を行う場合、ケーブルを使用したり、Miracast や AirPlay を介したりすることが一般的でしたが、シスコハードウェアでの Google Meet 会議では、最近までそれらが不可能でした。しかし、RoomOS の Google Meet WebRTC 体験で、お客様が求める各種共有オプション(HDMI、Miracast、AirPlay など)に対応しました。これによって、会議室に入り Google Meet のコールに参加した誰もが、他のシスコ製品の会議環境と同様にデバイスから画面を共有できるようになりました。
他のベンダーでは実現できない多様性、専門性、シンプルさ
一歩下がって、それぞれの発表を見ると、私たちが長年目指してきた理想像が浮かび上がります。
1 つのデバイスで主な会議プラットフォームをサポート。
- Webex – 包括的な機能を備えた Webex ミーティングであり、シスコデバイスでネイティブに動作します。デバイスの展開形態は問われません。
- Microsoft Teams Rooms – MDEP を基盤としてネイティブに構築されており、Cisco Director Agent と Copilot Facilitator 内部で動作しています。
- Zoom – Zoom for Cisco Rooms に加え、2026 年 9 月からは、シスコハードウェアで動作する「Zoom Rooms 対応のシスコデバイス」を提供します。
- Google Meet – WebRTC 体験を強化し、お客様がすでに信頼を寄せている共有体験にすべて対応しました。
常に同じエージェント型ワークプレイス体験を維持。 Director Agent は、コールが行われている会議プラットフォームに依存しません。ローカルの Notetaker や、会議室レベルの音声インテリジェンスも同様です。エージェント型ワークプレイスは、会議プラットフォームを問わず、デバイスによって一貫性が維持されます。
単一の管理プレーンを実現。Cisco Cloud Control と Collaboration Control Hub は、 各プラットフォームで提供されるどの管理ツールとも競合なく連携可能です。これにより、稼働している会議プラットフォームに関係なく、Smart Diagnostics、Workspace Ranking、Workspace Advisor、ThousandEyes、他のシスコの運用ファブリックをすべてのデバイスで利用できます。
そうした幅広い対応こそ、シスコならではの強みだと言えます。シスコは、エンドツーエンドの体験、オペレーティングシステム、ワークプレイス管理プラットフォーム、ネットワークを提供するだけでなく、主要な会議プラットフォーム各社との緊密なパートナーシップ構築に多くのリソースを投じてきました。これらをすべて同時に実現できるベンダーは他にはほとんど存在しません。
Espen Løberg が AI インフラストラクチャのラストマイルに関するブログを最近公開しましたが、それをお読みになった方には、そのアーキテクチャ上の主張を理解いただけたでしょう。シスコは、エージェント型ワークプレイス実現に必要なレイヤ、つまり、ネットワーク、デバイス、プラットフォーム、インテリジェンスをすべて所有しています。InfoComm 2026 での発表を通じて、こうしたアーキテクチャが、ご利用中のあらゆる会議プラットフォームにまで及んでいることが明らかになりました。互換性や回避策ではなく、AI と管理機能が組み込まれ、導入初日から有効な最高クラスの体験として提供されるまでになったのです。
最適なデバイスを選ぶために、プラットフォームの選択肢が制限されてはならず、会議プラットフォーム標準化のために、ワークプレイスの何らかを妥協してはなりません。エージェント型ワークプレイスは、Webex、Microsoft Teams、Zoom、Google Meet のどれを利用しようとも、すべての従業員が体験すべきものです。
今後もさらなる展開が控えています。私たちは、パートナーシップを新たに拡大し、高度なエージェントを最前線で稼働させ、IT チームに運用ファブリックを提供しています。こうしたチームは、複数の会議プラットフォームと地域にまたがる数千もの会議室を限られた人員で管理しているのです。正直に言うと、私のキャリアにおいて、これほど飛躍を感じさせる製品開発に携わったことはありません。





